長生きをどう考える
この週末、訃報が続きました。
「Dr.スランプ」や「ドラゴンボール」で世界的にも有名な漫画家、鳥山
明さん。
なんと68歳という若さでした。
そして、国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」のまる子役の声優である
TARAKO(たらこ)さん。
たらこさんは63歳と、筆者よりも若いのです。
早過ぎる死に日本中に衝撃が走った週末となってしまいました。
若くして天国に召されることは、とても残念でもあり、哀しいことなか
もしれません。
筆者の家系も早死にの家系…
筆者も親や兄弟を見送ってきました。
口惜しさや哀しさ、寂しさを味わってきたのかもしれません。
画像素材:Jim Mayes あの世とは綺麗なところなのでしょうか?
複雑な気持ち
ただ、若くして天国に召される方を羨ましく思っている人も存在してい
るかもしれないのです。
それは、長生きしたくない高齢者の皆さんの中に存在するかもしれませ
ん。
長生きすることに疑問を感じている方もいるかもしれないということな
のです。
そんな想いを裏付けるようなある異変も起きています。
筆者の杞憂であればいいのですが…
なぜ筆者がそんな心配をしているかというと…
筆者が調査している高齢者住宅にも最近異変が起きているからです。
その異変は今迄も存在していましたが、最近になって多発傾向なのです。
その異変は一つではなく、複数あります。
その異変の一つ目は、高齢の女性(独居)の転居です。
転居している多くの方が、85歳前後の単身生活をしている女性です。
家賃が今の公営住宅より安い住宅へと転居する人が増えているのです。
旦那様が亡くなってからは遺族年金だけになる為、年金の受給額は下が
ります。
年金が下がった分、預金だけが頼りになりますが、預金残高と自分の寿
命を考えた時、やはり心配になるのかもしれません。
問題はいつまで生きるのかわからないことなのです…
家族や友人が一人、一人といなくなる寂しさと将来の不安は相乗効果と
なって静かに押し寄せてきます
長寿を喜ぶ為には、条件が必要なのかもしれないと思う時があります。
生きている間は、お金の心配ごとから解放されることはないのかも…
将来の(お金の)心配から生活を切り詰めていくことになるからです。
哀しいかな、お金の心配をしなくてよくなるのは、死んでからなのかも
しれませんね。
そして、二つ目の異変は、賃貸住宅を強制退去になる事案が増えている
ことです。
高級賃貸住宅の場合は、残された奥様の預金が無くなれば、家賃の安い
住宅へと転居すればいいのですが、中にはそうではないケースも存在し
ます。
築50年以上で低家賃が設定されている住宅でも、家賃を滞納して強制
退去となるケースが多発しています。
年金だけでなんとか家賃と生活費は賄えそうなのですが…
医療費やその他の経費が大変なのでしょうか?…
高齢になると、様々な特別な事情があるのかもしれませんね。
最悪の場合、行政が提供するセーフティーネットがあるといいながら、
このような事案が増えてくると少し心配にもなってきます。
とにかく、多くの高齢者の皆さんが将来の自分の生活に不安を抱いてい
ることは確かなようです。
お金が空から降ってくればいいのですが…
PLAN75の衝撃
最近、筆者の周りで増えているこの異変を見ながら、筆者はある映画の
ことを思い出してしまいました。
2年前(2022年)に封切られた「PLAN75」という映画のこと
です。
映画の設定は2025年ですので、近未来が舞台なのです。
この映画の中身は、こんな感じです。
高齢者の急増で、社会保障費の負担が要因の財政難を起こしたこの国で、
そのしわ寄せを受けた若者の怒りが爆発し、
高齢者に対する(若者による)攻撃が起こるようになった社会が舞台に
なっています。
問題の対処で追い込まれた政府は、その対策として75歳以上の高齢者
が自分の意志で、死を選択できるという「PLAN75」という政策を
立ち上げるという設定の映画(フィクション)なのです。
名優倍賞千恵子さんが演じる主人公も旦那さんを亡くした単身高齢女性
という設定でした。
清掃員として(高齢でも)働く主人公が、高齢を理由に解雇され、将来
に絶望を感じて自ら死を決断するというストーリーなのですが…
この映画はまさに「現代版姥捨て山」と言えるのかもしれません。
画像素材:フォトサリュ 姥捨て山が実在したのかはわかりませんが…
この映画はあくまでもつくり話なのですが、最近の状況を見ていると、
筆者は「本当のことになるかもしれない」と感じてしまいます。
そんなことになる筈がないと願いながらも…
少しでも安い家賃の住宅に転居していく高齢者の皆さんはどんな気持ち
なのだろうかと考えると、何かもっと前向きな施策はないモノかと感じ
てしまいます。
映画の中では、「PLAN75に応募した(死を決断した)」高齢者に
10万円が(国から)支給されていました。
当然、生活の足しにするお金ではありません。
死ぬ前に「楽しいことをしておいてくださいね」と国が高齢者に渡すも
のなのです。
ようするに、人生の最期の(国からの)ご褒美ということになります。
(とても悲しいご褒美ですが…)
死を決意した主人公も(旦那様との)このお金を使って、想い出の場所
を旅行します。
筆者はこんなところにお金を使うのであれば、もっと活きたお金を使う
べきだと思うのですが…(あくまでも映画ですが哀しいです)
例えば、年齢に関係なく、(健康であれば)いつまでも生き甲斐を持っ
て働ける場を創ることもとても大事なことだと思うのです。
高齢になると、清掃員や誘導員のような仕事しかないようです。
もっと国が知恵を絞って、高齢者を有効に活用しながら、年金以外の勤
労報酬を高齢者が得る方法を考えるべきだと考えています。
そうすれば、将来に対する不安は軽減されますし、年金だけに頼る老後
の形を変えていくことができるかもしれないからです。
そして、若くして死ねることを羨む高齢者も減っていきます。
長生きすることに感謝することもできるのではないでしょうか。
この国で(幸せに)長寿を全うできる高齢者の皆さんが増えることを願
うばかりです。
今回の記事は、最近筆者の周りで多発している「異変」について、社会
に対する(筆者なりの)警鐘を込めて、書いてみました。
近未来のこの国で「PLAN75」のような施策や政策が出てこないよ
うに願うばかりです。
今回の記事も最期まで読んでくださり、感謝申し上げます。