高齢者も安心して働ける社会とは
最近、筆者は自宅のある地元で仕事をしています。
今の家に引っ越しをしてからもう30年以上も経つのに、今迄一度も
地元で働いたことがなかったなんて不思議です。
ですから単身赴任が多く、首都圏で15年以上、加えて北海道でも…
そんな人間が地元の中心地である神戸まで電車で通うことが多くなりま
した。
3つよく似た建物が並ぶ兵庫県庁を眺めながら歩くことが増えました
珍しくここの街路樹はモクレンです
仕事も地元、買い物も地元、地元の良さを満喫しようとしていると、ま
たいろんなところからオファーが増えて困っています。
いままでも時々オファーは頂いていたのですが、最近は頻繁にくるよう
になりました。
何かあったんだろうか…?
もしかして、新手の詐欺かも…(怖)
少し訝しげに考えるようになってしまいました。
でも、よくよく考えるともう60も過ぎて高齢者予備軍です。
こんな人間になぜ興味を持つのか不思議で少し考えさせられました。
「やはり人口減少で働き手不足なのだろうか…」
先日もテレビで、路線バスの運転手が確保できない為に、特定の路線を
廃止すると報道されていました。
やっぱり(働く)人が少ないんだよね…と独り言…
一つだけハッキリ言えることは、高齢化の進展と共に、これからも労働
者人口(働ける人の数)は確実に減っていくのです。
そんな中で、人手不足が深刻になりつつある…
もしかして、これから60歳を過ぎて高齢期になっても、売り手市場に
なるのかも…
なんてことを考えてしまいます。
最近、就活生も売り手市場と聞きますが、とうとう高齢期の皆さんにも
チャンスがきているのかもしれないと思い、今回は記事の中で少し考え
てみることにしました。
海の上にある神戸空港から六甲山系と美しい神戸の街並みを望む
日本人の遺伝子
65歳以上の方々も、2人に1人が働く時代になりました。
働きたい人と、(お金は充分にあるので)働きたくない人とがいて、
働くこと自体は本人の希望次第(自由)なのですが、問題は働きたい
人が働ける社会なのかということです。
ついこの前までは、(65歳迄雇用延長義務がある中で)半強制的な
早期退職や希望退職の嵐が吹き荒れていました。
そこには、働きたい人が働けない実態が確かに存在していたのです。
そして働けたとしても、収入が激減することも当たり前のように起きて
いたのです。
安心して働ける社会ではなかったとも言えました。
それがこれから変わっていくのでしょうか…
?????…
日本人は、もともと農耕民族です。
大昔はみんな死ぬまで働いていました。
(そんなの嫌だという気持ちは理解できますが…)
大昔と言っても、ほんの100年くらい前までは殆ど状態だったのです。
以前の記事でも少し触れましたが、この国の産業構造は大きく変化して
きました。
この数十年では、製造業等第2次産業からサービス業等の第3次産業へ
のシフトがありましたが、その前は農業や漁業等の第1次産業が主流で
した。
少し古いデータですが、筆者が生まれた1960年では約半数が第1次産業
の従事者だったのです
しかし、定年のない第1次産業は大きく衰退してしまいました
その影響で、食料自給率は大きく下がってしまったのです
当然のごとく、第1次産業は「定年」とはほぼ無関係だったことは説明
する必要もないことですね。
日本の経済成長を支えてきた製造業(第2次産業)が盛んになってから
「定年」が制度として定着したのですが、人生100年時代の到来で
またもや「定年」がない産業が必要になってきているとも言えるのです。
(能力があって働ける)高齢者を活かせる産業がこの国にあれば、多く
の難問を解決することができそうです。
もしかすると、それは「産業」ではなく、新しい「働く仕組み」なのか
もしれません。
日本人の遺伝子に組み込まれている「死ぬ迄働ける」能力を活かさない
と“もったいない”のかもしれないのです。
この国には(石油や天然ガス、鉱物資源等の)資源がありません。
そう、資源といえるのは人だけなのです。
そう考えると、元気な高齢者もこの国にとっては、貴重な社会の資源だ
という認識を持つべきなのかもしれないのです。
今年も筆者の地元は豊作でした(写真は酒米の山田錦)
リスク回避も
露がウクライナに侵攻してもう2年、食料も含めて驚異的な物価高が続
いています。
スーパーに行っても、モノの値段を見て驚かされます。
加えて、最近中東でもキナ臭い「もめ事」が起きています。
そんな状態にも拘わらず、この国の食料自給率は下がっていくばかりで
す。
安全保障やリスク回避の面からも、食料自給率を上げておく必要がある
のですが…
その反面で、第1次産業である農業従事者の平均年齢は、もう70歳に
届きそうです。
そう、もう既に高齢者の領域に突入しているのです。
元気な高齢者によるテコ入れで、豊富なノウハウを後進に継承し、農業
を守らなければならないような状況になっているといえます。
国は農業に参入する人に補助金を出していますが、そんな対応でいいの
でしょうか。
とても疑問です。
農業だけでなく、この国の貴重な社会資源である高齢者をどう使うのか
によって、これからの国の在り方は大きく変わります。
社会保障費を使うだけの存在にしておくのか、それとも資源として使う
のか…
筆者が考えている事業のコンセプトは、「高齢者を使い倒す」です。
画像素材:Jim Mayes 落ち葉も最後は頑張って美しさを放ちます
人間も同じなのかもしれませんよ…
多くの高齢者も、実は「役に立ちたい」と思っているのです。
以前の記事でも度々書いてきたように、働くことで健康をも維持するこ
とができます。
弱った高齢者を施設で守る施策だけではなく、高齢者を有効に使い倒す
施策も必要なのです。
この国において、雇用という分野は今迄は優秀な企業が担ってきました。
その優秀な企業は、年功賃金という形で本来国が背負うべき社会(生活)
保障を担ってきました。
今度は、企業に任せきりにするのではなく、国が高齢者を有効に使う施
策を考える番です。
筆者は、「こども家庭庁」があるなら、「高齢者活躍庁」があってもい
いのではないかと思うのですが…
年金制度の歪を企業に押し付けるだけではなく、前向きにお金を使って
高齢者を使い倒す施策を考えるべきだと…
産業別に違いはあっても、これからも確実に人手不足は進んでいきます。
今こそ、その施策を前面に出す時ではないでしょうか。
読者の皆さんの中にも良いアイデアがあれば、是非教えてください。
今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申し上げます。