平等社会から格差社会へ
政府が備蓄米を放出したにもかかわらず、お米の値段が下がりません。
逆に上がっているような気もします。
困ったもんです。
この4月(2025年)から年金が、前年比で1.9%増えるのだそう
です。
食料品の価格や光熱費等が上がり、家計負担が重くなっているからだそ
うです。
物価連動型の年金なのですが、上げ幅が物価上昇率を下回るのはなぜで
しょうか。
年金だけで生活している高齢者の皆さんは、お米を買う時に躊躇せざる
をえない状況に追いやられています。
高齢者といっても、まだ就業中で年金以外の収入がある世帯と、年金だ
けが頼りという世帯に分かれています。
そう、高齢者の皆さんの中にも所得の格差はあるのです。
現代は格差社会と呼ばれるようになりましたが、現役世代だけでなく高
齢期にも格差は存在しているのです。
バブル期の1980年代半ば以降に観察されるようになった所得格差の
拡大の要因は、最初は欧米型の格差と同じものだと考えられてきました。
ただ、最近の研究によると、どうやらこの国の国難でもある高齢化が大
きな影響を及ぼしていることがわかってきたそうです。
老木でも大事にすれば綺麗な花を咲かせてくれるのですが…
高齢世帯の方が格差は大きい
国全体の所得や資産が各家庭にどれくらい平等に分けられているかを示
す指標としてジニ係数というものがあります。
このジニ係数の数値は0から1で表現されており、
1であれば不平等(格差が大きい)ということになり、
0であればその反対で平等(格差が小さい)ということになり、
格差の度合いを測る指標となっているのです。
このジニ係数がOECD加盟国の中で一番高い国は米国で、2021年統
計でも0.494となっており、所得格差が激しい国の代表です。
当然のことながら後進国でもこの値は高くなるものの、先進諸国でも
近年上昇傾向にあります。
日本も最近、このジニ係数が高い国の仲間入りをしており、0.381
(2021年統計)と所得格差が大きな問題となっているようです。
もっと問題なのは、このジニ係数高齢世帯に限って算出すると、全世帯
の数値よりも高い数値になっていることなのです。
年金という再分配制度を考慮しても高いということは、今の年金制度が
平等ではないことを示す材料にもなっています。
現在でも社会保障費の現役世代の負担が問題になっていることを考えて
も、年金が改善される余地はありません。
ただ、上記からもハッキリと言えることがあります。
それは、今後高齢化が更に進展していけば、格差は更に広がっていくと
いう事実です。
高齢化が格差を広げる要因になっているという苦しい現実が見えてきま
す。
田んぼの畦道で早くもレンゲソウを発見しました
労働市場が変わらなければ
年金だけでは食べてはいけない…
これが現実であることは、高齢者の皆さんが一番ご存知です。
ということは、高齢者でも年金以外の所得があれば生活に余裕も出てき
ますし、格差問題も改善されていくはずです。
ただ、この国の労働市場は高齢者を受け入れてはいません。
働けても非正規は当然で、薄給は当たり前という世界です。
この国の労働市場というか社会システムを変えていかなければ何も変わ
らないのです。
レンゲソウ以外にもタンポポや山ツツジも咲き始めました
こんな状態に、高齢化と共に問題視されている少子化が重くのしかかっ
てきます。
この国の未婚率は、上がり続けています。
男性の未婚率は、30%を超えて31.9%(2022年)
とうとう30%を超え、3人に1人は生涯未婚という状況です。
女性も23.3%(2022年)と20%を超えています。
5年単位の統計数値ですので、次の2027年の統計数値を見るのが
怖いくらいです。
婚外子を受け入れにくい風土を持つこの国では、少子化は当面改善され
そうにありません。
これから結婚しない人がもっと増えていけば、この国はどうなるのか…
誰が社会(保障費)を支えていくのか…
おひとり様が、今後ドンドンと高齢者の仲間入りをする時代にはどんな
国になるのか…
身の回りは春が爆発しそうですが、この国に本当の春が来るのはまだま
だ先のようです
現役世代を中心に貧困が進んでいけば、年金を支払えない人が増えてく
る事態も想定できます。
そうなれば、
無年金の高齢者が激増する(=生活保護者が増えていくことになる)
現役世代で支える年金制度はどうなるのか(無くなりはしないがどこま
で目減りするのか)
最後には国自体が財政破綻なんてことにはならないのか…
本当に心配になります。
もうこの国は、既に「貧困状態」であると指摘する研究者も増えてきま
した。
これ以上、高齢者を貧困状態にしない施策が、すぐにでも必要だと感じ
ます。
健康状態が悪化する高齢期だからこそ、健康状態を維持している高齢者
の皆さんに社会を支える側に立ってもらうことが重要なのです。
高齢者の皆さんを「(社会が)支えなければならない人」にするのか
「社会の為に役立つ存在(社会を支える人)」にするのかでは、
結果が大きく変わります。
その為には、労働市場の改革と高齢社会に合致した社会システムの構築
が必要なのです。
この国は、平等社会から格差社会に移行してしまったのでしょうか?
その答えは、高齢者の皆さんがこの国の為に働けるかどうかにかかって
いるような気がします。
今回の記事は、この国で問題視されている格差(貧困)の要因の一つが、
実は高齢化にあったという事実に触れてみました。
これから更なる高齢化に直面するこの国で、高齢期の格差(貧困)は深
刻な事態を引き起こす可能性があるのです。
そんなこともあり、2週連続で、高齢者雇用の重要性について考えてみ
ました。
高齢期でも働いて、年金以外の収入を得ることが、今回取り上げた高齢
期の格差是正に役立つことは確かです。
国や自治体が、このことをどのように捉えるのかで、この国の将来は
大きく変わるのではないかとも考えています。
前向きな施策が展開されることを願うばかりです。
食べていく為にお米の価格も確かに大事なことです…
でも、それ以外にも大事なことがたくさんあることを、この国を動かす
ことができる皆さんは理解する必要があるのかもしれませんね。
今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。