取りこぼされる人々
緊急事態宣言が一部の府県で解除されました。
これで飲食店も少し元気が戻るのではないか?
そんな期待もすぐには効果が出てきそうにもありません。
昨年から感染の大きな波が3つも続くと、やはり警戒感は残ります。
リバウンドが第4波を起こすのではないか?
そんな心配が頭をよぎります。
国民はもう疲れ切ってしまったのかもしれません。
先日、北海道の活動拠点近くにある飲食店でこんな貼り紙が掲げられて
いました。
「当面の間、お休みさせてください」
普通は、何月何日から何日間お休みを頂きますと書いてあることが多い
のですが、お店を閉める理由もコロナ対策とは書いていません。
言葉にしていなくても、オーナーの苦しい想いが伝わってきそうです。
国のトップは、最近「国の責任」という言葉を頻繁に使っていますが、
取りこぼされる人々や取り残される人々は後を絶ちません。
取りこぼされる人々や取り残される人々を救うために我々ができること
はないのでしょうか?
今回の記事は、読者の皆様と共にコロナ禍の後の社会について少し考え
てみたいと思います。
画像素材:Jim Mayes 今年は桜の花が咲くのが早いですね
最近起きていること
毎朝新聞を読んでいると、不思議なことがたくさん起きていることに気
付かされます。
コロナ禍で空前の不景気であるにも拘わらず、なぜか株価は急騰してい
ます。
あのバブルの頃と変わらない株価になっていることが不思議でなりませ
ん。
投資先を失ったマネーが、より利益を生む投資先(行先)を求めて彷徨
っています。
富める者は有り余るお金を持ち優雅な暮らしをしているのに、貧しいも
のは非正規で日々の生活にも窮している。
今、格差の拡大が社会を分断しようとしています。
女性や子供の自殺が凄い勢いで増えています。
国民が疲弊している中で、政治家や官僚は贅沢三昧で、私利私欲が横行
しています。
後手後手のコロナ対策以外にも「国の責任」としてやるべきことがたく
さんあるのに何もできていない状況が続いているのです。
ここまで書くと少し悲しくなってきますね。
でも国に任せきりにするのではなく、我々一般庶民にもできることがた
くさんあります。
多くのNPO法人の皆さんが立ち上がり、様々な活動をしていることは確
かですがまだまだその数は少ないのが現状です。
画像素材:Jim Mayes 今年は無理でも来年こそは花見がしたいですね
コロナ禍後の社会
ワクチン接種がようやく始まりました。
でも、感染収束に向けた対策として期待されているワクチン接種が国民
全体に行き渡るまでにはまだかなりの時間を要しそうです。
でも、収束がなった時、この社会はどうなっているのでしょうか?
筆者には少し気がかりなことがあります。
それはこの国の財政状態です。
以前の記事でも度々ご紹介してきた国の膨大な借金、その借金はコロナ
禍対策でさらに大きく膨らんでしまいました。
この国の財政は本当に危険な水準にあります。
今、コロナ禍後にこの国はデフレになるのか、それともインフレになる
のかという議論が経済学者を中心に行われています。
今はコロナ禍でそれどころじゃないというのが本音かもしれませんが、
財政難による影響でかなり厳しいインフレに陥るのではないかという懸
念をしている学者さんたちは少なくありません。
政府と日本銀行が躍起になって2%の物価上昇を目指して対策をして待
ち望んできたインフレがとうとうやってくるかもしれないのです。
それも政府の期待を大きく超えるスーパーインフレがやってくる可能性
があります。
かつては世界大恐慌の時にやってきたスーパーインフレ。
そうなればどんな人が苦しい立場になるのかは、前述のとおり明らかで
す。
富めるものではなく、貧しい方々なのです。
そして筆者が一番心配しているのが、年金生活者です。
そう、年金を頼りに生活をしている高齢者の皆さんが一番影響を受ける
ことになりかねないのです。
財政難で社会保障費(年金)は削られる(可能性が高い)
しかし、医療費や介護費の負担は増えるかもしれない
そこに物価は急上昇
高齢者の皆さんにとっては、とても生きずらい社会がやってくるかもし
れないのです。
そしてその影響は高齢者の親御さんを持つ子供の世帯にも広がることに
なるかもしれません。
画像素材:Jim Mayes アフターコロナには夢が欲しいですね!
新しい働き方が必要
そんなことにならないようにする為にも我々は働き方を変えていかなけ
ればならないのかもしれません。
格差はどのように生まれているのでしょうか。
その要因の一つに働き方があります。
この国の経済を支えているのは企業です。
その中心にいるのが、株式会社の存在です。
株式会社にはお金を出す出資者といわれる株主がいて、会社の事業は株
主が決めた経営者が指揮をしながら労働者が働くことによって成り立っ
てきました。
この関係は、強い立場の株主が自分たちの利益を最優先にするよう経営
者に働きかけそして業績が上がれば、経営者は株主と共に真っ先にその
恩恵にあずかるという構図を創り出してきたのです。
バブルの前には、経営者よりも頑張ってくれた労働者に利益を分配する
風潮が強くありましたが、バブル後は株主・経営者重視の傾向が強くな
ったのです。
結果として立場の弱い労働者は、低賃金で悪い待遇で働くことになりま
す。
とりわけ非正規や女性等の弱い立場の労働者はその傾向が高くなります。
一昔前は、労働組合というものの力がそれなりにあって労働者を守って
いましたが、今はその面影すらありません。
こんな状況の中で今注目されているのが、先日の記事でご紹介した
「労働者協同組合」という働き方です。
志を持ったものが、出資→労働→経営の全てのルーチンに関り、働くも
のが共同で会社を運営できるルールが国会で承認されました。
この働き方は、今社会を分断する格差を是正する力を持っています。
ただその働き方について知らない人が多く、まだまだこれからといった
状態です。
しかしながら、コロナ禍の後、この国をどうしていくのか考えた場合、
とても大事な働き方であると筆者は感じています。
ご興味のある方は、是非関連記事を読んでみてください。
弱い立場の方々を救う為にできたこの働き方は、様々なところで実現が
可能です。
例えば、前回の記事でも取り上げた高齢者の皆さんを助ける立場の高齢
者施設にも効果は絶大だと思うのです。
介護の専門家でもある施設の労働者の皆さんが、介護事業の経営の専門
家に成長するとどうなるでしょうか?
介護現場の生産性の向上や待遇改善、ICT化による効率化等事業の質を
飛躍的に高めることが出来る可能性を秘めています。
離職率の高い、厳しい待遇に苦しめられてきた労働者が自ら経営者とな
ることで自分たちの待遇を変えていくこともできるのです。
こんな働き方ができるようになれば、格差を無くしていきながら、自ら
の力で働き甲斐のある職場を創り出すことが出来るかもしれません。
そうなれば、誰も取りこぼさない、誰も取り残さない社会が実現できる
かもしれませんね。
コロナ禍の収束後を考えた時、国に期待するだけではリスクは大き過ぎ
ると思いませんか。
自分たちの生活を守りながら、自らの力で創意工夫しながら道を切り開
く「開拓者」的な働き方。
今、この国の国民に求められているのは、そんな働き方かもしれません。
筆者もこの協同という働き方についてこれからも研究を進めていきたい
と考えています。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。