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リノベーションには愛が必要(3/3)

2019年10月11日
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あっと驚く仕組み(2)

 

自宅のリノベーション、前回の記事に続いてリノベーションの中身に
ついて詳しくご紹介をさせて頂きます。

【ダイニング】

台所の横にはダイニングがありました。

もともとここは、和室があったのだそうです。

台所とダイニングをバリアフリーでつないで導線を広く使うことが
できます。転ばず安心して移動ができるのです。

 

 

台所の奥は和室を改造してダイニングに

 

 

ダイニングの壁際にある収納も全て低層のものでした。

年をとると高所収納は危険だという考えは、ここでも徹底されています。

そして低層収納ラックの上はテレビや小物置きとして使っていました。

そしてダイニングの奥には、夫婦二人でゆったり使えるワークコーナーが
ありました。

空いた子供部屋を使って、自分の書斎にするという人は多いようですが、
夫婦二人になると、書斎をダイニングやリビング、居間の近くに持ってくるというのは、移動距離を考えても便利かもしれません。

 

 

ダイニング奥の書斎(ワークコーナー)

 

 

ダイニングと書斎の間仕切りは、よく見ると本棚になっていました。

 

【水周り】

高齢になっての生活で一番気になるところは、やはり水周りです。

洗面所はやはり座ってできる工夫ができていました。

味気の無い既製品を置くのではなく、本当にシンプルそのものです。

既製品はどうしても、いろいろな設置場所を考慮している関係で横幅が
狭いものが多いのですが、これだと広く使えますし、車いすでの利用も
とても便利です。

 

 

洗面所はとてもシンプルでした

 

 

次はトイレです。

もともとはタイル張りで室内からの段差もある危険な場所だったようですが、床は室内と同じ無垢のフローリングで、バリアフリーでアクセスできるようになっていました。

手摺だけでなく、筆者が目を止めたのは壁に少し色が濃い木材を使っているところです。

高齢になると視力も落ち、その上判断力も鈍ります。

壁が単色で便器の色に近いと距離感がつかめない場合が出てきます。

木目調の壁のお陰で便器の位置や距離感覚もしっかりつかめます。

欧米の高齢者施設では、トイレだけでなく廊下にもわかりやすい配色を
施すことによって、判断ミスや事故を防止しています。

手摺の位置もちょうど良いところにしっかりと設置されていました。

写真ではよくわからないのですが、寒さに対しても配慮がありました。

冬季のトイレ使用は、心臓疾患や脳血管疾患のリスクを伴います。

トイレの窓には寒さを防ぐためのブラインドカーテンが設置されていました。

この寒さ予防のブラインドカーテンは、トイレの外側、玄関へのアプローチにも設置されていました。

冬季には玄関から冷気が室内に入り込みます。

日本の家屋は玄関近くにトイレが設置されているケースが多いため、
このような工夫はとても有効であると感じました。

 

 

木目柄で便器がハッキリとわかります

 

玄関から廊下へのアプローチに設置されたブラインド

 

 

ブラインドの向こう側が玄関

そして手前右側がトイレの引き戸

同じブラインドがトイレの窓にも設置されています。

そしてお風呂はトイレの隣にあります。

お風呂の窓の上には、ヒートショック防止用のヒータが設置されていました。

 

 

飼い猫の居場所だったようです
日当たりがいいのでしょうか?

 

 

【生活を豊かにする工夫】

前述の食品倉庫以外は、扉は全て引き戸になっていました。

玄関の上がり框には力の方向性に合わせた手摺が設置され、村上さんの
お父様手作りの木製の椅子も置かれていました。

収納式の椅子でなくてもこれで十分です。

そして庭へのアプローチには、気持ちの上で生活を豊かにしてくれる
工夫がありました。

村上さんのお母様はとても庭いじりが好きなのだそうですが、
庭への出口にウッドデッキを設置していました。

 

 

 

 

気候の良い時期であれば、ご近所さんとお茶会ができます。

わざわざ駅近くのカフェに行かなくても自宅でお友達と談笑することが
可能です。

この庭は西向きということもあり、庭への出口には西日をコントロールする仕組みが施されていました。

 

 

 

 

ガラス窓の外側に木製の格子戸が設置されていて、入ってくる光をコントロールできます。

きっと村上さんは、この家でのご両親の退職後の生活をイメージされていたのだと思います。

それは、ご自身もこの家に住んでいたからこそイメージできるのかもしれません。

木の温かみと木目をうまく使ったリノベーションだと感心させられました。

でも、村上さんのご実家を見学させて頂き、一番大事なことはそこに住む
人への愛情なのだと強く感じました。

高齢期に入った方々が自宅のリノベーションを業者さんに任せた際、うまくいかなかったという声をよく聞きます。

設計時と完成時にはイメージが大きく違うことも多いようです。

何がその要因なのでしょうか。

施主側の想いがうまく伝わらなかったからでしょうか。

何かが足りないのではないでしょうか。

リノベーションには、きっと「愛」が必要なんだと筆者は思いました。

 

 

ご紹介

皆さん、今回ご紹介した自宅のリノベーションいかがでしたか?

日本の住宅は、高齢者が住めるように造られてはきませんでした。

細かく区切られた部屋、狭い廊下、急な階段等、どれをとっても高齢期の
生活には大きなリスクとなります。

誰も自分が年を取ることを考えて家を建てていないのです。

でも殆どの方が施設ではなく、長年住み慣れた自宅で最後まで過ごしたいと思われています。

高齢者向けに造られていない住宅でも、リノベーションによって、リスクを低減することや老後の生活を豊かにすることは可能です。

少なくとも今回ご紹介した村上さんのような建築家は、この日本の中には
たくさんいるのです。

そんな方々の力を借りて自宅のリノベーションを考えてみませんか。

それも村上さんのようにご両親やご自身がまだ元気なうちに考えることが
重要です。

そう、
考えることができる内に、
そして将来の不安が顕在化する前に。

今回ご協力頂いた村上さんは大阪府を中心に活動されている建築家です。

今回の記事でご興味を持った関西地区の皆さん、
ご両親が関西地区に住んでおられる皆さん、
村上さんに一度ご相談してみませんか。
きっと親切にご対応頂けると思いますよ。

下記に村上さんのご連絡先をご紹介しておきます。

一級建築士 村上 あさひ

Mail:murakami.asahi@nifty.com
HP :http://www.muk-live.com/