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学び直しの重要性

2020年03月17日
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高年齢者雇用の課題

 

今回の記事では、高齢期の雇用にとって大事なものは何かを考えて
みたいと思います。

米中貿易摩擦、保護主義の台頭、不安感を増す中東情勢。

そして、今回の新型コロナウイルスの影響で金融市場も大荒れの状態
です。

日本企業を取り巻く環境は、更に厳しくなったといえます。

そんな中で企業は多くの課題を抱えています。
とりわけ製造業を中心に企業が抱えている課題に「多くの余剰人員」、
「成長力の喪失」等があります。

しかし、課題はそれだけではありません。
もう一つ大きな課題があるのです。

それは企業そのものが高齢化しているという課題です。

長い間、日本の得意技ともいわれた製造業を中心に、ここに挙げた課題
だけでも高年齢者雇用にとっては逆風であることは間違いありません。

新型コロナウイルスの影響で、大きく景気後退していく中にあって、
高年齢者を価値ある存在として扱うには非常に厳しい環境であるといわざるをえない状況は続いています。

この難しい状況で、その考えを根本から変えるためには、高年齢者が
企業にとって必要不可欠な存在=「市場価値を持った人材」として
企業に認められることが一番の近道であると考えます。

しかしながら、以前の記事でもご紹介した日本型雇用システムの弊害の
影響もあります。

高年齢者の「市場価値」を考える場合、企業が抱える事業環境の課題
以外にもまだマイナスの要因が存在するのです。

それは社内での教育システムの課題です。

大企業における被雇用者に対する教育は、日本の雇用システムの記事でも
少し述べたようにOJTが中心です。

ようするに企業の中で活躍できることを主眼に置いた教育なのです。
企業内で通用する学習が中心で、「市場価値」を念頭に置いたものでは
ないということです。

全てがそうではないといえますが、終身雇用に代表されるように、
一旦大企業に就職すると離職することは稀であった為に、企業内で
生きていく為にはOJTを中心とした教育でも十分であったといえます。

厚生労働省の雇用統計によると、今の高年齢者の入社した1980年近辺の
離職率は、15%を下回り12~14%で推移していました。

最近の離職率はそれから上昇し、1997年(平成9年)に15%を超えてしまいましたが、過去はもっと低い値だったのです。

企業で働く人を「会社人間」と呼ぶ時代には会社を辞める、また辞めることを真剣に考えている人は少なかったといえます。

日本型雇用システムに組み込まれた時代においては、被雇用者は結果と
して、個人の努力でスキルアップする人が少なかったといえるのです。

日本の企業は、会社も被雇用者も企業内での活躍を想定したOJT以外の
教育訓練には努力してこなかったともいえるかもしれません。

会社人間であるがゆえに、自分の市場価値を上げる為の活動・勉強を
する機会が少なかったとも言い直せるのです。

社会人のスキルアップの努力が少ないことは、別のデータをみても
わかります。

実は社会人の学習という点で日本と諸外国を比較すると、日本は
社会人学習の後進国といわれても仕方がない状況なのです。

 

昨今、社会人の「学び直し」の必要性が喧伝される一方で、大学院へ
入学する社会人の数は伸び悩みが続いています。

OECDの調査によると、2015年度、大学院の修士課程・専門職課程に
入学した社会人は約1万1000人で、10年前の2005年度とほぼ変わらない
数値となっています。

国際的な比較でもみると、日本の社会人の進学率の低さは際立ち、25歳以上の大学進学率は北欧諸国で10%近くに達する一方で、日本は1%台にとどまっています。

また、社会人の大学院等の進学率では日本は2%しかありません。

下の表をご覧ください。

 

欧米各国との比較で、大学への進学率と大学入学の平均年齢を記述して
います。

ここでも、日本は大学を卒業して企業に就職した後は、勉強をする機会が
少ないことがわかります。

 

それに対して欧米各国は、社会人になってから大学等で専門知識を学ぶ
ケースが多いことがわかります。

これは雇用システムによる仕組みの影響だけでなく、仕事と人の関係に
ついての考え方の違いが大きく影響しています。

(日本と欧米諸国との雇用システムの違いについては、別のブログで
取り上げてみたいと思います。)

資料出所:インターネット検索 世界主要国の大学進学率、
大学入学年齢はこうなっている

http://mbp-kyoto.com/kyotocommunitas/column/17800/

 

また文部科学省の「学校基本調査」によると、博士・修士・専門職学位
課程への社会人入学者数は、2003年から一万人を超えて推移している
状態ですが、それまでは非常に少なかったことがわかっています。

なんと1980年代では、僅かに1千人規模になっており、1990年代に
入っても2~3千人規模という低い水準になっていたのです。

日本の社会において、いかに社会人学習が低水準で遅れているかが
わかる数値です。

これは日本の雇用システムに影響されるところが大きいといえますが、
日本の企業において、被雇用者が自分自身の「市場価値」を考えることが
少なかったことを表すデータであるともいえます。

日本の企業で働く人にとって、長い間「市場価値」よりも「企業内価値」
が優先されてきた表れでもあるとも考えることができるのです。

 

これからセカンドライフの就業を考える高齢期に入った方々にとっては、「企業内価値」よりも「市場価値」が重要になるのです。

そのためには「学び直し」はとても有効かもしれません。

筆者は、人生100年時代の「学び直し」は特効薬でなくても、自分自身の
気づきにつながると思います。

自分の強みを見つけたり、自分に足りないものは何なのかを見つける
ための手段になることは間違いありません。

 

筆者にとって「学び直し」の一番の効果は、会社外のネットワークが
大きくなったということです。

大学院や研究所時代の同期生や大学の先生方、
そして、研究の過程でお会いした方々、
加えて、地縁の構築の為にお会いした方々、

この10年間にお会いした人の数は、38年間企業に勤めている間に
お会いした人の数を確実に上回ります。

定年前の学び直しは、セカンドライフに向けて大きな糧になったことは
間違いありません。

新型コロナウイルスの影響で、企業はテレワークを使って急場を凌いで
います。

働き方改革もなかなか進まなかった状態で、今回の事態は真の働き方改革
の必要性を感じさせてくれます。

この働き方改革とともに、セカンドライフを目指す皆さんには学び方改革が必要になってきたように感じます。

今まで以上に、自分の努力で自分が使える時間が増えるかもしれないの
です。

テレワークでは、無駄な通勤時間は必要ではなくなるのです。

 

わざわざ教育機関まで足を運ばなくても、今はネットを使って学習できる
仕組みも整備されています。

こんな大変な時期ではありますが、これからのセカンドライフを見据えて
自分の為の学ぶ直しを考えるチャンスと捉えることも、とても意義がある
ことかもしれません。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。