鷹の目を持つ
鷹の目(俯瞰する目)
筆者がまだ若い頃、勤めていた会社の重役の話を聞く機会がありました。
20代半ばから管理職になって(しまって)すぐの出来事でした。
その方の話のテーマは、「鷹の目を持つ」というものでした。
蟻の目から見た世界はどんなものか…
虫(例えばバッタ)の目から見た世界はどんな感じ…
人の目から見た世界は広いようで実はとても狭い。
もし人が鷹のように飛ぶことができた時、どのような世界が見えるのか…
人の目には遠くの山は見えるが、鷹になればその山の先をも見通せる。
ようするに視野を広げ、「目先の事ばかり見ずに将来を見渡せ」という
メッセージだったと記憶しています。
社員として役割りを持ち、日々の仕事に追い回されている人間にすれば
そんな余裕等ないと言いたいところです。
でも人生も高齢期になると、この「鷹の目」の思考はとても大事になり
ます。
あの徳川家康は、「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を行くがごとし」
と言っていましたが、人生は谷あり山ありと先が見通せません。
ただ、ある程度のところまでは見通すことは可能です。
これからの人生の山や谷について…
高齢期の体調問題、働くにも年齢差別の壁、親の介護等セカンドステー
ジにはたくさんの山や谷が存在しています。
だからこそ、鷹の目を持って将来を予測する事が大事だと思うです。
長くなった(なってしまった)残りの人生を見通すくらいの長期的視野
でセカンドステージを設計することができれば素晴らしいことです。
そうすれば、きっと漠然とした不安の多くは消えていくと思うのです。
画像素材:Jim Mayes オオタカ 鷹の仲間は意外と人間の傍にいます
思い込みを捨て去る
読者の皆さんも老害という言葉を聞いたことはあると思います。
よくよく考えると酷い言葉です。
企業や政治の指導者層の高齢化が進んで、世代交代が行われず、組織の
若返りが阻まれている状態を指すことが多いのですが、指導者層は高齢
者が多いので余り声高には言えません。
自分が老いた事を気付かずに若手の活躍を妨げて暴走する様は、今隣国
を侵略している独裁者の姿と重なってしまいます。
ただ老いることが悪いことではありません。
高齢者が若者や社会に害を及ぼしてばかりではないからです。
高齢者が若者の仕事を奪うという懸念を口にする人もいますが、これか
ら日本は生産年齢人口の激減で深刻な人手不足の状態になります。
今でも介護や農業を中心に多くの(技能実習生という名の)外国人を受
け入れていますが、これからは労働力確保の為に移民の受け入れも必要
になってくると予測されています。
そう高齢化でリタイヤする人が増える関係で、人手不足は深刻なものに
なるのです。
そして高齢者が若者の雇用を奪うという考えも正しくありません。
日本でも女性の社会進出が増えていますが、女性が社会進出して若者の
雇用に悪影響を及ぼしたという調査結果はありません。
逆に女性の収入が増えたことで消費が上向きになったくらいです。
思い込みだけが先行していますが、高齢者が働き、将来の不安を少なく
することで、消費が増えることは間違いないことだと思います。
企業の内部留保と同じくらい巨額な高齢者の保有資産を老後の不安の為
に塩漬けにするのか、それとも消費に回るようにするのかで、この国の
景気は大きく変わります。
大事なことはセカンドステージを設計する際に思い込みをしない、させ
ないということなのです。
複数の選択肢が必要
幸せな人生を全うする為に、どの道を進むのか?
この課題は、本ブログの第1回目のセミナーのテーマでもあった「幸せ
な人生のための地図づくり」に繋がります。
道=選択肢ということになりますが、生きていくだけでもとても難しく
なった時代です。
多様性の時代、不確実性(VUCA)の時代ともいわれている時代にどの
ように道を選択するのか?
とても複雑性を持った時代に、選択する以上に大事なことは複数の選択
肢を持っておくということです。
鷹の目を持って残りの人生を見た場合に、こちらの山登りルートが上手
くいかなかった場合には、大きな山を左回りで迂回するルートを選択す
る。
世界や社会情勢の変化を見ながらルートを変えていく必要が出てきまし
た。
筆者もそうなのですが、一つの会社に長く勤めて安定した生活をしてき
た人間には、この複数の選択肢を持つということは中々理解ができない
かもしれません。
でも、よくよく考えると、複数のルートを考えておくことで、将来の不
安を軽減できます。
セカンドステージに入るまでに準備ができればいいのですが、急ぐ必要
もありません。
人生は長くなり、セカンドステージに入れば「膨大な時間」と「心の余
裕」を持つ事ができるのですからです。
日本を代表する企業である伊藤忠商事の重職を歴任された後、中国大使
も勤められた丹羽宇一郎さんはご自身の著書の中で、
「50年先の事を考え、50年先に備える為に戦略を立てる」
とおっしゃっていました。
丹羽さんの好きな言葉に「乾坤一擲(けんこんいってき)」があります。
(部下に対して)その判断に「乾坤一擲」はあるか?
というのが口癖だったようです。
この国の指導者がよくやるやり方「付け焼き刃」ではなく、
それは本質をついた解決策なのか?
それは真剣に将来を見据えた進路なのか? と。
え~ぇ、60歳過ぎて50年先のことを考えるの…
そんなことナンセンスだとか不可能という言葉も聞こえてきそうですが、
これはこう解釈すると納得できるかもしれませんよ。
自分はどんな人間になって、どんな死に方をしたいのか?
ファーストステージ、会社で悪戦苦闘をしながら子供を育て、家族を養
ってきた苦労があるからこそ、もう一度チャレンジする意味で考えてみ
る。
企業を60歳で定年退職しても、長い人で40年も次のステージが使え
ます。
選択肢を複数持つ事も不可能ではないのです。
高齢期でも鷹の目を養い将来を見通すことは大事なことです
自分のなりたい将来をイメージする
かなり前に筆者が聞いた話では、「なりたい自分を直に表現する」こと
も、とても良いことらしいのです。
自分の机の前に、なりたい自分を写真でも絵でも構わないので紙やボー
ド上に表現してみるといいらしいのです。
例えば総理大臣になりたければ、岸田総理の写真を切り抜いてきて、顔
の部分だけ自分の顔を貼り付けるといった感じ…にです。
そしてその写真を毎日見ながら、なりたい自分になる為に今日は何をす
るのか、明日は何をしようかと考えて実行する。
ようするに、その写真(絵)はなりたい自分=目標ということになりま
す。
人生が短かった頃であれば、誰もが無駄だと笑うかもしれません。
でも、人生が長くなった関係で可能性が出てきた。
後は実行あるのみ。
このブログの表紙に綴られている「人生の勝利の方程式」もセカンドス
テージでは通用しなくなります。
その代わりに新たな選択肢を複数持ち、残りの人生を有意義なものにし
ていく。
複数の選択肢を持つためにも、「鷹の目」が必要です。
鷹の目を持ってどんな人生の地図づくりをするのか?
その地図づくりに残りの人生の楽しみを見つけるべきなのかもしれませ
んね。
今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申しあげます。