笑わない男たち
寒波襲来。
いきなり冬将軍がやってきました。
と言うより、秋が短過ぎますね…
北海道だけでなく、中国地方でも吹雪いているのをTVで見て驚いていた筆者なのですが、
翌朝、自宅の屋根の上に薄っすらと雪が積もっているのを見て、変に納得してしまいました(笑)
そんな寒い日、筆者は週1回ペースで通っている地元の温泉へと向かいました。
家の中にもお風呂があるのですが、広過ぎて一人ではなかなか温まりません。
子供が小さい時には、よく子供3人と一緒にお風呂に入っていました。
ちょうど4人くらいで入るのがよい広さなのです。
ですから温まりたい時は、車に乗って温泉へと向かうのです。
今晩から更に冷え込むという情報から、
「今のうちに行っとくか…」
と、朝から出かけることにしました。
露天風呂も寒いと人気が下がるのかも… (写真は別の温泉です)
お父さんがたくさん
10時から開く温泉、
20分前に到着し、温泉に併設されている道の駅の売店で、地元で採れた新鮮な野菜を買い込みました。
2分前に温泉入口に到着。
一番乗りでした。
でも直ぐ後には、既に高齢の男性が10人くらい続いているのがわかりました。
通っているこの温泉、週替わりで男女の湯殿が変わるので、2つの温泉が楽しめます。
今日は広めの露天風呂が2つもある温泉を利用できることになりました。
かかり湯を浴びた後に、すぐに露天風呂の源泉へと向かうと、やっぱり外は寒い…
足早に湯舟の中に飛び込みました。
この露天風呂、普段は開店と同時に満席になってしまいます。(定員は6~7名くらい)
でも、今日は少し寒いので露天風呂は不人気のようです。
筆者が屋内の風呂場に移るまでとうとう定員にはなりませんでした。
いつもは順番待ちなのに…
常連の(後期高齢者の)お父さん方の顔が見えません。
打って変わって、屋内の大浴場はたくさんのお父さん方に占拠されていました。
やっぱり…
寒い露天風呂は避けたようです。
入浴客のほぼ全員が高齢者…
というか、後期高齢者のお父さんばかりです。
65歳の筆者が間違いなく一番若いと言える いわば ”老人風呂” というわけです。
平日の午前、こんな時間に温泉に浸かれるのはリタイヤした高齢者だけかもしれませんね(笑)
筆者は週1回くらいしか来ないのですが、多くはよく見かける方ばかり…
もしかすると、毎日来ている方も多いのかもしれません。
後期高齢者になっても元気で温泉三昧…
ある意味、羨ましいことかもしれませんが…
以前の記事でもご紹介したように、男性の場合約20%は高齢者になった時から急激に健康状態が悪化していきます。
東京大学高齢社会総合研究機構が長期間追跡調査をしてまとめた自立度の変化(男性)です
残り70%の男性軍も、後期高齢者となる75歳以降急激に衰えていくことを考えると、筆者と温泉に浸かっているこのお父さん方は恵まれた方々なのかもしれませんね。
男性で80歳を超えても元気を維持していられるのは、僅か10%のお父さん方のみ…
あと5年か10年すれば、常連客も姿を変えていくのかもしれません…
少し前になりますが、筆者と同い年くらいの男性が父親を連れて入浴していました。
この父親の男性、殆ど自力で歩くことが難しく、浴槽を出る時にふら付き、入浴中の周りのお父さん方が介助していました。
危ない、危ない…
その時、助けていた高齢男性の皆さん、全員複雑な表情でした。
「俺もいつかはこんなになるのか…」
良いことをしながらも、将来の不安が垣間見えた瞬間なのかもしれません…
「どうか、俺はいつまでも元気でPPK(ピンピンコロリ)…」
そんな願い事が聞こえてきそうです。
今こうして温泉に浸かれるのはラッキーなお父さん方なのですが、筆者は温泉に浸かりながらいつも思うことがあるのです。
それは…
浴室でも、
脱衣場でも、
お父さん方が、
話さない…
笑わない…
楽しそうに見えない…
ほぼ無表情で黙々と温泉に浸かって、帰っていくのです。
女性軍はというと、お友達やご近所の皆さんと一緒です。
とにかく元気で、うるさいくらいです。
その騒がしさは、男性軍とは対照的で圧倒されます。
男性に比べて女性の自立度の変化は羨ましい限りです
代謝量やホルモンの違いというだけではなく、男性のように孤独ではないことが大きいのかも…
男性軍は殆どの方が、独りか、ご夫婦で来られています。
ですから入浴中は独りです。
お湯に浸かっている間もノンビリとした表情も無く、無表情でいるお父さん方…
何か義務感のようなものまで感じてしまいます。
この温泉、効能は切り傷、火傷、皮膚病だけでなく、高血圧や動脈硬化にも効くと書いてあれば、その義務感も少し理解できそうです。
長く施設で勉強をしてきた筆者から見れば、好きな時間に自由に温泉に入れて、とても幸せな高齢者の皆さんなのですが…
施設で過ごす高齢者以上に元気が無いように見えてしまうのです。
それはなぜなのでしょうか…
以前の記事で、日本と米国の(年齢による)幸福度の違いをグラフでご紹介したことがありました。
日米の高齢期での幸福度の違いは、まさに驚きとしか言いようがありません
日本も米国も、幸福度は加齢とともに右肩下がりになっていくのですが、米国は高齢期になるとその幸福度は右肩上がりに変わっていきます。
米国に比べて日本は、幸福度は右肩下がりを続け、高齢期で最低になるのです。
この(日本の)高齢期での幸福度の低さはどこに要因があるのでしょうか…
元気が無いのは、自分の将来に対する不安のせいなのかもしれません…
以前の記事でもご紹介してきた3つの不安以外にもたくさんの不安があるように感じてしまいました。
高齢期には、3つの不安以外にもたくさんの不安がありそうです
介護拒否が社会問題化する?
以前に記事でも度々ご紹介してきたように、介護の約70%は施設ではなく、家族や親族によるものです。
その家族による介護にも多くの問題が存在しているようです。
介護による家族や親族のストレスも大変なものです。
その為に、デイサービスや訪問介護が存在するのですが、そんな介護サービスを拒否する高齢者が増え続けているようです。
その要因の一つに、(高齢者)施設で発生する様々なトラブルがあげられます。
虐待や暴力…
難しい人間関係…
そして金銭的な負担…
施設に入ってもよいことがないと思う高齢者の皆さんも少なくないのですが、様々な将来の不安が前向きになれない要因になっているのかもしれません。
温泉に入っているお父さん方の殆どが、そんな不安と闘っているのかもしれないと考えると、笑顔がないことが頷けるような気がしました。
温泉よりもっと良いところがあれば
こんな不安と闘っているお父さん方、温泉よりもっと良いところを探しているのかもしれませんね。
もっと話せる(話を聞いてもらえる)場所…
もっと笑顔になれる場所…
そして、健康寿命を大幅に伸ばせる可能性のある場所…
自宅か(高齢者向け)施設…
この2極ではなく、その中間点…
新たな選択肢…
以前の記事でもご紹介した「サードプレイス」のような場所があればと筆者は思うのです。
この図にある3つの環境整備ができる場所がサードプレイスなのかもしれません…
そこへ行けば、自分の好きなことをして過ごせる…
自分にとっての居場所といえる場所
そこへ行けば、(医者にいかなくても)健康管理ができて安心できる…
病気だけでなく、ボロボロになった身体と心をケアできる
そこへ行けば、少しだけ働いたり、社会貢献を通して自分の能力が活かせる…
働く(社会に貢献する)ことが健康寿命延伸の最大の秘訣
そこには、介護を心配しなくても済む空間が存在しているのかもしれませんね。
訪問介護事業者の倒産が過去最高を記録しているそうです。
それも毎年(過去最高を)更新しています。
社会保障費の暴騰の影響で、介護報酬の見直しが続いていることがその要因のようです。
介護の質はこれからどのようになっていくのでしょうか…
理想とは逆方向に向かっているような気がしてなりません。
もっと前向きな社会保障費の使い方はないものかと筆者は思うのです。
視点を変えたら、まったく別次元の世界が見えてくるかも…
今回の記事は、後期高齢者のお父さん方と温泉に浸かりながら考えたことを記事にしてみました。
サードプレイスのような場所が地域にあって、
それが温泉のような憩いの場所と併設されていれば、
これ以上ないことなのかもしれませんね…
自宅か、施設か、
そんな選択肢しかないような社会にしたくはありませんね。
世界のどの国も、まだ経験したことのない超高齢化を突き進むこの国で、
高齢期を迎えた方々が活き活きと暮らせる社会にすることが、
この国を良くすることに繋がると筆者は考えています。
そうすれば、間違いなく社会保障費の暴騰は阻止できると思うのですが…
画像素材:フォトサリュ
この記事の投稿準備ができた時に、また東北・北海道で大きな地震がありました。
生きづらさを感じるこの時代に、大きな不安として常に付きまとう自然災害…
この寒さの中で、大変な想いをされている方々に心からお見舞いを申し上げます。
なんとか、1日でも早く事態が収束することを願うばかりです。
次回は、またこの国の国難でもある「少子高齢化」と「自然災害」について記事にしてみたいと思います。
お付き合い願えれば幸いです。
今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。








