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安心感のない社会

2024年06月01日
11

今朝は快晴!

 

朝から書斎に入った筆者は、部屋の明るさにビックリ…

 

今週は超多忙で関西圏を走り回っていた筆者、

 

先週は首都圏で、その疲れも含めて少しお疲れモードです。

 

書斎のパソコンに向かうと、出窓越しになにやらピンク色の花が目に飛
び込んできました。

 

先日まで庭の植栽であるレッドロビンの小さくて白い花が咲いていまし
た。

 

その白い花に代わって、今度はピンク色の花。

 

よく見てみると、お隣りの庭にある箱根ウツギの花でした。

 

お隣りの庭から大きく越境して、美しい花を咲かせていたこの花は、昨
年お隣りのお父さんの手でバッサリと根元から切られてしまいました。

 

ですから昨年はこの花は見ていませんでした。

 

この季節、いつも楽しみにしていたのですが、お父さんの(我が家への)
配慮で見れなくなっていたのです。

 

それが僅か1年ほどで、レッドロビンの背を抜いて伸びてきて、花を咲
かせたようです。

 

「私、まだ生きているわよ!」

 

「まぁ、お久しぶりね…」

 

と、言わんばかりに花を咲かせていました。

 

白とピンクのコンビネーションが絶妙です。

 

風に揺られた美しい花が、朝日に照らされて眩しいほどです。

 

朝から生命力を感じさせられましたが、筆者もこの箱根ウツギのように
元気で生きていきたいと思いました。

 

 

写真は3年前のものです  一旦はバッサリと切られたものの復活です
こんなに花は多くないのですが、きっと来年はもっと綺麗です

 

 

元気の源

 

 

小さな花なのですが、朝から元気をもらいました。

 

人間はチョットしたきっかけで元気を出せる生き物なのかもしれません
ね。

 

先日もある高齢者住宅でこんなことがありました。

 

訪問していたのは、独居高齢女性のSさん。

 

旦那様に先立たれ、かなり足腰が弱っており、部屋の中の移動も壁に
設置された手摺りが頼りです。

 

なんとか部屋の中は移動できるものの、外出は難しくなっています。

 

そんな状態を心配して、筆者が運動用のセラバンドをプレゼントして、
転倒防止の運動をしてもらうことにしました。

 

体中の痛みで整形外科にも通っているSさんからすれば、運動なんてと
いう気持ちもあるようです。

 

でも、家の中でテレビを見ながらでもいいので、できる限り体を動かし
てね…

 

と、話しをした2日後くらいにSさんから電話がかかってきました。

 

電話の向こうのSさんは、泣いているようにも感じました。

 

「嬉しかった」

 

「赤の他人なのに…なんでこんなに優しくしてくれるの…」

 

筆者の名前の2文字の内の1文字が、亡くなった旦那様の名前と同じ。

 

もう1文字は、お父様の名前と同じなのだそうです。

 

「何かに守られている…」

 

そう感じて、温かい気持ちになったそうです。

 

 

Sさんの住む団地は大きな川の河川敷に面して建っています
こんな綺麗に河川敷が整備されているのに散歩を楽しむことができない
なんて残念です

 

 

筆者からは、

 

「Sさん 100歳迄生きられる時代になりました」

 

「体が不自由でも諦めず、できる限り体を動かして、長生きしましょう」

 

と伝えました。

 

Sさんは、何かに守られている安心感のようなものを感じたようです。

 

大したことはしていないのですが…

 

前回の記事でもご紹介したように、独居高齢者の孤独死や孤立死が増え
ています。

 

Sさんの住む団地も築45年を超えました。

 

住民の高齢化も進み、自治会も消滅しています。

 

住民の中に世話役のような方がいるのが唯一の救いになっているような
状況なのです。

 

こんな状況で高齢化している方々に、どのように安心感を与えることが
できるのか…

 

国や行政には「やれること」はまだまだありそうです。

 

 

安心感のない社会

 

 

安心感が足りないのは、高齢者だけではなさそうです。

 

もしかすると、社会全体でこの安心感が無くなってはいないかと危惧し
ています。

 

今年、大学卒の内定率が過去最高になったそうです。

 

しかしながら、会社に入ってもすぐに辞めてしまうのだそうです。

 

東京大学で勉強している時も、先生方から嘆き節を聞いたことがありま
す。

 

「東大出ても3年も経ったら多くが辞めちゃうんだよな…」

 

新聞を見ていると、今の社会人の2人に1人は転職を経験しているのだ
そうです。

 

時代が変わったというところでしょうか。

 

 

 

大学院で博士の学位を取得した方は、皆さん赤門の前で記念撮影を
していました 昔はここを出ただけで生涯安泰だったはずなのですが…

 

 

 

筆者も定年後はいろいろな組織や会社で勉強をさせて頂きました。

 

でも、現役時代は約40年間、同じ会社で過ごしました。

 

いろいろな苦労もありましたが、不安に思ったことは殆どありませんで
した。

 

安心感という点では、抜群だったといえるのかもしれません。

 

一つの会社で精一杯頑張ることは、悪いことではないとも感じています。

 

巷では「転職市場」なるものが存在していて、お金儲けの材料になって
います。

 

そんなこともあってか、労働者の意識も変わってしまったのかもしれま
せんね。

 

変化は労働者の側だけではありません。

 

会社側の雇用に対する考え方も大きく変わってしまいました。

 

簡単に早期退職という首切りを選択するようになってしまいました。

 

(老後の生活に必要な)退職金も急速に縮小しています。

 

この国の会社は、社員に安心感を与えなくなってしまいました。

 

 

何かおかしくないですか?

 

 

多くの外国は、国民の生活保障を国が担っています。

 

この日本では今迄、優秀な企業が国に代わって国民(社員)の生活保障
をしてきたのです。

 

年齢と共に上がっていく年功賃金は、子供達が進学して多くのお金が必
要になっても対応を可能にしてくれていました。

 

すぐに転職するなら、年功賃金等必要もないということになります。

 

 

 

以前の記事でもご紹介した年功賃金のモデル図です。
オレンジのラインで表した年功賃金が右肩上がりでなくなったら、
生涯年収額が減っていくのではないかと不安になりませんか?
(要するにオレンジラインの下の面積が減少することを指します)
生涯年収額が減るということは、年金受給額も減るということです
おまけに退職金も減る…  なんかおかしくないですか?

 

 

 

この国の会社の姿が大きく変わっていく中で、働く人の「安心感」も
無くなっているような気がしてなりません。

 

会社と社員のつながりが、薄く、細くなってしまいました。

 

そして、同時に企業の(国際)競争力も無くなっているような…

 

かつて欧米の企業が日本企業を怖がっていたのは、技術力や財力なんか
ではありません。

 

会社と社員がスクラムを組んで、前へと突進してくる姿に恐怖していた
のです。

 

欧米の企業には存在しないものを日本企業は持っていたのです。

 

良いものを捨ててしまった…

 

強みを自ら切り捨ててしまった…

 

この国の企業が弱くなってしまったのではないかと感じています。

 

将来に夢を見ることができなくなって、今を生きるのが精一杯…

 

社員は、そんな形に追いやられてしまったような気がします。

 

何がどう変わって、こうなってしまったのか…

 

もう一度、この国に住む人たちに安心感が戻る為には、何が必要なのか
考えてみる時期なのかもしれないと思いました。

 

今回の記事は、ある高齢女性が感じた安心感の重要性について少し考え
てみました。

 

読者の皆様は、安心感をお持ちですか?

 

 

今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申し上げます。