トカイナカは見直されるべきか
都心から公共交通機関で1.5~2時間くらいの距離にある場所をトカ
イナカと呼ぶらしいです。
都会と田舎の中間点、都会と田舎が混在するから、トカイナカ…
納得できるような、できないような、そんな感じです。
その反面で、相変わらず都心にあるタワマンが人気なのだそうです。
通勤に要する時間が短くて、社会インフラが充実している都心の生活は
確かに魅力的です。
都心でも緑を感じる場所は、探せば見つかります。
ただ、自然を満喫することや静けさを求めることは難しいのが現実です。
確かに都心は便利ですが…
物価高と低賃金に悩む現代人の中では、最近になって
都会の利便性を保ちながら田舎の静けさや自然の豊かさを感じることが
できるトカイナカを見直す動きも静かに起こっているようです。
実は筆者もトカイナカと呼べるところに住んでいます。
大阪・神戸から1時間程度で行き来することができます。
地形的には盆地とその周りの丘陵地がトカイナカの姿です。
盆地の底には川と鉄道が走り、その周りは田んぼと畑が広がります。
市街地から車で数分走れば複数の湖や渓谷もあります
この自然は都会にはありません
盆地の隣に広がる丘陵地の上には、切り開いて造成したニュータウンが
広がっています。
ニュータウンにはショッピングモールがあり、鉄道や高速道路も走って
います。
この鉄道も高速道路も、都心直結です。
人口密度は、旧市街地よりニュータウンの方が高いのです。
このニュータウン、できた頃はベットタウンと呼ばれていました。
大阪や神戸へと通勤するサラリーマンたちが夜家に寝に帰る為の街でし
た。
筆者の住む街が街開きしたのは、今から30~40年前です。
ちょうどバブル最盛期の頃です。
それから40年が経ち、この街に引っ越してきた方々の殆どが高齢者と
なってしまいました。
トカイナカも都心と同じように高齢化してしまったのです。
ニュータウンを結ぶ幹線道路と鉄道(私鉄)
どのように見直すのか
先日筆者は朝から買い物に出かけました。
朝からスカっと晴れて気持ちが良かった為、いつもは車で出かけるのを
自転車で出かけたのです。
いつもは駅までバスに乗らずに自転車で20分程度は身体を動かしてい
たのですが、
その時はニュータウンから坂を駆け下り、盆地を抜けて隣のニュータウ
ンまで約7kmの坂道を上がったり下がったり…
普段、車窓からでは気付かないことをたくさん目にしたのです。
隣のニュータウンに入って住宅街を走り抜けると、たくさんの介護事業
者の車を見かけました。
在宅介護サービスやデイサービスのお迎えの車がたくさん…
土地が広くて家も大きい、でもそこに住む人は高齢で動けなくなってい
る人が増えているようです。
ニュータウンの中に整備されている立派な公園には人影はありません。
大学のキャンパスの傍に整備された公園には人影はありません
新しくできた園芸店で買い物を済ませ、また坂を下っては登り、隣のニ
ュータウンでまた買い物…
結局、家に戻ったのは家を出てから4時間後のお昼過ぎでした。
自転車で走った距離はなんと、約22km…
汗だくになりましたが、とても良い運動になりました。
この4時間で感じたことは人の少なさです。
筆者と同じように自転車で運動をしている高齢者の皆さんも2~3人す
れ違いましたが、屋外で活動する高齢者の皆さんは殆どいませんでした。
今までは公園の中でゲートボールや犬の散歩を楽しむ高齢者を多く見か
けましたが、その姿は消えていました。
一方、途中で立ち寄ったショッピングモールの中では働く高齢者を見つ
けました。
ショッピングカートを整理したり、食品トレイやペットボトルのリサイ
クルBOXを整備する仕事に従事していました。
ただ、高齢者の働く場所はそんなには多くないことも確かです。
仕事があったとしても、
「こんな仕事はしたくない…」
と感じてしまえばなかなか体と心が前には動きません。
高齢者が働ける仕事がまだまだ少ないのが現状なのです。
トカイナカだからこそ
自転車で旧市街地を走っている時に気付いたことがあります。
新しくできた農場の看板をたくさん見かけたのです。
筆者が北海道の高齢者施設で勉強をしていた時に入居者の為に施設近隣
に整備した農園 キュウリやトマトが実り過ぎて困りました
それも市街地から少し離れた丘陵地の中腹や谷底のような場所に、
イチゴの農園
トマトの農園
花の農園
設備も建物もまだ新しく、〇〇ファームと看板が立てられていました。
自動車で幹線を走っていても見つからない筈です。
農業従事者は零細が多く、高齢化していることは知ってはいましたが、
新しく事業化して農園がたくさんできていることに少し驚かされました。
田舎で土地がたくさんあるからこそできる事業でもあります。
トカイナカの利点を使って、元気な高齢者がもっと働ける場所が増えて
いけば、もっと地域が元気になるのではないかと感じました。
都会ではできないことだからです。
別に事業化しなくても、農業はできないことはないのですが…
テレビでもお馴染みの経済学者の故森永 卓郎さんは、トカイナカに住
んで自分の家庭菜園で野菜を育てていたそうです。
賃金が上がらない、物価も高くなったのであれば、食べるものくらいは
自分で作ろうと模索する姿には感心させられました。
筆者の住む団地の裏側(市街地と反対側)の農園では農家が安価で農地
を賃貸して団地の高齢者の皆さんが家庭菜園をしています。
見ている限りは数人レベルなのですが、毎日通っては手入れをしている
ようです。
こんな動きがもう少し大きくなれば、農園に近付くのかもしれませんね。
以前の記事でもご紹介したことのある「協働労働」の仕組みを使えば実
現するかもしれないと感じました。
トカイナカだからこそできる高齢者の働く場所…
そこは高齢者の皆さんの居場所になるのかもしれませんね。
そんな場所を増やしていくためにはどうすればいいのか…
そんなことをこのブログでまた考えていきたいと思います。
今回の記事は、筆者の住む街(トカイナカ)で見つけたことを記事にし
てみました。
今回も最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。