もう一度笑える日が来ることを信じて
コロナの第2波が東京を襲う中、開催が危ぶまれていた大相撲7月場所
が観客を入れた上で無事日程を終えました。
優勝力士は、照ノ富士関。
両足の膝をテーピングでぐるぐる巻きにした痛々しい姿で15日間頑張
りました。
その照ノ富士関の優勝コメントがとても印象的でした。
「もう一度笑える日が(きっと)来ることを信じて頑張ってきて(本当
に)良かった」
こう繰り返す照ノ富士関が、どれほど辛く、苦しい日々を送ってきたか
を伺い知れるコメントだったと筆者は思いました。
新番付が発表されるたびに、番付が落ちていく辛さは計り知れないもの
があるかもしれません。
大関在位は14場所
一時は「横綱に最も近い大関」と期待されていながら、大関から陥落す
ると、番付は急降下し続け、ついに序二段(西48枚目)まで番付を落
としたそうです。
日本相撲協会が発足して以来、元大関が幕下まで落ちた例などなかった
とのこと。
大関陥落の原因にもなった両膝の故障に加え、糖尿病にも苦しむ中で努
力することをやめなかった想いが、上記のコメントには凝縮されていま
した。
師匠である親方や部屋の皆さん、後援者や家族の支えがなければここ
までは頑張れなかったかもしれませんが、相撲はあくまでも個人戦。
本人の意志の強さと努力の賜物なのでしょう。
今回の記事は、照ノ富士関の努力にあやかって希望を持つことの重要性
についてまとめてみたいと思います。
画像素材:いらすとや 普段、相撲を見ない筆者も今回は見ましたよ
名誉が重視される風土
照ノ富士関はかつて大関まで上り詰めた力士でした。
大相撲では、大関は力士の最高位として扱われ、横綱とともに特別な地
位とされているそうです。
移動は飛行機ならファーストクラス、鉄道ならグリーン車が利用でき、
会社でいえば役員待遇。
大関以上であれば、化粧まわしには高貴な色とされる紫色が許される
そうです。
ようするに特別待遇といえます。
そんな特別な存在だからこそ、その地位から陥落すると、
“大関(横綱)の “地位を汚さぬように” と早々と引退してしまう力士
は少なくありません。
そんな名誉が重要視される風土・文化の中で凄いプレッシャーを受けた
ことでしょう。
古い風土・文化を乗り越えて復活できた意味はとても大きいのかもしれ
ません。
この国には希望が足りない
コロナ禍が収束する兆しはまったくありません。
そして海洋進出を加速させ、日本への恫喝を続ける中国。
この国は、経済や外交等で難問が山積みです。
バブル崩壊以降、経済の低迷で自信を無くした上に、グローバル化の波
に翻弄され続けたこの国に今必要なのは希望です。
画像素材:Jim Mayes ガーベラの花言葉は「希望」
今一度落ち着いて考えてみると、その希望に向けた施策は少しづつなが
らも見えてきたようにも感じます。
人口減少局面に入ったとはいえ、まだこの国の人口は1億2千万人を維
持しています。
中国やインドの14億人市場にはかないませんが、人口1億人以上の国
は、世界の中では日本も含めて僅か10か国程度しかありません。
その中で市場が成熟している先進国は、米国と日本だけです。
まだ恵まれた市場(の大きさ)を持っているといえるのです。
そんな中で、以前の記事でも説明をしましたが、日本の産業構造は大き
く変化してしまいました。
製造業が衰退し、サービス業が大きく伸びましたが、そのサービス業の
生産性が低すぎることは長い間問題でした。
今回のコロナ禍で、国の主要産業となったサービス業はその脆弱性を
露呈してしまいました。
反面、高い生産性を維持していた製造業は、中国を中心に海外にシフト
してしまいました。
しかしながら、今回のコロナ禍や強引な海洋進出の影響を懸念して、世
界は中国から撤退をはじめようとしています。
特に顕著なのは台湾企業で、2019年から国内回帰の色を濃くしてい
ます。
筆者はこの日本でも、もう一度国内回帰の必要性が出てきたのではない
かと感じています。
もう中国は、防疫面でも外交面でもリスクが大きすぎるのではないでし
ょうか。
(まだ中国市場は魅力的だという方は多いことは知ってはいますが)
もう一度、国内で産業を育てていく。
そこには雇用も生まれます。
そこで働く人たちの生産性を上げながら、地域を活性化していく。
その中で、以前の記事でも取り上げたように、女性や高齢期に入った
方々を活用していく。
高齢期に入った方々を一番活かせる産業はモノづくりです。
生産性を高めることができれば、所得も上がります。
これこそが本当の1億総活躍社会ではないでしょうか。
1億の衆知を集めて努力すれば、メイドインジャパンの競争力は復活す
るはずです。
そこには(国民にとって)希望という2文字が存在するかもしれません。
最近は「1億総活躍社会」という言葉があまり使われませんね
やってきたことを信じられる社会
かつてこの国は、世界に良いものを安く提供することで成功してきまし
た。
その成功体験が(うぬぼれになって)失敗の原因だという人もいます。
しかし、その過程で企業もそこで働く人々も努力してきました。
当時から日本には強力なライバルはたくさんいました。
身近に中国や韓国、台湾というライバルが増えたことは事実ですが、努
力してきたことは事実です。
ただ努力が足りなくなってしまったのかもしれません。
照ノ富士関がテレビの優勝インタビューでこう発言していました。
「やってきたことを信じるだけ(でした)」
こう言い切れるビジネスマン(政治家や役人を含めて)が、今この国に
どれくらいいるのでしょうか?
筆者は、今の働き方改革は間違っていると思います。
働く人が努力することを妨げてはいけないと思うのです。
働く人々がモチベーションを高めて生産性を上げていくことをフォロー
するような働き方改革にしていかなければ意味がありません。
自分を信じて最大限の努力ができる社会。
努力したことが(成果として)自分に帰ってくる社会。
コロナ後、そんな社会の実現に向けて今からできることをすることが
大事なのではないでしょうか。
そこにはきっと希望という言葉が存在すると筆者は思います。
今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。
次回の記事は、久しぶりに取材記事とさせて頂く予定です。
少子高齢化の秘策を持って生まれた街を取材しました。
その秘策のコンセプトは、ソーシャルミックス。
多世代が住むことができる街が、どのように少子高齢化に効果があるの
か?
皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
投稿予定は、8月26日頃を予定しています。
暑い日が続きますが、是非お付き合いを御願い申し上げます。