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棺桶に入る国

2022年12月10日
23

先日あるニュース(TBS NEWS DIG Powered by JNN:2022.11.28)
に目が留まりました。

 

それは、出生数についてのニュースだったのです。

 

官房長官が記者会見で、今年(2022年)9月迄の出生数が調査開始
以来最も少なった去年を下回っていることについて、「危機的状況であ
る」との認識を示したという内容でした。

 

厚生労働省が発表した速報値では、今年1月から9月までの累計の出生
数は59万9636人で、調査開始以来、最も少なかった去年と比べて
も4.9%も下回っているそうです。

 

高齢化だけでなく、少子化も加速していているのです。

 

 

2016年以降は、年間出生数は100万人を下回り続けています
ようするに毎年危機的状況を更新し続けているわけです

 

 

官房長官は、少子化の背景について、

 

「個人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡
み合っている」

 

と(意味不明な難しい言葉を)述べるとともに、

 

「結婚や妊娠出産への支援、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境
の整備など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を進める」

 

という考えを示したようです。

 

残念ながら、この官房長官の言葉の中には、問題の本質を改善するKEY-
WORDはありませんでした。

 

若い人たちが、この国で子供を産み育てたいという気持ちになる言葉は
官房長官が口にした言葉の中にはなかったのです。

 

この国の危機的な状況は、政治家や官僚だけが理解していたわけではな
く、海外の識者からも随分と前から指摘されていました。

 

その識者の中で、仏の人口統計学者、歴史学者、人類学者であるエマニ
ュエル・トッド氏は、自らの著書で下記のように指摘しています。

 

「日本が人口減少を受け入れているのは明かです」

 

「人口減少を受け入れる国というのは、国力が減ることを受け入れる国
です」

 

と、ご自身の著書の中で、日本は大国であることを諦めてしまったと指
摘していました。

 

ようするに自ら衰退することを容認したということになります。

 

そして、トッド氏は日本の人口動態政策について、話し合うだけで何も
しないと指摘もしていたのです。

 

「日本では人口動態は語る為のテーマであって、行動する為のテーマで
はない
のだと…」

 

「初めの内は、自民党が何かをするに違いないと思っていましたが…」

 

外国の知識人から見ても、このように見えるのは、少しショックですね。

 

海外の識者が指摘しているように、「日本の国は騒ぐけれど何も行動し
ない」と実は国民からも見抜かれています。

 

ようするに国の今の政策は、本質を突いていないということを見抜かれ
ているのです。

 

 

国立社会保障・人口問題研究所が発表している2020年の人口ピラミ
ッドです 筆者はずっと「釣鐘型」と認識していましたが…

 

 

棺桶型

 

 

上図に示したのは、国立社会保障・人口問題研究所のホームページに掲
載されている日本の(推計)人口のグラフです。

 

筆者は長くこのグラフを「釣鐘型」と認識してきました。

 

しかし、海外の識者たちはこの日本の人口ピラミッドを実は「棺桶型」
と呼んでいるそうです。

 

そして、この棺桶型から抜け出して(国力を)取り戻し、復活した国は、
今迄どこにもないとも指摘しているのです。

 

海外の識者は、日本の将来を明確に予測(予言)しています。

 

危機的と警鐘を鳴らすのは遅過ぎるということなのです。

 

なぜこの国の政治家や官僚の皆さんは、本質を突いた対応ができないの
でしょうか。

 

 

筆者の住む街ではこの季節、毎朝のように濃霧が発生します
見通しが悪いということでは、この国の将来の姿と重なってしまいます

 

 

前例のない事は出来ない

 

 

以前の記事でも書いたように、この国には悪い癖があると筆者は感じて
います。

 

その悪い癖とは、前例のないことを拒んだり、躊躇したりする体質とい
うか、慣習、文化のことです。

 

この国の役人や企業の中間管理職が、よく口にする言葉…

 

 

「前例がないので許可できません」

 

「過去にやったことがないことは、どうせ(上に)承認されないよ」

 

 

リスクを恐れて、新しいことに挑戦しようという意欲はとても低いよう
に感じています。

 

イノベーションをとても起こしにくい体質に陥っているのです。

 

3年間にも及ぶ新型コロナウイルスの対策でも、政府は思い切った有効
策を一度も打つことができていません。

 

その結果が第8波まで許す結果になっています。

 

この人口問題でも有効な対策を打ち出すのは、絶望的なのでしょうか。

 

 

木々の紅葉は美しいのですが、落葉した後はどこかモノ哀しいですね

 

 

海外の成功例

 

 

それでは海外ではどのように少子化対策をしているのでしょうか。

 

前述のトッド氏の母国フランスでは、子供の多くが婚外子のようです。

 

その婚外子である子供を国が手厚く保護しているようなのです。

 

ようするに子供は国にとって大事な宝、だから手厚く保護する。

 

でも、この日本では多くの子供が貧困に喘いでいます。

 

多くの記事で指摘してきたこの国に蔓延る「自助努力」が少子化対策で
も大きな壁になっているような気がしました。

 

そこで、下記に海外の成功事例について箇条書きではありますが、少し
まとめてみましたので参考にしてみてください。

 

まずトッド氏の母国フランスでは、「家族政策」が人口減少対策の柱と
なっています。

 

フランスの社会制度は、「産めば産むほど有利な(得になる)システム
になっているのです。

 

家族手当

 

所得制限なしで、2子以上を養育する家庭に給付される家族手当です。

 

20歳になるまで、子供の数によって支給されます。

 

日本の児童手当と近いですが、第1子の家庭には支給されない点が違い
ます。

 

 

N分N乗方式

 

子育て世代、特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して、大幅な
所得税減税がなされる子だくさんに有利な仕組みになっています。

 

 

家族補足手当

 

第3子から支給される追加の手当てが存在します。

 

所得制限はありますが、制限は緩やかなので多くの世帯が受給している
ようです。

 

 

年金加算

 

子どもを3人養育すると年金が10%も加算されます。

 

年金を下げよう、下げようとする後ろ向きな国とは大違いです。

 

これは日本でも是非導入すべきと考えます。

 

 

職業自由選択補足手当

 

子育ての為に仕事を全面的に休む、

週4日や3日勤務、

午後3時までの勤務

 

といったように時間短縮するのか等、個人の事情に合わせて労働の有無
や、労働時間数を柔軟に選択することができます。

 

 

保育方法自由選択補足手当

 

保育ママに子どもを預ける場合に支給される手当まであります。

 

 

出産費用

 

産婦人科の受診料、検診費、出生前診断、出産費用など妊娠出産から産
後のリハビリテーション迄を含め全て無料です。

 

日本の出産手当がかすんで見えます。

 

 

父親の出産休暇

 

母親と同様の有給扱いで賃金の80%が保障されています。

 

 

不妊治療

 

治療は公費で行われていますが、43歳までと年齢制限があります。

 

やっと不妊治療の保険適用が始まった国の対応スピードを読者の皆様は
どう思いますか。

 

 

そして、高校までの学費は原則無料となっています。

 

公立大学の学費も、数万円程度の登録手続き費と健康保険料のみで、ほ
ぼ無料だそうです。

 

当然のごとく、奨学金も日本と同じように存在しています。

 

学費や教育費を心配して、子供を設けることを躊躇するなんていう考え
方自体、存在しないといえるほど手厚いのには筆者も驚きました。

 

 

 

画像素材:いらすとや  フランスがここ迄するのには理由がある筈
中途半端で本質から外れた対策を続けるこの国は見習うべきかも…

 

 

そして、前述のように婚外婚が多い社会の仕組みがあるのです。

 

フランスでは、ユニオンリーブル(自由縁組み)というカップルの生き
方が一般化しているようです。

 

1970年に6%だった婚外子の数が、1980年代の半ばから急速に
増加し、2008年には50%を超えているのです。

 

産まれる子供の半数以上が婚外子となった為に、それに対応する社会シ
ステムが出来たのだと感じました。

 

 

日本のように保育ばかりに目が向けられていないことが根本的に違うと
思いながらも、子供に対する国の責任感のようなものを感じました。

 

やはり「自助努力」では、この国の衰退は止まりそうにありません。

 

他にも福祉国家である北欧諸国には優れた制度があるようですが、記事
も長くなってしまいますので、今回の記事はこれくらいにしておきたい
と思います。

 

この日本は、完全に棺桶に入ってしまったのでしょうか。

 

子供達に希望のある国を残すためにはどうすればいいのでしょうか…

 

政治家に任せておけば大変なことになることは確かです。

 

 

今回の記事も最期まで読んでくださり、ありがとうございました。