BLOGブログ

定年という言葉を消し去る時

2022年01月15日
8

国からの雇用延長義務という包囲網に対して、希望退職・早期退職とい
う2種類のミサイル攻撃で突破を試みる企業。

 

最近増えている企業の希望・早期退職の構図はこんな感じだろうか。

 

この闘いで焼け出されるのは、決まって高齢期の社員です。

 

年金支給年齢を65歳迄延長したことによって付け焼刃的に施行した高
齢者雇用安定法の綻びがそこら中で起きています。

 

しかし、企業が国の包囲網から逃れる為の奇策として実施されているこ
の希望・早期退職にも大きな問題が潜んでいるのです。

 

 

 

 

画像素材:いらすとや
大学の工学部棟のトイレにはシャワーが設置されています。
実験でミスがあり、体に火が付いた時に消せるようになっています。

 

 

筆者は3つの大きな問題(ミス)が潜んでいると思っています。

 

 

早期退職・希望退職に潜む3つの流出

 

 

①将来の重要な戦力の流出

 

希望退職を募ると「この会社にいてもいつ首を切られるかわからない」
「であれば安定している他社に移ろうか」と他社でも通用する優秀な社
員から辞めていきます。

 

会社が辞めて欲しい人間は他社では通用しないので会社にしがみつき、
辞めて欲しくない社員から辞めていくのです。

 

②社内資産(ノウハウ)の流出

 

希望退職といっても実際には肩叩きにあうケースが多いと聞きます。

会社から粗末に扱われた人間は、以前の記事でも書いたように会社の重
要な資産を他社に持ち込んで転職を実現します。

 

会社は資産流出を防止する為に誓約書を書かせたり防止策を打ちますが、
効力には疑問を呈します。

裁判になったところで、双方が傷つき痛み分けになるだけです。

 

一番危惧されることは、今重要な資産と思わなくても将来の事業の芽が
人と共に他社へと移っていくことです。

 

③就職あっ旋や割り増し退職金のコストはバカにならない
(コストの流出)

 

社内にノウハウのない転職あっ旋は業者に丸投げとなり、経費は予想外
に増えて行きます。

 

なぜならば、そう簡単には転職は決まらないからです。

 

中には百数十社面接してやっと決まるケースも少なくありません。

 

そして多くの場合、タイムリミットになって、御免なさい、時間切れな
ので辞めてね、会社はやることはやったからね、理解してね。

こんな言葉を聞いた辞める方の不安と不満は増すばかりです。

 

簡単に辞めてくれればいいのですが、そうでない場合はアベノマスクの
ようなことになってしまいます。

 

こんなことになるのであれば、何か違う方法を考えた方がいいのではな
いかと筆者は思います。

 

 

 

写真は、横浜の赤レンガ倉庫です
アベノマスク8000万枚は倉庫の段ボール箱に入れられ眠っています
高く積み上げられた箱は大きな壁のようで悪政による失敗を物語ってい
ます

 

 

企業が新たに導入すべきもの

 

 

こんな苦労するなら苦労し甲斐のある方法があるのではないでしょうか。

 

大事な資産である人も多額のコストも流出させないで済む方法を。

 

その方法の導入には順序があるような気がします。

 

①まず欧米のように年齢差別を撤廃する

 

筆者が記事で度々ご紹介してきた年齢差別の撤廃。

いくつまででも働けることは、どの年代の社員にとっても安心につなが
ります。

50代になって肩叩きにあっている社員を見て将来に不安を抱かない社
員はいません。

 

考え方を180度転換させて、年齢で判断することを止めるのです。

できる社員はいつまでも活用する。

代わりにできない社員は変わってもらう。

年齢差別禁止、これは本来国が法律ですべきことです。

それを一企業がやることに大きなメリットがあるのです。

本当に頭の賢い学生は必ず志望してくれます。
(必ず素晴らしい人材を獲得することができると思います)

 

②①からの自然の流れで定年制を廃止してしまう

 

企業は今まで雇用延長でその場凌ぎをしてきました。

大企業も中小企業のように定年制を廃止してしまうのです。
(メリットは以前の記事を参照ください)

雇用延長の弊害は大きいと思います。

社内失業の社員を抱えていることは、社員の飼い殺しで会社にとっても
社員にとっても良いことは一つもありません。

国の付け焼刃の対策に翻弄されず、社員一人一人に能力を発揮してもら
うのです。

併せて以前の記事でもご紹介したとおり、転勤制度も廃止するのです。

今まで会社への忠誠心を確認する為にゼネラリストを優先してきました
が、50歳以降はスペシャリストとして会社に貢献してもらうのです。

 

今の時代、ゼネラリストよりスペシャリストの方が転職にも有利です。

 

40歳定年とか45歳定年といった言葉を聞きますが、定年という言葉
自体を消し去るのです。

 

 

 

画像素材:Jim Mayse 定年という寂しい言葉を捨てる時が来ています

 

 

その代わり、会社の決める年齢で役割を変えてもらう。

その為にスキルチェンジを本人同意のもとで時間をかけてやってもらう。

努力して変わる人間は会社に残り、努力しない人間は(ある意味納得の
上で)自然と会社から去ることになるのです。

 

③新しい評価制度と共にセカンドキャリアを50歳までに決定する制度
を確立する(年齢は企業の特性に合わせて変えてもいいと思います)

 

新しい評価制度を構築し、できれば50歳までに会社への貢献と自己の
将来への姿を明確にしていくのです。

 

その姿は様々です。

・キャリアアップ/キャリアチェンジ/スキルチェンジ

・社内起業

・自分の責任の元、転職活動
(会社は転職の為に有給休暇を与えたり、勤務しながらの活動もOK)

・社内転職

・考えれば他にも社員を活かせる方法はもっとたくさんある筈です

 

ようするに50歳までに1~2年の期間をかけて50歳以降の貢献の姿
を決めるのです。(もっと長い期間にしてもいいと思います)

 

管理職は別途にしてもいいのですが、60歳以降を考えると管理職も含
めて新しいプログラムを考えてみた方が良いと思います。

 

リストラされるという心配を抱くのではなく、ある年齢になったらもう
一度就職試験を受けるような感じです。
(免許の多くは更新試験がありますが、その要領に近いかもしれません)

 

④③とセットで年功賃金の段階的見直し(将来廃止)

 

個人の方向性が決まれば、その貢献度に合わせて報酬を決めていきます。

この制度の成熟度に合わせて徐々に年功賃金を廃止していくのです。

 

 

 

 

 

 

・いつまでも元気で働き続け、高給で多くの税金を払い、

・社会保障を受けるのではなく社会保障費を払い続けることにより社会
を支え、(年金も受け取らず)会社にも貢献しながら

・遣り甲斐、生き甲斐をもって生きる

という生き方を選んでもらうのです。

 

こんな高齢期の社員が増えれば、国の借金も減り、社会保障費も減少し、
財政破綻の心配も軽減されます。

 

そしてこんな社員なら高齢になってもお荷物にはなりません。

 

このようなシステムを構築したところから人材活用面、コスト面で効果
が出てくると思います。

 

なぜなら、以前の記事でもご紹介したとおり企業も社会と共に高齢化し
ていくからです。

 

 

無理やり社会の流れを変えることは難しい

 

 

高齢期の社員に、将来どのように貢献してもらうのかを自分で考えても
らう方が賢い選択だと思いませんか。

 

どこかの大手企業の社長さんが社員の年齢構成が「釣り鐘型」だと嘆い
ていましたが、当然の話です。

 

社会がそのようになっているからです。

 

企業は社会の中で活動しています。

 

企業も社会の一部なら社会環境に勝てるはずがありません。

 

そういう意味では企業の経営陣が、この国が迎えている超高齢化の正し
い知識をつけることが必要だと感じています。

 

これからライバルの韓国も中国も日本と同じ道を歩みます。

 

その時に逆襲できるようにしておくのです。

 

企業の高齢化に悩み、優秀な社員を捨てた時に今度は逆に日本が利用す
ればいいのです。

その時には、日本には高齢期の社員を活かすシステムがある。

韓国も中国も日本のシステムを模倣して成長してきました。

今度は真似ができないような、日本らしい、人をトコトン大事にして活
かすシステムを構築してしまうのです。

 

Japan as No.1と言われた時代、日本企業の強みは何だったのでしょう
か?

研究開発?

技術?

いえ、社員を大事にして社員と会社が一致団結して敵と立ち向かう姿が
欧米企業から最も恐れられたのです。

 

先に世界的に起きている少子高齢化のノウハウを習得し、利用するいう
事です。

 

筆者は、これからは人事戦略に成功した企業が生き残ると考えています。

 

世界一の高齢化を世界で最初に経験したノウハウをビジネスに活かすチ
ャンスを逃がさないで欲しいと思うのです。

 

その為には企業の経営陣が、世界経済の動向や環境対策の情報を知るの
と同じようにこの国の少子高齢化の知識も知る必要があると思います。

 

決して経営者の皆さんに意見をしているわけではなく、社会の変化をい
ろいろな角度で見て頂ける方が経営には役立つと思うだけなのです。

そして高齢期の社員を活用することは、なによりこの国の社会に役立つ
ことをもう一度認識して頂けると幸いです。

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。