BLOGブログ

リノベーションには愛が必要(1/3)

2019年10月03日
28

家族の為のリノベーション

 

皆さんもご存知のように2000年から始まった介護保険制度を活用す
ると、要支援や要介護になった親族がいる家屋において、自宅の中の段
差をなくすバリアフリーや手摺をつけたりする場合には、20万円を上
限にして助成金が出ます。
(介護保険扱いなので、自己負担が1~3割となります)

 

家族に高齢者がいる場合、自宅内で怪我や事故が起きる前に対策を打つ
ことはとても重要なことだと思います。

 

最近は高齢者向けの住宅も増えつつあります。

 

筆者も少し前に高齢者向けの分譲マンションを見学してみました。

 

室内は完全なバリアフリー。

 

ドアは殆どが引き戸で、しかも下にレールがあるのではなく、吊り戸で
す。

ですから足を引っかけるものはありません。

 

もちろん室内のあらゆるところに手摺がついています。

 

洗面所は座って使えるように、シンク下部が空いています。

 

トイレの扉はローリングドアで車いすを使って中に入ることができます。

 

ベランダへの出入り口のドアロックは力が無くても外せる工夫がなされ
ていました。

 

玄関には座って靴が履ける収納式の椅子まで完備されています。

 

お風呂には緊急通報ボタンがついていて、もしもの時には人が駆け付け
ます。

 

凄いなァ~と思って分譲価格を見るとビックリ・・・

 

そんなに広くもない部屋(50㎡以下)の分譲価格は最低でも5000
万円以上…

 

1階にはレストランや住民がくつろげるスペースも複数あり、おまけに
大浴場までありますので、わからないこともないのですが…

 

おそらく余程のお金持ちでなければ住めません。

 

 

確かに都心のマンションは便利 でも住み慣れた自宅と地域が一番

 

 

本当に大事なものは何か?

 

見学させて頂いた高齢者住宅は、至れり尽くせりだったのですが、きっ
とほんの一部の裕福な方しか住むことはできないでしょう。

 

そんなにお金がなくても入居できる高齢者施設はあるものの、すぐには
入れません。

 

あるところでは、なんと10年待ちだそうです。

 

とてもじゃないけど10年も待てません。

 

そして、殆どの方が施設ではなく、自宅で過ごしたいと思っています。

 

前述の高齢者住宅に引っ越さなくても今住んでいる家をリノベーション
できないのか?

 

今回の記事では、そんな疑問に答えるべく、自宅のリノベーションの実
例をご紹介してみたいと思います。

 

今回ご訪問させて頂いたお宅は、大阪府堺市のニュータウンの中にあり
ます。

 

もともとは二世帯住宅として建てられた家でかなり大きなお宅でしたが、
リノベーションを実施したのは今から10年以上も前のことだそうです。

 

実際のリノベーションを設計されたのは、この家で幼少期から20年近
くを過ごされた一級建築士の村上さんです。

 

村上さんが学校を出て自立するまでは、この家は3世代が一緒に暮らす
住宅だったわけです。

 

少し驚かされたのは、リノベーションを実施した時には、村上さんのご
両親は定年退職前の50代だったそうです。

 

祖父母の為のリノベーションと思いきや、そうではありませんでした。

 

なぜこの時期にリノベーションを実施したのかお聞きしてみると、

~子供の頃、よく家の中で高齢の祖父母が転倒したりするのを目にしま
した~

開き戸のトイレで扉の開閉時に転倒

手摺のない急勾配の階段で足を滑らせ転倒等

歳をとると、ちょっとしたことが障害になり、怪我をすることを知った
村上さんは、

 

~両親がこの家で安心して長く暮らせるように。
バリアフリーは年齢に関係なく、誰にとっても必要なこと。~

 

と思ったそうです。

 

そして、リノベーションはモノの整理や処分、工事期間中の仮住まいの
算段など、パワーが必要なことも考え、両親が元気なうちにと、工事を
勧めたのです。

 

この家のリノベーション、筆者が見学させて頂いてたくさんの気付きが
ありました。

 

それは村上さんが子供の頃から見てきた家の中に潜むリスクへの対策だ
ったのです。

 

筆者には村上さんご自身も育ったこの家の中で、どのようなリスクが潜
んでいるかを考えた上で設計されていることが分かったのです。

 

それはご両親が老後も住み慣れた自宅で快適に過ごせるように考え抜い
た真心の産物でした。

 

本当に大事なことは、高齢になった人への愛情なのだと感じました。

 

 

 

 

そしてその愛情はリスクに対するものだけではなく、高齢になっても日
常の生活が少しでも便利に、そして豊かになるものでした。

 

筆者は、大学院時代に自宅のリノベーションの必要性についてアンケー
トをとったことがあるのですが、その際にも下記のような回答が返って
きました。

 

後に残されるであろう奥様の為にリノベーションは必要

 

~平均寿命をみても、女性より男性の方が先に旅立ちます。
残される奥様を気遣っての回答は予想以上に多かったのです~

 

遠く離れて住むご両親が自宅で安心して住み続けるためにはリノベーシ
ョンは必要

 

~やはり遠く離れて住むご両親への配慮がわかる回答も多かったです
核家族化の影響で一度は希薄になってしまった親子の関係が今見直され
ようとしているのかもしれません~

 

今回、村上さんのご実家のリノベーションを見学させて頂き、家族・親
族のことを想って実施するリノベーションは一味も二味も違うなと感じ
ました。

 

実際のリノベーション内容は、次回の記事でご紹介させて頂きます。

 

今回の記事も、最後まで読んでくださりありがとうございました。
感謝申し上げます。