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自助努力より自走人生

2020年01月03日
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読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。

 

このブログも3年目に入りました。

 

まだサラリーマンをしている関係で、なかなか定期的に投稿できず、ご
迷惑をおかけしていますが、令和2年もよろしくお願い申し上げます。

 

サイトの切り替えで、投稿期間が開いてしまいましたが、今年は頑張っ
て投稿していきたいと思っています。

 

年初の記事として、セカンドライフの考え方についてまとめてみました。

 

少し長くなるかもしれませんが、お付き合い願えれば幸いです。

 

 

やっぱり年金は心配?

 

 

少し前にマスコミでも話題になった年金問題。

 

年金以外に2000万円必要だなんて話で盛り上がっていました。

 

しかし、政府がそれを否定して選挙が終ったら、そんな話はなかったか
のように静まりかえっています。

 

でも、筆者は少し気になることがあります。

 

それは、先日発表のあった5年に1度実施される財政検証の中身です。

 

その厚生労働省が公表した年金制度の将来見通しは、

経済が順調に推移すれば 年金支給水準は維持できる

というものでした。

 

「年金は大丈夫です」と政治家の皆さんは口を揃えていますが、上記の
「経済が順調に推移すれば」という前置きが筆者にはどうも引っかかり
ます。

 

 

日本経済は今後も混沌?

 

 

それでは日本経済は今後成長するのでしょうか。

 

バブル崩壊以降、言われ続けた「失われた20年」とか「失われた30
年」という言葉が象徴するように、日本経済は低迷してきました。

 

日本の経済成長は、GDPの成長率の推移をみてもハッキリしています。

 

下図の状況をみても、バブル崩壊以降はマイナス成長を含めてこの国の
経済は成長できていません。
(グラフは2016年までしかありませんが)

 

もう右肩上がりは終焉してしまったといっても過言ではない状態です。

 

 

 

 

筆者の主観ではなく、読者の皆さんは上のグラフをみて、今後の日本経
済は成長するのかと聞かれたらどう答えるでしょうか。

 

もう、成長とか右肩上がりの幻想に惑わされてはいけないと思います。

 

安定成長という名の超低成長(横這い)時代に入っていることを認識し
なければならないのです。

 

そういう意味では、厚生労働省が使った「経済が順調に推移すれば」と
いう言葉はやっぱり気になります。

 

試算では経済がマイナス成長に入った場合、確実に年金支給水準は下が
ることになります。

 

 

自助努力という言葉

 

 

そんな中で「自助努力」という言葉が最近やたらと使われるようになっ
てきました。

 

高齢化によって高齢者が増えることに対して、少子化によって現役世代
はやせ細っていきます。

 

少子化に対して政府はいろいろな手を打っているものの、出生率が劇的
に変化することは、望めない状態であることは確かです。

 

そうなると、やはり高齢者の自助努力が重要になってくる。

 

そこで、「自助努力」という言葉がクローズアップされているのかもし
れません。

 

この自助努力、どういう捉え方をすればいいのでしょうか。

 

1.年金だけに頼らず自分の資産で対応する

現状年金受給世代も年金だけで生活できていないという実態があります。
これから年金を受け取る世代もそれを認識しておかなければなりません。

2.年金受給開始年齢を65歳より遅らせれば、受給できる年金額が
増える

年金受給開始年齢を遅らせれば、遅らせるほど受給額が増えていきます。

現在は70歳までしか遅らせることができなかった受給開始年齢を75
歳まで延長するという話まであるようです。

 

こう考えると、やはり体が動くのであれば、働くしかないというのが現
実的な選択肢になります。

 

でも、筆者は「自助努力」という言葉がどうも好きになれません。

 

とても無責任で、後ろ向きな言葉に聞こえてしまいます。

 

なぜならば、ここには高齢期を迎えた方々がどのように働くのかという
答えがないからです。

 

自助努力というのであれば、政府も年齢ばかりに拘った政策ではなく、
高齢期になっても遣り甲斐をもって働ける明確な指針を打ち出すべきで
す。

 

希望すればいくつまで働けるようにしろと企業に押し付けても、生き甲
斐や遣り甲斐をもって働くことはできません。

 

事実、企業で雇用延長しても同じ会社で65歳迄働く人は少ないのが実
態です。

 

それは、生き甲斐や遣り甲斐がないからです。

 

そこには大きな不平と不満が存在しています。

 

この自助努力という文字の捉え方は非常に難しいといえます。

 

年金政策で企業は希望する者に対して65歳まで雇用を維持しなければ
ならなくなりました。

 

ただ、その対応には課題があります。

 

政府が提示した3つの方策。

 

その内、定年を廃止した企業や定年年齢を引き上げた企業は僅かです。

 

殆どの企業が、雇用延長という方策をとっています。

 

しかしこの雇用延長、働くものにとっては厳しいものになっています。

 

雇用条件は、殆どが不安定な嘱託で1年更新、

そして収入は現役時代と比較して大幅にダウンします。
(50%以上ダウンも少なくありません)

加えて現役時代に持っていた権限はなくなります。

 

これで遣り甲斐を持てという方が酷です。

 

殆どの方々が致し方なしの想いで雇用延長に応じています。

それでは、定年後に後ろ向きに働くのではなく、もっと前向きに働くに
はどうすればいいのか。

これからもう少し皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 

 

自走人生

 

 

定年後も、後ろ向きに働くのではなく、前向きに働きたい。

 

誰もがそう思うのではないでしょうか。

 

我々が長年頼りにしてきた「人生の勝利の方程式」、

知名度のある大学を卒業して、大手企業に就職し、

定年まで勤め上げ、定年後は年金と蓄えで余生を送る。

 

今、この人生の勝利の方程式の次のステップ(方程式)が必要になった
といえます。

 

人生100年時代の新しい人生設計力を養わなければならなくなったわ
けですが、

この人生設計力で描いた人生こそが、

自分で考え、

自分で判断して、

自分で行動する

自走人生」ということになります。

 

 

 

©tsukamoto hajime
イラスト「自走人生」

 

 

 

自分らしさをどう表現するのか、

培ってきたものをどう活かすのか、

高齢期を生きる皆さんが自分自身で、

自分自身が活き活きと働く方法を考えることが、

「自走人生」の第一歩です。

 

多様性の時代だからこそ、次のステップの方程式は人によって変わりま
す。

 

現役時代に好きなことができなかった人は、次のステップで実現する方
法を考えるのもいいかもしれません。

 

そう、まず自分自身の方程式づくりから始めてみるのがいいのではない
でしょうか。

 

その方程式を創る上で、大事な考え方(準備)があると思います。

 

先日大学院の同期生(といっても筆者よりずっと人生経験豊富)の方か
ら良い言葉を聞きました。

 

定年を経験した一人の社会人としてのこの言葉には重みが感じられまし
た。

 

『定年後の怖さは、不安を言い訳にして殻にこもってしまうことだと
います。

組織に慣れきった者は組織の優秀さに流されていたことに気づかず、
己を過信するがあまり、言い訳というバリケードを張りやすいのです。

素直に考えれば「一市民」でしかないのですから、環境の変化に対して
素直になれば必然的に頭が下げられます。

意外に社会はオープンで組織は閉鎖的です。

地域社会のドアをたたけばひょっこりと仲間がいたりするものです。』

 

筆者もこの言葉に大いに共感しました。

 

大きな組織にいると、

なおかつその組織で責任ある立場を経験したものは、

多かれ少なかれ組織の優秀さを自分の優秀さと勘違いしがちです。

 

結果、その過信(驕り)が、セカンドライフの障害になることが多いの
です。

 

まずは、その過信(驕り)を捨てること

 

そして素直な心で、素直な気持ちで自分を見つめ直して、自分がなすべ
きことを考える。

 

その際アドバイスをくれる人は、きっと会社で付き合ってきた人ではあ
りません。

 

意外と地域の方だったりするわけです。

 

ですから「地縁」は、セカンドライフにとってとても大事なものです。

 

恐れずに地域社会の扉を叩くことも、自走人生を設計する上で必要なこ
とになります。

 

意外と地域社会はオープンで大きく開かれているのです。

 

そして、地域コミュニティに入ると、会社がいかに閉鎖的であったかが
わかります。

 

大きな会社にいると、それがとても分かりづらいことも確かです。

 

自走人生の為の準備で大事なことは、

そう「セルフマネジメント」です。

他者にマネジメントされるのではなく、全てセルフマネジメント。

 

自走人生を設計する上で、準備しておくことはたくさんあるのです。

 

それも定年になる前に考えて行動する方が筆者はいいと思います。

 

 

企業も変わるのか

 

 

先日、日本経済新聞に面白い記事が載っていました。

 

アメリカ経済界の主要メンバーでつくる団体が、今までの「株主第一主
義」を見直すと言い始めたのです。

 

今度は「これからは社員(と地域)を大事にする」と従業員配慮の姿勢
を打ち出したというのです。

 

日本経済新聞の2019年8月20日付け電子版の見出しには、

米経済界 「株主第一主義」見直し 従業員配慮を宣言

といった見出しとともに、アマゾンやGMといったアメリカを代表する
企業のCEO181人がこの宣言に参加(賛同)したと書かれていました。

 

これには裏があって、格差社会への批判を回避する為の発言であった可
能性もあります。

 

ただ、筆者はアメリカにおける社員重視の方向性は今後も続くのではな
いかと考えています。

 

上記の団体は今回の声明文の中で、賛同企業は顧客だけでなく従業員や
地域社会の利益に配慮した経営を心掛けると宣言していました。
(決して株主を無視するのではないようですが)

 

このように米国型の資本主義は、今大きな転換点を迎えようとしている
のかもしれません。

 

それは既存のやり方では限界があることが分かってきたからだと感じて
います。

 

それはこの国(日本)も同じなのではないでしょうか。

 

それもそのはず、この国の企業にも大きな課題があるからです。

 

 

社会だけでなく企業も高齢化していく

 

 

この国では、社会だけでなく企業も高齢化しています。

 

まず下図の企業の平均年齢の推移を見てみてください。

 

筆者が2017年に企業の有価証券報告書を元にまとめてみたものです。
(データは、2009ー2015年)

 

高度経済成長期に日本の経済成長を支えてきた電機メーカーと自動車
メーカーを並べてみました。

 

比較対象として、製薬メーカーも加えてみたこのグラフを見ると、ある
一定の法則があることが分かります。

 

 

 

縦軸は年齢を表しています

 

 

 

近年低迷を続ける電機メーカーは相対的に平均年齢が高いというだけで
はなく、毎年0.2~0.5歳の割合で右肩上がりに高齢化を続けてい
ました。

 

おそらくこの傾向は当面続くと予想され、電機メーカーの従業員平均
年齢は、早晩40歳代後半から高年齢者層に近づくと考えられます。

 

当然のごとく、電機メーカーでは、高年齢者雇用の問題が大きく顕在化
する可能性が高いといえます。

 

それに対して近年好調に業績が推移している自動車メーカーは、
電機メーカーと比較して相対的に平均年齢は低く、
なおかつ高齢化のスピードは非常に緩やかで、
グラフ上での直近の2~3年は横ばいの傾向も見えます。

 

この状況をみても企業の活力と高齢化との関係は裏付けができるかもし
れませんが、一つだけ言えることは企業も確実に高齢化しているという
ことです。

 

高齢化するスピードが違うだけなのです。

 

低成長(右肩上がりの終焉)時代を迎えた企業では、この高齢化のスピ
ードは上がります。

 

比較対象として検討した製薬大手の平均年齢も低いながらも上昇傾向に
あります。

 

企業も社会と同じで確実に高齢化しているのです。

 

 

企業は社員の自走人生を応援できないのか?

 

 

電機メーカーの平均年齢の推移が表している課題は一つです。

 

企業はこの高齢化という課題にどう対処するのか。

 

高齢期の社員に早く辞めてもらうか、
それとも人財として活かすかです。

 

活かすのであれば、年金制度改革の為の致し方なしの雇用延長をするの
ではなく、高齢期の社員の自走人生を応援する仕組みを構築すべきでは
ないかと筆者は考えています。

 

「起業支援」をしてもいいですし、その事業が有望な事業であれば
出資してもいいでしょう。

 

成長が見込めるなら、アライアンスもいいかもしれません。

 

社内インキュベーションよりはるかに双方にメリットがあるような気が
します。

 

そのためには、社員に早い段階から社外と交われる機会づくりも大事だ
と思います。

 

会社がチャレンジをする社員を応援する。

 

大きな組織の中にいると、なかなか本気でチャレンジする気にはなれま
せん。

 

社会とともに高齢化する企業は、社員の「自走人生」を応援することに
よって、その活力を復活させることができる可能性は低くないと思うの
です。

 

日本の企業は、年功賃金という形で本来国が背負うべき社会(生活)保
障を担ってきました。

 

子供が大きくなって教育費が必要になるまで給与は上がり続けました。

 

年功賃金は、まさしく生活賃金でもあったわけです。

 

年功序列や年功賃金が崩壊した後、
社員の給与は全く上がらなくなってしまいました。

 

一部のエリート層といわれる人のみが多くのお金をもらい、他の人の給
与は上がらないという社内格差が拡大しています。

 

前述のアメリカの経営者達はなぜ今になって、社員重視といい始めたの
か?

 

その主因は、格差に対する不満・不平が及ぼす影響だと感じています。

 

その反面で、企業の内部留保は増え続けているのです。

 

一昨年(2018年9月)朝日新聞が公表した企業の内部留保の額は、
446兆円という膨大な額です。

 

それも6年連続で過去最高を更新しているそうです。

 

きっと今年も過去最高を更新するこのお金の一部を社員の「自走人生」
支援に使うことができれば、企業にも必ずメリットは出てきます。

 

高齢期以外の社員にとっても、将来自分もサポートしてもらえるのだと
感じてもらえば、離職率も下がるかもしれません。

 

高齢期の社員への冷遇は、必ず次の世代への不安を助長します。

 

将来不安な会社で誰が長く真面目に働こうと思うでしょうか。

 

この社員の自走支援のサポートは、
究極の社員重視といえるかもしれません。

 

筆者は社員の自走支援活動は、この国が抱える少子高齢化という
大きな課題に対しての処方箋になると考えています。

 

 

今回の記事も最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。