人生二毛作時代の可能性
人生多毛作時代の可能性
人生100年時代が到来し、人生100年の設計が必要になってきまし
た。
人生が100年もあれば一つだけでなく、二つ、三つのキャリアが積め
る二毛作、三毛作の時代がきたといっても過言ではなくなりました。
人生100年時代の人生設計を考える時、多様な人生設計が可能となりま
す。
長いサラリーマン人生を終えてもまだ余命が長い為、
「本当はこれがやりたかったんだ!」ということにも挑戦できるのです。
それまでの人生とは全く違う人生を歩むこともできることになります。
ただ、今までの人生成功の方程式といわれた「会社で長年勤め上げ、退
職金をもらって、退職後は年金と退職金を使って好きなことをしながら
余生を送る」といった生き方はもうできなくなるかもしれません。
しかし、人生の多毛作も可能となれば人生に張りが出ますし、夢も広が
ります。
最後には自分らしく死ぬことも不可能ではありません。
長生きをして「これがなかったらとっくの昔にあの世にいってるよ!」
と言えるような仕事や趣味に出会えるかもしれません。
そして、目の前に横たわる社会保障費の増大と年金問題を真剣に考えれ
ば、まだまだ社会に役立つこともできるのです。
北海道 大雪山(連峰)
支え合いの構造が変わる
社会全体の支え合いの構造が大きく変化しようとしています。
下の図は、財務省のHPの「2025年、高齢者1人を現役世代何人で支
える?」と題したデータから筆者が作成したものです。
筆者が生まれた1960年代では65歳以上の高齢者1人を20~64
歳の生産年齢人口約9人で支えていました。
これを図では「胴上げ型」と表現しています。
これが2012年になると65歳以上の高齢者1人を20~64歳生産
年齢人口2.2人で支えています。
「騎馬戦型」と表現されたこの構造は支える側の負担が大きくなってい
る実態がわかります。
このままの状態で2025年になると65歳以上の高齢者1人を20~
64歳の生産年齢人口1.8人で支えなければならなくなると推計され
ています。
支える側の負担がさらに増えることになるのです。
筆者には3人の子供がいますが、子供たちが働き盛りになるころにはと
んでもない負担を背負うことになるのです。
これを防ぐためには働くことができる高齢者が社会の支えであり続ける
必要があります。
特にまだ体も頭も十分動く前期高齢者の支えに期待するしかないのです。
2017年1月5日にマスコミである提言が取り上げられていました。
超高齢化社会を迎え、日本老年学会が現在65歳以上とされている「高
齢者」の定義を75歳以上に引き上げた上で、それより若い人たちには
就労やボランティアなどの社会参加を促すべきだとする提言をまとめた
という内容でした。
提言では、現在「高齢者」とされている65歳から74歳までの人たち
については、新たに「准高齢者」と位置づけ、健康な間は仕事を続けた
り、経験を活かしてボランティアに参加するといった活動を後押しする
等、活力のある社会をつくっていく必要性が強調されていました。
北海道 美瑛 青い池
人生多毛作は様々な効果をもたらす
ただ、人生の二毛作といっても、社会の中でそのインフラが整備されて
いるわけではありません。
超高齢化社会を迎えた今、社会のインフラの整備、いや再構築が必要な
のです。
それもハード面ばかりではなく、二毛作を支援するためのソフト面の整
備、再構築が必要となります。
最近自治体は税収を確保する為に産業振興策に多くの予算をつけるよう
になりました。
その中の項目に起業支援があります。
皆さんの住んでおられる自治体にも必ずと言ってよいほど専門部署が設
けられ、その多くでは自治体(地域の商工会議所)が主催する起業セミ
ナーが低価格(数回のセミナーで数千円程度)や無料で実施されていま
す。
また補助金等の起業支援策も打ち出している自治体も多いのです。
実際に筆者も東京都と地元(兵庫県)の自治体で参加してみましたが、
お小遣い程度で参加できるものばかりでした。
土・日曜日に開催されているものも多く、参加しやすくなっています。
若い人ばかりではなく、40代、50代の方も多く参加していました。
セミナーの後には先輩起業家との交流会等もあり、とても参考になりま
す。
筆者は、これからはシニア起業がもっと増えてもいいのではないかと考
えています。
その時には高齢者自身で超高齢社会対応の事業を考えることも可能です。
前向きな超高齢化社会に対応した産業の創生ができるのではないでしょ
うか。
筆者が生まれた1960年代から1970年代に全盛期を迎えたこの国
の製造業は大きく衰退し、バブル崩壊以降サービス業が台頭してきまし
たが、新たにこの国の基幹産業となるべき新しい産業は生まれていませ
ん。
しかし、超高齢化社会対応の産業を興すことができれば、これから日本
を追うように高齢化する韓国や中国をはじめとする東アジアや東南アジ
アの国々を対象に大きな市場を開拓することも可能です。
それを長年多くの知識・知見を蓄えてきた高齢者によってできればこの
国の産業にとって、非常に大きなインパクトを与えることになります。
それを高齢者のことがわかっている予備軍も含めた高齢者自身で実現で
きれば、これほど社会に貢献できることはありません。
この国がグローバルなエイジングに対応できる力を持つことができれば、
また大きな市場を生み出すことも不可能ではないかもしれません。
今まで日本の企業は、社員が高齢化するにしたがって、子会社や関連企
業への出向等で長年の苦労に報い、雇用を継続してきました。
経済成長が鈍化する中で、高齢者雇用を後ろ向きに捉えるのではなく、
前向きに捉えた事業構築が大切なのではないでしょうか。
高齢者には長年積み重ねてきた知識と知見があります。
それを活かすか殺すかで中長期的に見た企業の方向性も変わる可能性が
あります。
最近は企業ではなく、自治体が地域の組織や団体と協力して「セカンド
ライフ就労」を推進しているところが増えています。
まだまだ小さな動きではありますが、このセカンドライフ就労は、高齢
者本人だけでなく地域社会にも大きなメリットがあります。
個人的には、体と脳の機能維持や健康増進ができます。
地域社会との関りは生きがいや自己実現にもつながる可能性があり、元
気に生きていく源にもなりえます。
そして地域社会からみれば、健康な人が増えるのですから医療費等の社
会保障費が削減できます。
働くことによって収入を得れば消費にもつながります。
地域経済にも貢献できるのです。
加えて最近の人手不足にも効果があることはいうまでもありません。
また最近マスコミでも取り上げられている社会的孤立の問題解決にもつ
ながり、治安の良化や社会問題解決に向けたコストの削減も期待できま
す。
セカンドライフ就労についての最近の動きは、別の記事でもご紹介した
厚労省が推進する「生涯現役促進地域連携事業」のサイトがよい参考に
なりますので是非参照してみてください。
今後もこのテーマについては最新情報を交えてご紹介していくつもりです。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。