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日本の企業は今度こそ変われるのか

2020年06月06日
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新型コロナウイルスの影響が経済に深刻な影を落とす日本。

バブル崩壊以降、停滞を繰り返してきた日本経済と日本企業は正念場を
迎えています。

バブル崩壊以降、結局変わることができなかった日本の企業は、今度こそ
変わることができるのでしょうか。

コロナ後を期待する識者の皆さんが多くおられる中で、筆者は少し懐疑的
です。

でも、今回のコロナ禍の破壊力は中途半端ではなかったために、ある意味
変わるきっかけにはなるかもしれないと思っています。

 

今回の記事は、今度こそ日本は変われるのかという課題について皆さんと
一緒に考えてみたいと思います。

 

 

日本を変えてきたのは外からの外圧

 

 

日本の政府はバブル崩壊以降、今まで様々な形で企業の変革を促して
きました。

経済対策・株価維持政策・公共投資・減税・金利調整・規制緩和・国有
企業の民営化(官から民へ)・働き方改革・・・等々

生産性が全く伸びない状況で、安倍首相は減税をする際に、企業の経営者
に対して訴えてきました。

 

「従業員の給与を上げてほしい」

 

「給与が上がれば、消費が進み景気も良くなる」と

 

そんな切なる想いも企業の経営者は無視をし続け、溜まった内部留保は
500兆円近く。

 

まったく変わらない。

 

過去、この国を変えてきたのは外部からの圧力でした。

古くは、「黒船来航」。

200年以上にも及ぶ鎖国時代を変えたのは、米国のペリー提督の来航で
した。

そして敗戦後は、マッカーサー元帥(進駐軍)。

 

結局、この国を変えることができるのは内部の変革ではなく、外部から
の強力な圧力(変化)しかないというのはある意味悲しいことです。

今回の中国からの新型コロナウイルスは、失われた30年を迎えつつある
この国を変えることができるのでしょうか。

 

 

GDPは更に深く沈んでいく

 

 

実質国内総生産(GDP)は1─3月期の段階では年率1桁の減少に
とどまったとマスコミが報じていました。

ただ、今回の新型コロナウイルスの影響が本格的に出てくる4─6月期は
20%前後の落ち込みも予想されるという声を聞くと少し恐ろしくなり
ます。

日本経済の状況は戦後最悪の状態となりそうだとの見方もあるくらい
です。

コロナ後のことも気になりますが、いつ頃この状態が収束するのか心配
です。

一部の地域では5月14日に先行して緊急事態宣言が解除されましたが、
飲食店の経営者の皆さんがインタビューに応えて、「需要はすぐには
戻らない」と訴えていたのが印象的でした。

 

だれもわからないというのが本音だと思います。

 

政府は経済のV字回復を目指して感染拡大回避と経済活動の両立を目指し
た議論をスタートさせていますが、コロナの影響が大きかった観光・
運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメントなどの業界活性化を
目指した施策を早急に打たないと後遺症は深刻なものになるかもしれ
ません。

 

 

 

 

 

内部留保は活用できるのか

 

 

新型コロナウイルスは中小企業や個人事業主の経営に大打撃を与えて
います。

ただ、大企業の切迫感や危機感は、次々に倒産に追い込まれている海外
企業と比べるとそれほど大きくないようにみえます。

(アパレル業界における大企業の倒産はある意味ショッキングではあり
ましたが)

その背景には、先日の記事でも取り上げた国内企業が積み上げてきた
約500兆円もの「内部留保」があるようです

 

かつては政治家からも「ため込み過ぎ」と批判されてきた日本企業の
内部留保は一転、コロナ禍をしのぐ“切り札”として高く評価され始めま
した。

でも、「内部留保」という言葉とは無縁な中小企業は深刻な状況です。

収入がなくなった場合を念頭に、現金や預金などの手元資産で、従業員
給与や家賃といった固定費をどれだけ払えるかを試算した結果が発表
されていました。

金融・保険業を除く全産業の経営体力は1年10カ月弱だったものの、
飲食サービス業は5カ月強、宿泊業は7カ月弱と短かったという調査
結果をみると厳しいという言葉をはるかに超えています。

自粛要請を余儀なくされている飲食店の経営は火の車といってもよい
状態です。

資本金1000万円未満の規模の小さい企業だけでみると、全産業の
平均体力は1年未満、宿泊業は3カ月以内に経営が立ち行かなくなると
調査結果は警鐘を鳴らしていました。

ところが、大企業に目を転じると、今のところ中小企業ほどの切迫感は
みられないようです。

 

企業の体力だけでなく、やはり内部留保の力が大きいのかもしれません。

 

この内部留保、バブル崩壊後の混乱期には銀行の貸し渋り(銀行自体が
不良債権問題でそれどころではなかったのですが)等の教訓で企業の
中で広がったという説もありますが、

筆者は今回企業がどのように「内部留保」を使うのかとても興味があり
ます。

 

溜まりに溜まってしまった500兆円。

 

筆者は、社会人大学院時代に教授とこの「内部留保」について議論した
ことがあります。

なぜ「内部留保」がこれだけ溜まるのかという筆者の質問に中国出身の
教授は、

 

真剣な顔で、 「(有効な)使い方が分からないのでしょう」

 

と答えたのでした。

決して笑い話ではありません。

確かにいろいろな事情で答えを出せなかった可能性もあります。

 

 

でも、今回はこの「内部留保」を危機からの脱出だけでなく、今度こそ
企業変革の為に使うべきではないかと筆者は考えています。

内部留保は、企業の決算表には現れません。

上場企業が公表する決算表には、内部留保という言葉はないのです。

 

内部留保は、会計上「利益剰余金」「利益準備金」として扱われる為に
GDPとは一旦は無関係になります。

ようするに生産性とは無縁になってしまいます。

企業が利益を上げて、そのお金を使って設備投資を増強すればGDPと
して計上されますが、内部留保として扱うとお金を貯めこむだけなので、
GDPには計上されません。

 

くどいようですが、お金を貯めても生産性は上がりません。

 

儲けることと、使うことを繰り返さなければ生産性は上がらないのです。

 

 

日本の生産性(GDP)を上げる秘策

 

 

ここで、コロナ後にどうすればこの国は生産性を上げることができるの
でしょうか。

考え方そのものは簡単です。

儲かっていないところ(人)が儲かることです。

この日本の中で儲かっていない人は誰か?

 

一つは女性です。

(すみません! 儲かっている女性もたくさんいることは承知していま
す)

そう女性の生産性を上げること。

確かに高度経済成長期では、結婚して一旦家庭に入った女性は働いては
いませんでした。

実は、筆者の嫁も結婚以来ずっと専業主婦です。
(ようするに結婚してから30年弱生産性はゼロです)

 

ただ、少子化と高齢化で生産労働人口が減少し始めたこの国で、生産
労働人口の減少に歯止めをかけたのが女性の積極的な労働市場への参画
でした。

筆者も長く東京で働いていたのでよくわかるのですが、首都圏では家庭に
入った女性もその多くが働いています。

でも以前の記事でも書いたように50%を大きく超える方々が非正規なの
です。

当然家庭との両立の為に働き方は柔軟でいいのかもしれません。

でも、その対価は非常に低いということは事実です。

 

稼ぎが少ない = 生産性が低い

 

ということを考えると、ここにメスを入れることができれば日本の生産性
は上がります。

今、日本における女性就労者の数は2883万人(平成28年度統計)と
前年比でも41万人プラスとおおきく増えています。

その労働力人口総数に占める女性の割合は、 43.4%(前年差 0.3 ポイント
上昇)と女性の労働市場進出が進んだお陰で意外にも大きいのです。

 

この43.4%という数字をよく覚えておいてください。

 

しかしながら、日本では男女での給与差はまだまだ大きいのが実態なの
です。

女性の進出は進んだけれども、賃金は安い。

上記でご説明したとおり、働いている女性の50%以上が非正規だとすれ
ば納得できるところもありますが。

 

参考として、賃金だけでなく男性と女性の格差を表したものを添付して
おきます。

下記のデータは、2018年12月に開催された世界経済フォーラムの際に
公表された「Global Gender GapReport 2018」の内容から抜粋したも
のです。

各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数を示しています。
この指数は、経済、教育、健康、政治の4つの分野のデータから作成され、
0が完全不平等、1が完全平等を意味しているそうです。

 

 

 

2018年の日本の総合スコアは0.662、順位は149か国中110位でした。

日本はまだまだ男女の格差が大きいのですね。

 

このように、女性の生産性を上げればGDPに与えるインパクトは計り知れ
ないほど大きいというのは事実だと思います。

 

そしてもう一つ大きなインパクトを与えられるものがあります。

 

それは高齢期の就労です。

 

日本の多くの企業では、年金制度改革で65歳迄雇用延長する仕組みが
定着してきました。

でも、以前の記事でもご紹介したとおり雇用延長ではガックリ給与が
下がります。

そして、非正規扱いとなります。

全産業の就業者数の推移をみると、平成28(2016)年時点で全就業者
数(6,465万人)のうち、

60~64歳の者は8.1%、

65~69歳の者は6.8%、

70歳以上は5.1%

となっていますが、今後も高齢化の進展により就業者に占める高齢者の
割合は増加傾向であることは間違いありません。

この高齢者の率を単純計算すると、

8.1%+6.8%+5.1%=20.0%

決して少なくない数字です。

 

平成28(2016)年の統計では正規の従業員が99万人に対して、非正規の
従業員が301万人であり、役員を除く雇用者に占める非正規の従業員の
割合は75.3%となっているそうです。

高齢期ということで働き方も調整していることも考えられますが、
女性同様に低賃金で働いていることがこれでわかります。

 

ようするに女性も高齢期の方々も低い賃金で働いているということです。

 

もう一度書きますが、生産性=儲けなので、

 

低賃金 = 低生産性

 

となります。

 

単純計算ですが、女性の44.3%+高齢期の20.0%=働く人の64.3%の
人が低賃金ということはやはり問題です。

(高齢期の就労者の中の女性が重複していることになりますのでアバウト
な数字です)

 

これでは世界最速で高齢化していく日本のGDP(生産性)は上がりません。

 

おまけに非正規労働者の割合が今後も増えていくのであれば、なおさらです。

 

少子高齢化に悩むこの日本で、生産性を上げてもう一度国を立て直すため
には、真のダイバシティを実現すべきです。

 

筆者はその実現に向けて、企業の内部留保を使うべきではないかと
思うのです。

社員も前向きになるのではないかと感じます。

 

女性の生産性(儲け)が上がれば、子供の数が増えるかもしれません。

高齢期の方々の生産性(儲け)が上がれば、働き手不足は解消に向かう
かもしれません。

 

日本の企業が真剣にダイバシティを検討して実行できれば、会社が大きく
変るかもしれません。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。