新しい自分の役割を創造する
TVの特番で定年を前に悩み苦しむ高齢期の社員が紹介されていました。
年金制度改革で年金支給年齢が繰り下がる中で、企業には70歳までの
雇用努力義務が課せられていますが、実際には企業内でそれとは全く真
逆の事が行われている実態が明らかになっています。
早期退職や希望退職だけではなく、テスト的に中小企業等への転職が行
われてるのです。
この活動は、筆者の勤めていた会社でも行われていました。
50歳を超えて会社から肩叩きを受けた社員は、現業から外され様々な
企業へと出向させられるのです。
給料は会社が半分、出向先が半分と折半負担となり、現状から大きく変
わることはありません。
出向期間は1~2年で、双方が納得すれば転職が決まります。
その時点で給料は全額転職先が支払うことになるのですが、殆どの場合
大幅ダウンとなります。
出向先は会社が雇った転職エージェントがあっ旋してくれるのですが、
出向先が決まらない場合は、希望退職組に組み込まれる仕組みです。
このように国は65歳や70歳迄雇用延長するように企業に義務化して
いるにも拘わらず会社は社員をどうにかして追い出すことに専念してい
るのです。
国もこの状況は知っているのでしょうが、見ないふりを決め込んでいま
す。
画像素材:いらすとや 雇用義務と早期・希望退職、この不思議な
同居を国はかくれんぼの鬼のように見ないふりを決め込んでいます
この転職組も転職先で長続きすることは少なく、いずれ失業となるか他
に転職できたとしても更に収入がダウンしてしまう事態に陥ることが多
いようです。
この負のループが、日本の賃金がこの30年で大きく減少した要因の一
つになっている可能性があります。
会社からすれば、
「やる事はやったからね」
「後は知らないよ!」
「じゃ、頑張ってね・・・」
と、言った具合でしょうか。
この状況が続けば、高齢期で貧困化する国民がドンドン増えていきます。
こんな状況を変える為に、企業に何かを期待しても無駄であることは火
を見るより明らかです。
このようにうまくいかない要因には、全てを会社に任してしまうことに
あるのではないかと筆者は考えています。
会社から転職を任されるエージェントにしても、転職が決まるという実
績を最優先にする為に転職する本人の希望は二の次にされるケースが多
いからです。
(高齢期になれば)働ける場所があるだけで幸せだ(と思え)!
なんてことになるわけです。
こんなことにならないようにする為にはどうすればいいのでしょうか?
会社に残っても活躍の場所が無いと判断したら、早めに自分の活躍場所
を自分で決めることです。
自分の活躍場所を自分で見つける?
といってもピンと来ないかもしれませんね。
長く大きな企業で働いていると、社会への貢献という姿からは遠ざかり
ます。
言い換えると、会社の中では社会と直接接点は見つからないのです。
だからこそ自分と社会との接点を見つける。
社会との接点 = 自分と社会との直接の接点
という事になります。
自分と社会との直接の接点 = 社会における自分の役割
会社に勤めていれば、例えば部長だとか役員だとかという事です。
この自分の役割を見つけることが、セカンドステージではとても重要に
なります。
極端に言うと、高齢期になれば退職金もそれなりにありますし、子供も
社会に出ていればそんなにお金も必要ではありません。
家のローンも無いという状態になれば、そんなに大きなお金は要りませ
ん。
そんな状態だからこそ本当に自分がやりたいことを見つける。
それが社会における自分の役割という事になります。
画像素材:いらすとや やりたいことが見つかることは嬉しい事ですね。
サラリーマンを長く続けていると、やりたいこと等できなかった筈。
逆に言うと、会社から肩叩きをされるまでにこの役割を見つけておくこ
とです。
そして、その役割が果たせるように準備をしておく。
この役割が見つかれば、シメタものです。
後は退職予定年齢までにその役割が果たせる準備(資格取得や人脈形成)
をしておけば再就職や起業という方向性を見つけることができます。
会社のいいなりにただ働くことを優先すると、厳しい現実が目の前に広
がり絶望感に苛まれることになりかねません。
そんな現実は突然にやってくるかもしれないのです。
「俺は同期の中でも順調に出世街道を歩んでいるんだ!」
と、思っていても、
突然のリストラ(多くの場合、年齢で切られます)
突然、生き残りをかけて会社合併(M&A)の発表
目をかけてくれていた上司が突然の転勤・退職
グローバルな競争社会において、環境変化は突然やってきます。
こんな環境変化の中でも「社会における役割」を見つける事こそが、セ
カンドステージへの出発点になるわけです。
すぐに自分の役割りが見つからない場合は、いろいろな人と話をしてみ
ることからはじめてみてはどうでしょうか?
会社の中では会社の事しか話さないものです。
ですから会社の同僚と話をしても、結局は社内の処世術に頼ることにな
るのです。
会社という組織はとても閉鎖的です。
それと比較すると社会とはとても広くてオープンです。
自分の役割を簡単に見つけ難い反面、相談する相手は無限大に広がって
います。
今はSNSがありますが、やはり顔が見えない手段は最初は怖いですよね。
できれば異業種交流会や住んでいる地域の交流会に顔を出してみること
からやってみてもいいかもしれません。
(今はコロナで難しい状況ですが、こんな中でも地域でどんな交流会が
あるのかを調べておいて、主催者に連絡をとることはできると思います)
その場合、時間軸はできる限り長くとるようにしてください。
その方が心に余裕ができます。
筆者も会社辞める10年前くらいから準備を始めました。
異業種交流会に出ると、そのつながりでどんどん参加する交流会が増え
て行きます。
筆者の場合は、その後社会人大学院にも通いました。
(当時は国から学費の半額程度補助金も出ました)
ドンドン活動することによって人脈もぶ厚くなっていきます。
この人脈 = 相談できる相手
となるわけです。
こんな地道な努力の先にきっと自分の社会における役割が見えてきます。
それがあるのとないのとでは凄く違うのです。
自分の役割を創造すること = 社会のおける自分の存在意義
自分の役割を創造すること = 社会における自分の居場所を確保する
先日また包丁を持って立て籠もる事件が代々木で起きました。
若い犯人は、自分が生きている意義を見出せないと言っていたそうです
が、彼は相談できる相手がいなかったか、素晴らしい人には会えなかっ
たかのどちらかです。
筆者は今年62歳になりますが、人生は誰に出会えるかで全てが決まる
と思っています。
それは有名大学を卒業するとか、大企業に入るとかといったこととは全
く次元が異なることなのです。
自分にとって素晴らしい人に出会えれば人生が変わります。
くだらない輩に出会うことも多いのですが、この素晴らしい人に出会え
るか出会えないかで人生は大きく変わると思います。
その素晴らしい人は、今働いている会社にはいないかもしれないのです。
筆者は前述のTVの特番を見て思うのです。
自分の人生(特にセカンドステージ)を会社に任せてはいけません。
なぜなら社員に肩叩きをする会社は、いくらネームバリューがあろうと
も良い会社ではないからです。
本当に良い会社なら、社員に早期退職や希望退職を募る前に経営陣が先
に責任を取って辞めます。
買叩きをしなければならない状況をつくったのは、経営陣の責任だから
です。
肩叩きに遭ったら、まず冷たい水で顔を洗って目を覚まし、自分の社会
での役割を真剣に考えてみてください。
筆者からのアドバイスでした。
今回の記事も最後まで読んで下さり、感謝申し上げます。