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働き方改革とプロフェッショナル化  

2018年10月24日
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働き方改革EXPO2018

 

先日、東京ビックサイトで開催された「働き方改革EXPO2018」に行っ
てきました。

 

今まで長時間労働への是正に重点が置かれていた展示内容も、大きく変
化してきたと感じました。

 

変化の一つ目は、テレワークの推進です。

 

わざわざ満員電車で長時間苦労して会社に行かなくても仕事ができるテ
レワーク。

 

「自宅や外出先で会社とほぼ同じ環境で仕事ができるというテレワーク
をもっと活用しましょう」という取り組みが推進されているのです。

 

超勤や休日出勤の削減だけではなく、会議や出張、加えて通勤時間の削
減にも取り組むということになります。

 

製造業を中心に企業で働く人たちの平均年齢が上がり続けています。

 

 

筆者が以前に調べた製造業の社員の平均年齢の推移です
(各社の有価証券報告書から数値を取得してグラフ化したもの)
※縦軸は年齢です

 

 

国の年金政策の一環である65歳までの雇用延長や定年延長の影響もあり、
これからもこの平均年齢は上がり続けます。

 

高齢期に入った方々には超満員電車での通勤は大きな負担でもあります。

 

働き方改革は、高齢化にも対応しているといえるのです。

 

 

画像素材:フォトサリュ 夜遅くまで働いて通勤電車で帰る 辛いです

 

 

プロフェッショナルの時代

 

 

週刊東洋経済の2018年7月7日号に面白い記事が掲載されていまし
た。

 

記事の中で慶應義塾大学大学院の高橋 俊介特任教授が働き方改革をど
のような視点で捉えればいいのかを述べておられましたので、少しご紹
介しておきます。

 

高橋先生は、記事の中で4つの視点で働き方改革を捉えておられました
が、その1一つ「女性やシニアも含めた一億総活躍」の記事の中で、先
生は同質な人材の集団からはなかなかイノベーションは生まれないと指
摘していました。

 

同質=考え方が似通った同年代が中心の組織では変革は難しいという風
にも受け取れます。

 

また高橋先生は、これからの企業のビジネスモデルについても、今後は
プロフェッショナル化の時代になると指摘しており、専門的な知見や
専門家としての働き方が出来なければ競争にも勝てず、生産性も上がら
ないと記事の中で述べられていました。

 

今までプロフェッショナルよりもゼネラリストの育成に注力してきた企
業にとっては、この流れは逆風かもしれません。

 

プロフェッショナル化の時代になると、企業で働く専門能力を持った
社員は、高齢になっても働けるだけ企業に残って仕事をして、企業の
収益に貢献することも可能になるのです。

 

プロフェッショナル化の時代になれば、年齢だけで処遇や待遇を変える
時代はもう終わるかもしれません。

 

 

画像素材:いらすとや 高齢になっても働き続けられる事は大事な事

 

 

 

高齢社会対応の先進企業

 

 

筆者は大学院の修士論文に取り組む中で、このプロフェッショナル化の
取り組みについて調査をしたことがあります。

 

その調査の中で、このプロフェッショナル化に取り組んでいる企業の一
つに大和証券がありました。

 

大和証券は高齢化社会に対応する先進企業であり、雇用延長の上限を撤
廃した企業としても有名です。

 

同社は2006年に雇用延長の制度を導入した際には65歳を上限とし
ていましたが、その後その上限を撤廃しています。

 

金融関連で顧客相手ということもあり、経験がものをいう職種でもあり
ます。

 

高年齢者の持っている高い能力を会社側としても高く評価していて、原
則転勤なしで自分の希望する支店で仕事をし続けることができるそうで
す。

 

この取り組みにおける “職務(営業職)を限定し、その専門性を高め、
その専門性の高さゆえに顧客から信頼を勝ち取る” という一連の流れは、
まさに究極の「プロフェッショナル化」ともいえます。

 

同社がこのプロフェッショナル化に踏み込んだ理由は2つあると推察で
きます。

 

その理由の一つが、高年齢者の卓越した知見とノウハウを使って社内の
活性化を進めていること。

 

そしてもう一つの理由が、顧客との親和性です。

 

同社の主要顧客は、資産をたくさん保有している60~70代の高年齢層で
あることがわかっているそうです。

 

同社の高年齢域の顧客からみれば、若手社員よりも自分と年齢の近いベ
テランのシニア営業員と話をした方が安心であることは容易に納得がで
きます。

 

ある意味で、同社は高年齢者の能力の高さと時代背景をよく理解した上
でのプロフェッショナル化を実践しているということができるのです。

 

高齢期の社員を活用して、高齢者市場を開拓するという戦略的な思考を
同社が持っていることになるわけです。

 

これは、同社が、高年齢者だからこそできることを見極め、高齢期の社
員をうまく活用しているといえます。

 

 

画像素材:Jim Mayes    年齢を重ねても感動させるものはあるのです

 

 

 

これから大事になること

 

 

このように高齢期の域に達しても自分の持つ専門性を活かして活躍でき
る場は、これから生産年齢人口の減少という状況の中で働き方改革を推
進しなければならない背景をみても確実に増えていくのではないでしょ
うか。

 

大和証券のように高齢者の知見とノウハウを活かせる企業こそが、高
い収益性と生産性を維持できるような気がします。

 

高齢期になると、管理業務や事務補助しか仕事がないという状況はも
う長く続かないと思います。

 

企業は自らが高齢化していく中で、大和証券が採用している戦略をと
るべきではないでしょうか。

 

翻って高齢者の立場に立てば、自分の専門性を棚卸しして自分に何が
できるのかを知っておく必要があるとも考えられます。

 

転職市場で多くの高齢期に入った方々が活躍する日も近いのかもしれま
せん。

 

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働き方改革には職場環境も大事

 

 

最後に前述の展示会でのもう一つの変化を書き加えておきたいと思いま
す。

 

その変化とは職場環境の整備です。

 

広い展示ブースの中でもっともスペースを割いていたのが、職場環境を
変えていこうという取り組みです。

 

今までのように同僚と机を並べて仕事をするなんてことはこれから無く
なるかもしれません。

 

いかに働きやすい環境にするのか。

 

横の席の人のパソコンのキーボードを打つ音や話し声が聞こえる環境で
本当に生産性を上げて創造的な仕事ができるのでしょうか。

 

製造業以外の生産性が極めて低いと世界から指摘され、ようやくこの国
の企業も職場環境の改善に目覚めたのかもしれません。

 

職場環境の整備の中で、ひと際目を引いた展示がありました。

 

それは立って仕事ができるデスク。

 

きちんとボタン一つで高さ調整もできます。

 

説明員の話によれば、北欧ではもう当たり前なんだとか。
(北欧の高齢化対策には感心させられます)

 

座ったままで長時間パソコンに向かっていると、心筋梗塞や脳梗塞のリ
スクが高まるのだそうです。

 

そうでなくても高齢化している企業においてこれは真剣に導入を考えて
もいいかもしれないなと感じました。

 

高齢化に対応するためには今までと違った職場環境を整備する必要が出
てきたといえます。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。