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長生きすることはいいことなのでしょうか?

2023年07月22日
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長生きすることはいいことなのでしょうか?

 

という言葉が、偶然テレビから聞こえてきました。

 

この言葉を発していた方は、よくテレビでお見受けする方でした。

 

歌手で俳優、そしてよくテレビのCMにも出演している杉良太郎さんが
東京大学先端科学技術研究センターで行われたイベントでの発言を映像
にしたものでした。

 

 

東京大学駒場キャンパス内にある先端科学技術研究センター(左側)
筆者も今年1月の下旬に打合せがあり、センターに行ってきました
長く本郷キャンパスで勉強しましたが、本郷とは全く雰囲気が違います

 

 

もう後期高齢者でもある杉さん。

 

その言葉にも少し特別な重みすら感じます。

 

ただ筆者は杉さんに対してこう呟いてしまったのです。

 

「いや、人間は死ねなくなったんですよ…  杉さん…」

 

杉さんはこの講演の中で、健康寿命についても言及されていました。

 

そう寿命は延びても、健康寿命が延びなければ意味がないとおっしゃり
たいのかもしれません。

 

でも人間の寿命はどこまで延びるのでしょうか?

 

日本人の平均寿命は、最新(2022年)のデータで、女性が87.
57歳、男性で81.47歳でした。

 

筆者が生まれた1960年(約60年ほど前)のデータでは、女性が
70.19歳、男性で65.32歳だったのです。

 

男性も女性も60年余りで、15年以上も寿命が延びています。

 

一昔前は企業の定年は55歳だったことを考えると、長生きなんて考え
る前に人生が終わっていたんですね。

 

だから、長生きのことを考えるようになってしまったのかも…

 

 

以前の記事でも度々ご紹介してきた平均寿命と健康寿命との関係図です
残念ながら平均寿命は延びても健康寿命は延びてはいません
そこを杉さんは気にされているのではないでしょうか

 

 

どこまで寿命は延びるのか?

 

 

寿命を延ばす為には、健康寿命をも延ばす必要性があることは、以前の
記事でも度々ご紹介してきましたが、それでは人間はどこまで寿命が延
びるのでしょうか。

 

日本人の最長老は、過去に118歳迄生きた女性がお二人おられます。

 

それは、あくまでも最長不倒であり、平均寿命ではありません。

 

そんなことを推定をした記事は見当たらなかったのですが、以前の記事
でもご紹介したハーバード大学のデビット・A・シンクレア教授が自身
の著書「LIFE SPAN」で人間の寿命は50年先30年以上も延びると
書いていたのを思い出しました。

 

当然のごとく、この寿命の延びは健康寿命が延びることを前提としてい
ます。

 

シンクレア教授の言葉をまとめてみるとこうなります※

 

 

<テクノロジーが進化してDNAをモニタ出来るようになれば+10年
長生き>

 

DNAをモニタリングできるようになれば、癌等の病気や感染症を早期に
発見し、大きな問題になる前に治療できることにより、寿命が延びると
いうことらしいのです。

 

この10年は、シンクレア教授の言葉を借りると控え目らしいのです。

 

病気を抑え込むことができれば、もっと延びるとおっしゃりたいのでし
ょうね。

 

 

画像素材:いらすとや DNAを簡単にモニタリングできる時代とは…
テクノロジーの進化でもうすぐそれがやってきます

 

 

<老化を病気と捉えるような意識改革で+5年>

 

老化を「(当然で)避けて通れない人生の一部」ではないと捉えれば、
自身の健康管理(食べ物やカロリー制限、そして適度な運動)に気を付
けるようになり、その結果、健康寿命が5年も延びるというのです。

 

ここも、シンクレア教授は10年延びても不思議ではないとおっしゃっ
ています。

 

チョット驚きです…が

 

 

<人間のサバイバル回路を働かせると10%も寿命が延びる +8年>

 

長寿遺伝子(以前の記事でもご紹介したサーチュイン遺伝子)を働かせ
るような分子を摂取すると、細胞のサバイバル回路を活性化させること
ができるようになり、動物実験では10~40%も健康寿命が延びるこ
とが実証されているそうです。

 

ここでもシンクレア教授は、控えめに40%ではなく、10%と言って
います。

 

人間の平均寿命を80歳とすると、10%なので8年寿命が延びる計算
になります。

 

サバイバル回路について知りたい読者の皆様は、一度「LIFE SPAN」
を読んでみてください。

 

500頁もある本ですが…

 

 

画像出所:style.nikkei.com
細胞の核の中にある染色体の先端:テロメア(別名:命の回数券)
染色体(青色)の先に赤く光って見えるのがテロメアだそうです
テロメアの長さを測ると残りの寿命がわかるそうです

細胞のことがわかるとどうすれば寿命が延びるかがわかります

 

 

<新薬やワクチンで老化細胞を除去できれば+10年寿命が延びる>

 

 

老化の要因である老化細胞を除去できるようになれば、老化そのものを
食い止めることができるようになり、寿命が飛躍的に延びるのだそうで
す。

 

「LIFE SPAN」の中でも、この老化細胞を増やさない為の物質が見つ
かっていると書かれていました。

 

一部ではもう既にサプリメントで供給されているものもありますが、老
化を病気として捉える社会になれば、その病気を治す薬ができて、結果
としてその薬が効果を示すことができれば一番いいわけです。

 

それもその薬が健康保険適用になれば、誰もが入手できるようにもなり
ます。

 

がん治療薬や糖尿病の治療薬等が、その効果があるとされているようで
すが、もっと研究が進めば「老化治療薬」や「老化予防ワクチン」が世
に出てくることになることは確実だと思います。

 

そうなれば人間の寿命(健康寿命)は凄い勢いで延びるのかもしれませ
んね。

 

でも、これには社会の老化に対する考え方が大きく変わらなければなら
ないような気もします。

 

老化が当然のことではなく、病気と捉えられれば劇的に社会が変わるの
かもしれませんが…

 

 

画像素材:いらすとや  老化が社会の中で病気と認識されれば…
医者に行けば、老化治療薬を処方してもらえるようになるのです
風邪薬と同じように…

 

 

ということで、上記の項目について計算してみたいと思います。

 

1.テクノロジーの進化でDNAをモニタ   +10年

 

2.老化に対する意識改革          + 5年

 

3.長寿遺伝子を働かせて          + 8年

 

4.老化細胞を除去する新薬で        +10年

 

 

10+5+8+10=33年

 

33年も寿命(健康寿命)が延びるとどうなるのか?

 

人間の平均寿命を80歳とすると、80+33=113歳となります。

 

平均寿命は50年以内に、113歳になる可能性があるということに
なるのです。

 

世界一の平均寿命を誇る日本人…

 

今の日本人女性の87歳に33年を加えると、120歳になります。

 

人間の種としての限界寿命は120年と聞きますが、その年齢に達する
ということになるのです。

 

もしかすると、50年後には日本人の最長寿が140歳とかになってい
るのかもしれませんね。

 

シンクレア教授の控えめの計算をMAX値に直すと、それが不可能では
ないことがわかります。

 

シンクレア教授の言う寿命が延びるとされるMAX値は50年を軽く超
えています。

 

そんな時代が本当に来るのかもしれないと思うと、複雑な気持ちです。

 

その時に社会のシステムが人間の長寿に追い付くのだろうかと…

 

 

今回の記事は、テレビで聞いたある言葉について考えてみました。

 

 

今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申し上げます。

 

 

※記事内でご紹介したデータは、デビット・A・シンクレア教授の著書
「LIFE SPAN」の346~350頁に書かれていたものを引用して
います。