コロナ後の会社の形
前回の記事では、この国の生産性を上げるために女性と高齢期の方々の
生産性(儲け)を上げましょうと書きました。
今回の記事ではそれが難しい現状と、さすればどのようにすれば生産性
は上がるのかということについて筆者の考え方をまとめてみたいと思い
ます。
筆者は男なので、今回は高齢期の生産性向上についてまとめてみること
にします。
やっぱり(無意識の)年齢差別は存在する
筆者は、3月末に38年間勤め上げた会社を定年退職しました。
4月は諸々の退職手続きに追われ、5月は13年間単身赴任で家をあけ
ていた関係で家の掃除に明け暮れました。
(特に庭の手入れには苦労させられました・・・自業自得かもしれませ
んが…)
ようやく一息つくことができましたが、東京にあるオフィースがコロナ
の影響で建物ごと閉鎖になっているため今は兵庫の自宅で仕事をしてい
ます。
でも、自粛継続で満足な活動もできないために、いろいろな知識を付け
るためにも少し働いてみるかと40年ぶりに就活なるものをしてみたの
です。(笑)
画像素材:Jim Mayes
驚いたのはさすがネット社会、情報だけは山ほど来ます。
筆者の学生時代とは就活の形も大きく様変わりしました。
この情報の多さをみれば、やはり社会では人手不足なのだと痛感しまし
た。
でも実際活動してみて高齢期の雇用は厳しいだけでなく、年齢の高い壁
があるなと感じたのです。
企業も人手不足なのですが、本音がだんだんわかってきました。
・若くて長く働いてくれる人の方がいい
・なるべく賃金を圧縮できて、使い勝手の良い若い人を希望する
やはり、高齢期の方々への誤解というか、偏見というか、
目に見えない壁を感じました。
ある会社からは、本音ともいえる回答を頂きました。
『年齢につきましては労基法上、求人に記載できませんので、当たり障
りのない募集となりますが、実際のところとしましては、今回の求人は
20代・30代の女性を希望しています。』
ここまでハッキリと回答してもらえると、理解に苦しむこともありませ
ん。
多くの高齢期の方々が口を揃えていうように、なかなか高齢期での雇用
はうまくいかないようです。
実際に求人票をよくよく見ていると、企業の希望で多いのが39歳以下
となっていました。
高齢期どころではなく、40代も敬遠されているようです。
年齢が書けない場合は、こんな表現がありました。
『大学を卒業後、15年以内』
高齢期での就活の結果、多くの方々から聞こえてくる声は、
・ハローワークに通いつめても仕事が見つからない
・短期のアルバイトくらいしか見つからない
・年金もらえる迄働きたいと思っているのではなく、働けるうちは働き
たいのだが…
・決して年金もらえる迄の腰掛ではなく、役に立ちたいだけなんだけど
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高齢期の方々の想いと企業の想いは食い違っています。
そして年齢差別というか、年齢の対する偏見みたいなものは実在するの
です。
仕方がないと済ませるのはなにか問題だと感じました。
新しい会社の形
コロナ禍の影響で、国内だけでなく外国の企業も大きな影響を受けてい
ます。
中でも移動制限の影響で、航空業界は大きな打撃を受けています。
海外の航空会社の中には破産申請する会社も出始めました。
その中で国有化される企業も出てきたのです。
かつて日本では、聖域なき構造改革で官から民への移行が推進されまし
た。
その前には長年赤字を垂れ流してきた国営企業が、構造改革の為に民営
化されたこともあります。
でも、筆者はふっと思ったのです。
コロナ後の企業のあり方を考えた時に、この形もあるのではないかと。
最近は国立大学法人発の企業等も、多く社会では活躍するようになりま
した。
であれば、国営や県営・自治体が運営する企業がもっと出てきてもいい
のではないか。
意外と国の利益(生産性)と企業のメリットを連動させることができる
のではないかと思ったのです。
前回の記事でも少しご紹介したように、バブル崩壊以降政府はありとあ
らゆる政策で企業への変革を促しました。
経済対策・株価維持政策・公共投資・減税・金利(調整)政策・規制緩
和・量的緩和等様々な政策を実施しましたが、企業はまったく変わろう
としませんでした。
生産性も全く上がりません。
それもそのはず、政府がこの国の経済の為に様々な政策を打っても、企
業の経営者は自分の会社の事しか考えないので政府の思惑どおり動くは
ずがありません。
このまま企業の経営者に任せていては、コロナ後も生産性は変わらない
かもしれません。
上記のような公営企業で、多くの高齢期の方々や女性が活躍して、生産
性を上げてもらえれば、この国の生産性は上がっていくのではないでし
ょうか。
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公営企業のメリット
もし、国の政策と連動した国営や公営企業が活躍できた場合、国として
のメリットも大きいのではないかと考えます。
生産性向上の成果として経済成長ができた場合、一番効果が出るのは
年金ではないかと筆者は考えています。
年金の支給額の維持は、経済成長が前提であると昨年度の政府の報告に
もありました。
裏返すと、経済が縮小した場合には年金支給額は今以上に減少するとい
うことになります。
我々国民の年金を運用している年金基金は国債等を大量に保有していま
す。
経済が上向きになり、金利が上がれば運用益が増えます。
生産性が上がり経済が成長すれば、長期金利が上がり年金基金がその恩
恵を受けることになります。
更なる高齢化が進むこの国で、生産性を上げて経済成長させることは年
金を守ることにつながるだけでなく、年金を増やす可能性すらあるので
す。
反面成長できない場合、年金がどうなるかは火を見るより明らかです。
(年金は無くならないと思いますが)
そして、度々記事でも取り上げている国の借金問題にも対応ができます。
国の借金は1000兆円をはるかに超えているのに、企業の内部留保は
500兆円。
やはり何かおかしいと感じます。
国は経済活性策として大量の税金を使って様々な政策を打っているのに、
大企業は自分たちだけ(自分たちが生き残り為だけに)お金を貯めこん
でいる。
大企業の経営者にとっては他人事でしょうが、そのツケはやがて国民に
やって来るのです。
大企業の経営者たちは大金をもらって勝ち逃げをする。
でも弱い立場の国民は貧困を強いられる。
でもこの状態をおかしいと声を上げる人は少ないのが現状です。
筆者は上記の公営企業を使って正しいモデルを構築すべきだと考えてい
ます。
企業(国民)の生産性を上げて、
働く人たちの賃金を上げて、
税収を上げる。
上図のように正しい成長へのスパイラルを描ければ、国の借金が積み上
がることに歯止めもかけられるし、年金も守れます。
高齢期の方々の生産性向上は、支えられるのではなく、支える人を増や
すことにもつながります。
社会保障費を安定させれば、次の世代への負担も少なくなる。
もう一度国をあげて生産性を上げる取り組みをする時が来たと思うので
す。
それを今までこの国を支え続けてきた高齢期の方々にも、もう一度手伝
って頂いてできれば素晴らしいことだと思います。
それも手遅れになる前に。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。