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団地の再生 生まれ変わった団地の変貌ぶり

2018年11月18日
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団地の変貌ぶり

 

以前の記事で千葉県柏市にある豊四季台団地の生きがい就労について
ご紹介しました。

今回は、実際の団地を訪問して高齢化という課題に取り組む団地の状況を
ご紹介してみたいと思います。

筆者が訪問したのは、2018年8月11日(海の日)の午後、時折にわか雨の
降る天気が良くない蒸し暑い日でした。

駅から団地までバスで移動しましたが、バス停を降りるといきなり古い
団地の解体工事現場が目の前に広がりました。

バス通りの外側にある4~5棟がまさに取り壊されようとしているのです。

棟の壁面には建物を表す番号があり、筆者が見て回ったところ100という
数字も確認できましたので、団地が出来た時には同じ建物が100ほど並んでいたことがわかります。

逆にバス通りの内側は新しい建物が並び、実にアンバランスな雰囲気を
醸し出していました。

まさに団地はリニューアルの真っ最中だったのです。

 

道路を挟んで左側は新しい建物、右側は1960年代に立てられた古い建物が並ぶ 筆者撮影

 

 

新しい建物は綺麗というだけでなく、建物の配置が古い町並みとは全く
違うことがすぐわかりました。

街の中心に位置するショッピングエリアには、市の出張所や銀行、そして
小さな図書館と介護サポートの施設が集約したし大きな建物がありましたが、その反対側のエリアではまだ古い団地が多く残っていました。

古い建物が残るエリアを見ると建物が整然と均等に並んで立っており、
まさに日本の団地といった景色です。

それに対して新しい建物のエリアは綺麗に5棟程度にブロック分けされて
いて、ブロックには必ず立体駐車場のある建物が併設されており、建物の
前には来客用や荷物搬送用の駐車スペースしかありませんでした。

住民の安全に配慮した取り組みであることはすぐにわかりましたが、自動車に頼ることができない高齢者の為に自転車やシニアカーの駐車スペースは
屋根付きで広めに確保されていました。

また移動手段は、街の中に循環バスが走っており、団地の建物とショッピ
ングエリアを結ぶように走っていました。

買い物難民対策ということがすぐにわかります。

当然のごとくこの循環バスは駅へのアクセスとも連動しています。

 

団地内を循環するバス。買い物難民対策とともに駅へのアクセスを便利にしていました 筆者撮影

 

 

新しい建物が並ぶエリアでは、建物と建物の間の広いスペースに遊歩道が
設けられ、人と人が出会える場が綺麗に整備されていました。

「四季のみち」と名付けられたこの遊歩道は点在する公園を結び付ける
役目もしています。

団地は住む場所から触れ合える場所へと変貌していました。

ハード的には建物には当然のごとくエレベータが設置され、階段の傾斜は
明かに緩やかに設計されていました。

それ以外にも環境に配慮した取り組みもなされており、雨水浸透池が建屋間に設置されており、水害の防止とともに鳥や昆虫が生息できる環境づくり
にも取り組んでいることがわかりました。

高齢者への配慮が随所に盛り込まれたハード環境の整備には、この超高齢化で学んだノウハウが活かされていました。

 

 

建屋間には、奇麗に遊歩道が整備されており、散歩ができるようになっていました

 

 

新しいエリアには、「コンフォール柏豊四季台」という新しい名前が記されていました。

古い街並みと比べて新しい街並みの建物間のスペースはとても広く確保され、代わりに建物の高さが高くなっています。

高さを確保することにより生活スペースや触れ合えるスペースを確保しているといえます。

天候の影響もあり、団地の中を歩く人はまばらでしたが、歩いている人を
みると8割がたは高齢者ということがわかります。

以前の記事でご紹介したこの街を舞台にしたプロジェクトが始まった2010年の団地の高齢化率は40%だったそうですが、この8年間でさらに高齢化率は上がっていると感じました。

 

高齢者の皆さんはどこに集まっているのか?

 

高齢者の皆さんはどこにいるのか?筆者は図書館という予想を立てて訪問
しましたが、スペースが狭く高齢者の皆さんは殆どいませんでした。

その代わりに意外な場所で高齢者の皆さんを発見しました。

スーパーマーケットの一角にあるイートインコーナー、約30席ほどの
スペースで20人ほどの高齢者の皆さんが楽しく談笑していました。

ご夫婦もおられましたが、圧倒的に女性が多く、とてもお元気そうでした。

またこのスーパーでは、レジを担当している5名の内、4名は高齢者であり、スーパーのバックヤードではもっと多くの高齢者の皆さんが働く姿が確認
できました。

以前の記事でご紹介した「生きがい就労」の流れは確実に続いていると
感じることができます。

そして、ショッピングエリアの一角にある小さな商店街には、地域の高齢者が触れ合えるスペースがあり、入り口に貼り出された月間スケジュールを
見ると土日も含めてほぼ毎日趣味や運動等のイベントがあり、無料から300円程度の低料金で参加できるものばかりでした。

ソフト面での整備も確実に進んでいると感じました。
(残念ながら筆者が訪問した時間帯はイベント終了後で閉店していました)

また、自治体だけでなく、団地の所有者であり提供者でもあるUR都市機構のサポート体制もしっかりしていました。

団地内に専用建屋を設けて、生活情報の提供だけでなく公的機関の高齢者
施策についての案内等様々な生活支援を実施していました。

このような取り組みは、地域内で確実に進んでいるようです。

また若い世代を呼び込むために団地内に新たに整備された保育園の一角
には、住民対象のふれあいカフェが開店しており、高齢化に対応するため
の地域の文化や風土が確実に出来つつあるのではないかと感じました。

 

今回の豊四季台団地の視察から感じたことは、この国が直面している
「高い」「速い」「深い」高齢化の進展から地域は多くを学び、
努力を積み重ねてその対策を確実に実施してきた中で、ノウハウは蓄積
されつつあるということです。

ハード面だけでなく、ソフト面でも確実にそのノウハウは拡大しつつ、
質の向上がなされようとしています。

大切なことはこのノウハウを共有し、そのノウハウを研ぎ澄ませていく
ことであり、直面する超高齢化への有効な対応策の質を向上させていく
ことだと感じました。

もしかするとこのような努力の中から真のシニアビジネスが生まれるような気がしました。

この豊四季台団地の一角には新しく在宅医療の拠点が設けられていました。

この団地を舞台に地域包括ケアシステムの構築が進んでいます。

この取り組みはまた別の記事でご紹介してみたいと思います。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。