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幸せな人生を送るということ

2021年07月03日
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筆者は、人生の目的は幸せになることだと思っています。

 

ただ幸せの定義は意外にもあいまいなところが多く、当然のことながら
個人差もあります。

 

幸福かどうか聞かれてもどう答えるかは難しく、その時の気分や感情に
も左右されるでしょう。

 

過去には幸福度の研究は、いろいろな組織や研究機関によって行われて
きました。

特に収入や家族関係との因果関係を研究したものは多く、その中でも、
貧困(お金)と幸福度の関係についてまとめた研究は今まで山ほどなさ
れてきたようです。

 

そんな幸福研究の中で、75年間という長期の調査をした研究がありま
す。

 

1939年から2014年までハーバード大学が多くの学部生と地元
ボストンで育った多くの貧しい男性を対象に調査研究したのです。

 

その研究の名は「グラント研究」といいます。

 

なにせ75年間の調査なので、研究者も一世代では完結できず、何人か
の研究者に引き継がれながら実施されたようです。

 

ハーバード大学の成人発達研究部門が実施したこの研究は単なるアンケ
ートによる追跡調査にとどまらず、血液検査や脳スキャン等時代の最先
端技術も駆使して調査が実施されました。

 

 

その研究成果からは、幸せな人生を送るための「秘訣」のようなものが
見えてきます。

 

その秘訣とはどんなものなのでしょうか?

 

お金、地位、名声・・・

 

経済学者であるイースタリンの研究成果「イースタリンのパラドックス」
では、お金(所得)と幸福度は比例しないと定義づけられていました。

 

お金があることに越したことはありませんが、どうやらお金ではなさそ
うです。

そこにはお金ではない、お金以外の「資産」が大きく関係しているよう
です。

 

それではその資産の中身はどのようなものなのでしょうか。

 

お金だけが資産ではないことはわかりますが、健康も資産の一つだと言
えます。

そして人間関係(人的ネットワーク)は、実はとても大事な資産の一つ
なのです。

 

これらお金では購入できない資産の価値は非常に高いものかもしれませ
ん。

 

 

 

 

 

 

今まで度々ご紹介してきたロンドン大学リンダ・グラットン先生の
「LIFE SHIFT」の中には3つの資産が示されていました。

 

その資産とは、「生産性資産」と「活力資産」、「変身資産」の3つで
す。(上図)

 

生産性資産は、仕事の生産性を高めて所得やキャリアを向上させる為の
資産であり、主にスキルや知識・ノウハウが該当します。

ファーストステージの社会人人生をより良く生きるために必要な資産で
あり、下図のように学生時代から社会人人生の間に習得するものと考え
られます。

それは、(大学院やビジネススクール等の)学習であり、異業種交流会
のような人脈形成かもしれません。

 

活力資産は、肉体的・精神的な健康や良好な人間関係といった無形資産
であり、人生の全工程で必要となる資産ですが、どちらかというと高齢
期になればなるほど必要な資産であるといえます。

 

そして変身資産は、人生100年を生き切る知識や人的ネットワーク、長く
なった人生をより良くする為の継続した学習により習得できる資産と言
えるのかもしれません。

 

セカンドライフ以降に培った変身資産は、人生100年を幸福に導いて
くれるものになる可能性が高いです。

 

ですから変身資産は、人生の後半戦に必要な資産だと言えます。

 

 

 

 

 

 

この3つの資産から一つのKEY-WORDが見えてきます。

 

それは、人間関係とか人的ネットワークという言葉です。

 

前述のグラント研究では、

 

「良い人生は良い人間関係でできている」

 

と結論付けているのです。

 

良い人間関係が私たちの幸福と健康を高めてくれるというのです。

 

そして、その人間関係の「質」が全てを決めると。

 

グラント研究では、その質の高い人間関係が生み出す「幸福を支える2
本の柱」から人々は幸せを見出すのだと結論付けていました。

 

その2本の柱とは、

 

「愛」

 

「愛」をないがしろにせずに済む生き方

 

 

やはりお金ではなく、「愛」がなければ人は幸福にはなれないというこ
とでしょうか。

 

 

 

 

 

 

もう少し付け加えると、このグラント研究を30年以上指揮している
George Vaillant先生が主張する言葉が印象的でした。

 

「老年における健康と幸福、温かな人間関係の3つだ」

 

と先生は言っています。

 

筆者は、このコメントの中にある「老年における(in old age)」という
ところがとても引っかかりました。

 

そしてこう思ったのです。

 

長い人生の中で、高齢期になってからの幸福感がとても大事なのだと。

 

人生は晩年で(の愛で)全てが決まるのかもしれません。

 

 

 

George Vaillant先生の論文から一部を抜粋してみました
筆者は「in old age」という文字が気にかかります

 

 

 

若い頃にいくら幸せでも、晩年で幸福感を感じなければ、人生そのもの
の価値が落ちて行くのかもしれません。

 

人生が長くなったせいで、これから人生の価値観も大きく変わってくる
のかもしれませんね。

 

若いときに大変な苦労をして不幸だった方でも、高齢期に入ってから幸
福になれば素晴らしい人生を送れたと感じることができる時代がくるの
かもしれません。

 

これも人生が長くなったせいなのです。

 

それを恩恵と捉えるのか負担として捉えるのか。

その違いで幸福感は変わるのかもしれません。

 

 

ファーストステージとセカンドステージの人間関係は大きく変わります。

 

人生100年時代を迎えて、これからはセカンドステージやサードステ
ージでのより良い人間関係の構築が、人生の幸福度を左右することにな
りそうです。

 

そういう意味では、セカンドステージをどのように設計していくかはと
ても大事なことになったと言えるのかもしれません。

 

 

ハーバード大学のグラント研究、そしてリンダ・グラットン先生が
「LIFE SHIFT」の中で表した3つの資産からは、我々が高齢期を迎え
た時に何を習得し、どのようなものが必要なのかを教えてくれそうな気
がします。

 

 

今回の記事は、幸せな人生について考えてみました。

 

 

最後までお付き合いを頂き、感謝申し上げます。