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ベテランが活躍できる社会

2021年05月15日
28

以前の記事でもご紹介したとおり、4月から新しい社会保障制度がスター
トしました。

 

企業は継続して働くことを希望する社員に対して、70歳までの雇用を
保証する「努力義務」を負うことになりました。

 

ただ、それは努力義務の範疇です。

 

でも、4月上旬の新聞には高齢者活用先進企業の新たな取り組みが紙面
上に踊っていました。

 

それも、取り組みをマスコミに発表していたのは大企業でした。

 

新聞の見出しには、“日本企業が「生涯現役時代」への備えを急いでい
る”という文字が並んでいました。

 

今回の新聞記事で紹介されていたのは、YKKグループとダイキン工業の
2社でした。

 

一体どんな取り組みなのでしょうか。

 

今回の記事では、高齢者活用先進企業の新たな取り組みについて取り上
げてみたいと思います。

 

 

 

定年後再雇用による「3つの変化」は再雇用される側には苦痛でした
給料は大きく下がり、役職は無くなり、業務も変わる
高齢者活用先進企業は、それを察知して様々な対応を考えてきました

 

 

 

高齢者活用先進企業の新たな挑戦

 

 

YKKグループは正社員の定年制を廃止したそうです。

 

ダイキン工業は、希望者全員が70歳まで働き続けられる制度を始めたと
新聞記事には記載されていました。

少子高齢化に歯止めがかからず人手不足が続く中、企業がシニアの意欲と
生産性を高める人事制度の整備に本格的に乗り出したとありましたが、
本当にそうなのでしょうか。

 

その詳細を少し下記にまとめてみたいと思います。

 

YKKグループは4月3日、YKKやYKKAP等の国内事業会社で65歳を
上限とする定年制を2021年度から廃止すると発表しました。

一定の年齢に基づいて自動的に一律退職する制度を変えることで、年齢に
関わりなく社員の能力を最大限に生かし適材適所で役割を担えるようにす
るそうです。

 

今まで定年制を廃止した企業は中小企業が多くを占め、大企業では殆ど
ありませんでした。

殆どの大企業は今まで(雇用条件が不安定な)「雇用延長」という形で
凌いできた経緯があります。

 

それもそのはず、大企業と中小企業とでは全く条件が違うからです。

 

日本の高齢化は、日本型雇用システムの弊害を明らかにしてしまったの
です。(日本型雇用システムについては、以前の記事をご参照ください)

 

その弊害が顕著に現れたのが、採用と教育システム、そして定年制です。

 

新卒一括採用、新入社員一括教育という制度の先には、60歳で一括定
年という制度があって全てが終わる制度でした。

 

それが高齢化の煽りを食らって、うまく回らなくなったのです。

 

一括採用した若者が高年齢になった時にどのように企業内で活躍しても
らうかを考えてこなかったからなのです。

いや、当時は考えなくてもよかったのです。

それが、高齢化の進展で変わろうとしています。

 

そして、企業は様々な課題を抱え込んでしまったのです。

 

 

・日本経済の成長の鈍化(右肩成長の終焉/マイナス成長)

・製造業を中心に多くの余剰人員を抱えている

・バブル崩壊で新規採用を抑えた為に企業も高齢化

 

どれも抱える従業員数が多い大企業にとっては深刻な問題です。

 

それに比べると中小企業の置かれている環境は全く違います。

元々から定着率の低さゆえに慢性的な人材不足という課題を抱えてきた
中小企業は、高齢者(ベテラン)の特性や高い技術を企業の武器(戦略)
にしていたのです。

 

そう、中小企業は高年齢者を貴重な戦力として捉えていたのです。

 

だから定年を廃止できた。
(しかしながら、定年制を廃止できた中小企業は約3割です)

 

でも、大企業はそれができなかった。

 

 

 

左上の大企業は様々な問題を抱えて高齢者活用に大きく踏み出せなかった
それに比べて右下の中小企業には特別の事情があったのです

 

 

 

今回YKKグループが定年を廃止をした本当の狙いはどこにあるのでしょう
か。

 

YKKグループは2013年度から段階的に定年を延長してきたようです。

 

会長さんの言葉では「年齢や性別、学歴、国籍にとらわれない役割を軸
とした真に公正な人事制度の実現をめざす」とありました。

 

要するにダイバシティ経営を徹底していくというのです。

 

 

ダイバシティ経営

 

 

このダイバシティ経営をかなり前から実施してきたのがダイキン工業で
す。

筆者が社会人大学院で研究していた際も、ダイキン工業は調査対象でした。

 

同社は、経済産業省が毎年選ぶ「ダイバシティ経営企業100選」に選
定される、いわばダイバシティ経営の老舗企業でもあります。

 

ダイキン工業は4月1日から、社員が希望すれば70歳まで働き続けられる
ように、再雇用制度を拡充すると発表しました。

報酬設計も見直し、賞与には4段階の上げ幅を設け、成果に報いる評価を
目指すそうです。

 

雇用延長すると雇用条件が極端に悪くなる企業が多い中で、真摯に取り
組んできた結果の制度であると筆者は感じました。

 

ベテラン層の活躍を促し、事業拡大に必要な人材力を強化するとプレス
発表には明記されていました。

 

同社は以前から上図に示した「巧制度」を導入し、ベテランの持つ技術
やノウハウを高く評価してきました。

 

そんな制度が存在するからこそ、再雇用期間を「65歳まで」に設定した
後も、60歳の定年退職以降約9割が再雇用者として勤務しているそうで
す。

とてもすばらしいことだと思います。

 

4月に改正された高齢者雇用安定法では、70歳までの雇用はあくまで
企業の努力義務

 

そんな中、同社はマスコミ発表の中で「将来の義務化に先駆け、70歳ま
での就業機会を確保する」としていました。

 

国の年金政策に対応する為に「仕方なく」対応することを良しとしない
強い意志を感じました。

常に国の制度施行の先手を打ってきたといえます。

 

同社のプレスリリースにとても気になる文章がありましたので、少し下
記に抜粋してみたいと思います。

 

 

「当社では今後もグローバルでの事業拡大に伴い、挑戦するべきテーマ
が多く、熟・壮・青が一体となって課題に立ち向かっていくことが不可
欠です。

「これからも引き続き、年齢や性別、国籍に関係なく一人ひとりが最大
限に能力を発揮できる人事制度を拡充し、ダイバーシティ・マネジメン
トをより一層推進していきます。」

 

 

上記の文章からは、上っ面のダイバシティではなく、ダイバシティの本
質を理解しているのだと感じました。

 

 

 

全世代が活躍できる会社が一番良いはずです
でも、熟年を活かすことが出来ていなかった企業には難しいことなのか
もしれませんね

 

 

 

でも、YKKグループもダイキン工業の取り組みは、まだまだ少数派であ
ることは事実です。

 

その為、数少ない高齢者活用先進企業で働くことはまだまだ難しい事な
のかもしれませんね。

 

 

高齢期ではどんな存在であるべきか

 

 

ダイキン工業では、70歳を超えても会社が認定すれば働き続けること
が出来るそうです。

但し、会社が認定する「技術・ノウハウ」を持っている必要があります。

 

読者の皆さんは、高齢期になっても企業で働き続け、活躍するためには
何が必要だと思いますか。

 

処世術ではないことだけは確かだと筆者は思います。

 

高齢期に入っても、会社の中で胸を張って貢献できる存在であり続ける。

その為には、かなり前から準備が必要なのかもしれません。

誰もがいつかは高齢期に入るのですから。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。