高齢期のストレス
新聞に目を通していると、気になる記事がありました。
若者のメンタルヘルスの悪化が異常事態だと書いてあったのです。
記事を見た筆者が異常事態と表現したのは、絶望感を感じる、感じたこ
とがあると答えた若者の数が50%に迫る勢いの数値だったからです。
世界的にその傾向が強いと聞くと少し驚かされます。
その中でも若い女性の悪化が顕著だということでした。
絶望感を感じる、感じたことがあると答えた女性の数は50%を超えて
いるのだそうです。
記事では統計の取り方までは詳細に書いてはいなかったのですが、とて
も心配になりました。
5年前、長いサラリーマン生活に終止符を打った筆者は、車で東京から
地元に戻りました 写真:中央道SAから南アルプスを望む
国内だけでも精神疾患を持つ患者は、軽く400万人を超えているとい
う統計数字もあります。
(日本人の)4人1人は、何らかの精神疾患を抱えているという研究者も
いるほどです。
精神疾患が直接死亡要因に繋がることが少ない為に、癌や心臓疾患、
脳疾患ほど問題視されてこなかったのかもしれません。
でも、精神疾患(ストレス障害)は大きな社会問題になりつつあります。
生活そのものに大きな影響を及ぼす精神疾患は、長い人生に大きな影響
を与える疾患であると言えるのです。
心療内科や精神科という看板を掲げている病院も街中に随分と増えまし
た。
筆者が子供の頃は、精神病院はあることはありましたが、街中で見かけ
ることは殆どありませんでした。
街中から遠く離れた場所にヒッソリと佇んでいるという感覚だったので
す。
それが駅前等で看板を見かけることも珍しくなくなりました。
それだけ心の悩みを抱える人が増えたといえるのかもしれません。
サリーマン時代は様々なストレスと闘ってきたのかもしれません
美しい風景にホッとするなんて時間は殆どなかったように感じます
写真:中央道SAから八ヶ岳を望む
現代はストレス社会とよく言われています。
厚生労働省が2020年に調査した内容(労働安全衛生調査)による
と、就業中の仕事や職業生活に関して、「強い不安やストレスとなって
いると感じる」と答えた労働者の割合は50%を軽く超えているのだ
そうです。
パワハラ
セクハラ
カスハラ
こんな言葉が随分増えた背景には、働く人が抱えるストレスが異常に増
殖したことが要因としてあるのかもしれません。
このストレス障害、現役世代に限ったことではありません。
高齢期に多いのは心臓疾患や脳(血管)疾患だと思っていると大間違い
で、心の健康を害する高齢期の方々が最近増え続けているのです。
高齢期における心の病気は、実際には心臓(循環器)疾患の患者を上回
るという数字まであります。
これは、60歳を超えて、いや65歳を超えて働く方々が増えたからか
もしれません。
働く人たちのストレスの3大要因は、
仕事の量(が多い)
仕事の失敗、責任の発生等の悩み
仕事の質(が低い)
だということですが、非正規で働く高齢期の方々にとっては、立場の変
化から対人関係についても悩みどころになっているのかもしれません。
長い東京勤務、ストレスも大きかったのですが職場環境は抜群でした
自分の席から振り向けばレインボーブリッジが見えました
(中央に見えるのは浜離宮恩賜公園)
「低賃金でとんでもない仕事量を押し付けられる」
「トラブル対応等ストレスの強い仕事をベテランだからと押し付けられ
る」
「仕事量と賃金とのバランスが全くとれていない」
「その反面で、責任を追及される」
「現役世代が嫌がる、避ける嫌な仕事、キツイ仕事を押し付けられる」
雇用延長等で会社に残る選択をしても、現役世代から煙たがられて、閑
職に追いやられるケースも少なくありません。
「早く辞めてくれよ」
そんな声なき声を感じている高齢期の方々は少なくないのです。
こんな状態であれば、当然のごとくストレスは溜まっていくわけです。
高齢期で働かせてもらっているだけでもありがたい…
我慢するしかない…
我慢、我慢…我慢だ…
ストレスを放置すると必ず身体と心に変化が現れます
気分転換や仕事のことを忘れる時間が必要なのです
こんな状態を続ければ、我慢するほどストレスは溜まっていきます。
そのストレスが、心臓疾患や脳(血管)疾患に繋がってしまうと最悪の
結果になりかねません。
ストレスが血圧を急激に上昇させるという研究結果があることを頭の隅
に置いておく必要があります。
将来の経済的な不安から我慢をし過ぎると、トンデモナイしっぺ返しを
被ることになります。
筆者は現役時代にコンピューターの仕事に携わりました。
コンピューターの世界では、ソフトウエアではハードウエアは壊せない
というのが定説なのですが、人間の場合はソフトウエア(精神状態)で
ハードウェア(身体)を壊してしまうのです。
残念ながら非正規ということもあり、会社からみれば使い捨てです。
そんな環境の中で働いている高齢期の方々は、ソフトウエア(心)を変
える必要があるのだと筆者は感じています。
「60(65)歳を超えたら、嫌な仕事はしない」
「我慢することで発生するリスクのことを考えてみる…」
「あまり将来の(不安の)ことを心配し過ぎない…」
心(メンタル)の病気は、脳の病気と捉えることもできます。
脳も人間の臓器の一つと考えれば、頷くこともできそうです。
ですから、心の健康も大事なのです。
筆者の気分転換はもっぱら温泉三昧 心と身体のケアを同時にできます
先月は地元の有馬温泉を中心に4回も…(笑)
身体と心、両方を健康状態に保つことは、高齢期の最重要課題だといえ
ます。
脳は心を変えますが、心も脳を変えることができるのです。
ですから高齢期を迎えたら、心にも脳にも負担をかけ過ぎない生き方を
する。
超高齢社会を迎え、
まず高齢期の方々が、
ストレスに対する働き方を実践して、生き方、働き方を若い人に示す。
お金の為にストレスを貯め込まない生き方のヒントを示すのです。
人を使い捨ての道具としかみていない会社には、NOを突きつける。
もう一度、「人を育てる」「人を大事にする」社会にならなければ、若者
から希望は消えたままになってしまいます。
そんな社会に近付くように高齢期の方々が行動を移す。
そんな行動から、若者の絶望感が少なくなっていけばとても良いことだ
と筆者は思うのです。
幸いにして今は深刻な人手不足です。
高齢期の方々ができることはたくさんあると思います。
これからも増えていく高齢者。
70歳を超えても働き続ける人がこれからも増えていきます。
だからこそ、新しい働き方を考えていく時代になったのです。
高齢期の方々が考えて、実践していく中で、新しい働き方が見い出せれ
ばいいのですが…
今回の記事は、新聞記事で見つけた厳しい現実について考えてみました。
今回の記事も最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。