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社会性を維持する

2021年08月07日
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コロナ禍の中、東京オリンピックの競技が続いています。

 

開会式の日、新国立競技場の周りでは、深夜まで「超密」状態で大混乱
だったようです。

 

お祭り気分に浸りたいという人、こんな状況で無理やり開催したことに
不満をぶつけ抗議する人、多様性の時代となった今、様々な人がいても
不思議ではありません。

 

その反面、真面目にコロナ感染を防ぐために「巣籠り」を決め込む人も
多いことは事実です。

 

ただ気になるのは「巣籠り」ではなく、「引きこもり」です。

 

高齢者に対するワクチン接種は随分と進みましたが、変異株の脅威にも
晒されている高齢者の皆さんは自宅に引きこもっています。

 

特に気になるのは、単身(独居)高齢者の皆さんです。

 

コロナの前には、ゲートボールや文化活動等の地域での活動に参加して
いましたが、コロナの影響で全てが中止となってしまいました。

 

それも1年半もの長きに亘り、活動ができていません。

 

失政の影響もあるとはいえ、まさかこんな長引くとは考えてもみません
でした。

 

そう、社会性をなくしたことによって、虚弱化が進んでいる方々がたく
さんいるのです。

 

 

 

 

社会性を失うと一気に虚弱化が進行します
社会性の喪失は、フレイル(虚弱化)の扉を開ける事に等しいのです

 

 

 

 

大事な社会性

 

 

 

社会性という言葉を我々は普段あまり使うことはないですね。

 

我々は普段社会の中で生活しているので、そんな言葉は必要ではなかっ
たのかもしれません。

 

この社会性を失う人が続出している今、無くして初めてその重要性に気
付いたということでしょうか。

 

この社会性を失うことで、恐ろしいドミノ倒しが始まるかもしれないの
です。

 

そのドミノ倒しの実態とは、

 

  • まず、社会とのつながりを失うことでドミノ倒しは始まります

  • 社会とのつながりを失うと、生活範囲が極端に小さくなり、

  • 誰とも話すことがなくなり、「心」に異常をきたすことが多くなり

  • 精神的に異常をきたすと、食欲がなくなり、口腔内の健康にも
    影響がでます

  • そして栄養が取れなくなるだけでなく、バランスを崩すことになり

  • 最後にはフレイル(虚弱状態)になる

 

という負の連鎖を起こすことになります。

 

社会とのつながりを失うことが、フレイルの最初の入り口ということに
なってしまうのです。

 

だからこそ、社会性を維持することが重要ということになります。

 

上図にあらわしたように、社会性を無くすと、「口腔機能」「精神・心
理状態」「身体活動」が悪化します。

 

その結果、栄養状態が悪化した上に、体を動かさないことで筋肉が虚弱
化することで、サルコペニア状態となり、最終的にフレイルになるとい
う構図です。

 

社会性を失うことでここまでダメージが深刻になるなんて信じられない
かもしれませんが、コロナ禍の中でこのドミノ倒しがそこらじゅうで進
行しているのです。

 

 

 

高齢期で社会性を失うとドミノ倒しのような恐怖が襲いかかってきます

 

 

 

高齢期での社会参加

 

 

コロナ禍では、高齢期の方々の社会参加は難しいと思われがちですが、
それは間違いです。

 

自治体や地域主催のイベントはコロナ感染を防止する為に中止されてい
ますが、働くことで社会参加が可能であることは誰しも疑問を持ちませ
ん。

 

その機会が極端に少ないだけです。

 

門戸が狭く、機会が余りにも少ないだけなのです。

 

今回コロナ禍が、社会性をなくすとどうなるのかということをハッキリ
と教えてくれました。

 

鰻登りに上昇する社会保障をどのようにしたら食い止められるのか。

 

社会性を考える時、そのヒントが見えてくるような気がします。

 

自治体や地域、そして大学等の研究機関が、どうしたら高齢者の虚弱化
を食い止められるのかという課題に取り組んでいますが、筆者は高齢期
の皆さんにどのように働いてもらうのかという点に注目しています。

 

それも使い捨ての道具や福祉の為に使うのではなく、本気で戦力になっ
てもらう為に働いてもらうことを考えています。

 

高齢期の皆さんが遣り甲斐を持って働くことが、どれほど健康寿命を伸
ばすことに貢献するのかは、以前の記事でご紹介した方の働きぶりを見
ればハッキリしています。

 

高齢期の皆さんにどのように働いてもらうのか?

 

どこでどのように社会に貢献してもらうのか?

 

国や自治体だけでなく企業もその中に入って考える時期が来ているよう
に感じます。

 

これ以上、年金政策の為だけの愚策を繰り返すより、国民の衆知を集め
ることができます。

 

といっても、お金のことしか考えていない経営者が多い中でどう考える
のか?

 

 

 

画像素材:PIXTA 地域のみんなで出資して、みんなで働く
みんなで考え、みんなで決める、そこには定年という概念は存在しない
協働の仕組みは、高齢期の方々がいつまでも働ける仕組みを提供します

 

 

 

筆者は、以前から度々記事でご紹介している「協働」の仕組みを使うこ
とが有効ではないかと考えています。

 

地域の課題を、地域の方々が、高齢期の皆さんを中心に自ら経営して、
自らの労働を通して解決していく。

 

地域の課題を一番理解しているのは、地域の長老としての立場も併せ持
つ高齢期の方々なのです。

 

出資は、そこで働く方々に加えて自治体や地域型クラウドファンディン
グのような仕組みを活かしていけば決して不可能なものではないような
気がします。

 

その結果で、高齢期の皆さんの健康状態がどうなるのか?

 

地域の社会補償費はどうなるのか?

 

このまま指を咥えて見ていても社会保障費の上昇を食い止めることはで
きません。

 

なぜならこれからもこの国では、一層高齢化が進展するからです。

 

今回、コロナの対策を見ても国に過度な期待をかけても無理があること
は国民一人一人が実感できた筈です。

 

以前の記事でもご紹介したように、もう自覚者が動かなければ何も変わ
らない時代になったのかもしれません。

 

 

筆者が勉強している施設では、筆者が入居者である高齢期の皆さん向け
に様々な虚弱化防止策を打ってきました。

 

もう始めて半年以上になりますが、最近は農園で働いて頂いています。

 

どれくらい元気になったかは正確に分析できていませんが、防止策を打
っているグループとそうではないグループの状態を比較すると驚くほど
違いがあります。

 

何もしなければ、社会保障費は上がり続けます。

 

その負担は若い現役世代に重くのしかかっています。

 

今、我々にできることは、どうすればいいのかを真剣に考え、一人一人
が行動に移すことだけです。

 

一人一人が社会の一員であることを自覚して行動すれば、コロナにも打
ち勝てるはずです。

 

高齢期の方々を含めて一人一人が社会性を維持していくこと、その中に
この難局を乗り越えていく為のヒントが隠されているように思えてなり
ません。

 

 

今回の記事も最後までお付き合いを頂き、ありがとうございました。