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日本の高齢者住宅対策 そのヒントは北欧にあり

2020年02月14日
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前回の記事では、自宅のリノベーションについて少し触れてみました。
今回の記事では、実際にどのようにリノベーションすればいいのか、
その考え方についてまとめてみたいと思います。

日本の高齢者住宅はこれからどのようにしていけばいいのか?

以前の記事「リノベーションには愛が必要(2019.10.3-10.11投稿)」
では戸建て住宅のリノベーションについてご紹介はしましたが、
もっと大きな括りで考えた場合、どうすればいいのかを皆さんと
一緒に考えてみたいと思います。

 

筆者はそのヒントを北欧に見つけました。

 

高齢者住宅先進国 デンマークの取り組み

 

「日本の高齢化の特徴(2018.10.21投稿)」の記事で述べたとおり、
日本はあまりにも速い高齢化の為にあらゆる面でノウハウが蓄積できて
いません。

それは住環境一つとっても例外ではありません。

いくら制度面を整えても、それが今の超高齢社会を迎えた日本の社会に
適合するものか疑問も残ります。

そんな中で、とても参考になる取り組みがあります。

高齢社会対策で日本よりも先行している北欧諸国の取り組みです。

 

日本は高齢化社会(高齢化率7%)から高齢社会(高齢化率14%)になる迄、僅か24年と上記の記事の中でお伝えしました。

それに対して北欧諸国は50~90年の歳月を要していますが、その中で
比較的速く高齢化が進行したデンマークには、日本にとって必要な
ノウハウがぎっしり詰まっているのです。

そう、お手本になるところがたくさんあるのです。

 

ノーマライゼイション(normalize(動詞)に状態を示す-tionの造語)

発祥の地であるデンマークは、障害のある人や高齢者にもできるだけ
ノーマルな生活状態に近い生活環境を作り出すことを目的にした
取り組みを強力に推し進めている福祉国家です。

今回は記事を通してデンマークの取り組みをご紹介してみたいと思います。

冒頭に今回の記事を作成するにあたって、とても参考になった松岡 洋子
さんの書籍「デンマークの高齢者福祉と地域居住」をご紹介しておきます。
福祉国家デンマークの取り組みにご興味のある方は是非目を通してみて
ください。

本の副題がとても凄いです。

 

最後まで住み切る 「住宅力」・「ケア力」・「地域力

 

日本がデンマークから学ばねばならないKeywordが示されていました。

 

画像素材:PIXTA

 

自然な死

 

デンマークでは(多くの日本人が強く望んでいるように)、多くの高齢者の皆さんが在宅で死を迎えるそうです。

自宅においてホームドクターの指示のもと、訪問介護を受けながら家族に
囲まれて亡くなる。

それをデンマークの人たちは「自然な死」と表現しているそうです。

デンマークでは過去の高齢化政策変更の影響もあり、居住環境の面でも、
ケアの質の面でも、(高齢者)施設と住宅との間に差がなくなっている
そうです。

松岡さんの著書の中ではこんな表現でそれが示されていました。

 

『在宅で可能な限り頑張って、24時間介護が必要になった時に
最後の手段として施設へ引っ越しをすることの愚かさは
もう20年前に明らかにされた』

(政策変更は1988なので正確には、30年ほど前になります)

と書かれた部分では筆者も少し衝撃を受けました。

デンマークでは1988年に政策変更が実施され、高齢期の暮らしを配慮した
高齢者住宅が、(高齢者)施設と同レベル(同じ数量)で用意されるようになったそうです。

当然のごとく在宅においても施設と変わらないレベルのケアを受けられる
とのこと。

家族や友人との人間関係を保ちながら、地域での役割を果たし、最後まで
地域に住み続ける。

そしてケアスタッフや家族に支えられながら自然な死を迎えるという
デンマーク流の「地域で生き切る、住み切る」やり方は、ある面で
日本が進める地域包括ケアシステムの理想形ではないかと感じました。

松岡さんはデンマークでの経験をもとにこんな表現もしていました。

「高齢者住宅=虚弱な高齢者の住まい」というイメージが定着し、
高齢者住宅はケアがつくものという誤解が蔓延している日本。

でも、

「デンマークの高齢者住宅はケアスタッフが常駐しない“スッピン住宅
なんです」

とのこと。

スッピン住宅という表現には驚かされましたが、素直になって考えると

「何も特別なことをしなくていい!
住む人が心地よいと思う住宅が良い(高齢者)住宅」

なのかと筆者は思ってしまいました。

ケアシステムも含めて、「必要以上のことはしなくていいんだよ」という
メッセージではないかと考えることもできます。

死ぬ迄生き続ける自宅とはどんな家なのかを悩む筆者にとっても、
とても参考になる言葉でした。

 

デンマークから学ぶこと

 

日本も既に今後公的な高齢者施設をつくらない方針を打ち出して
いますが、今までは箱モノとしての高齢者施設をどんどん造って
きました。

デンマークでも1988年の政策変更以前は、日本と同様に高齢者施設を
どんどん造っていたようです。

政策変更により、一転して施設より、

「(人生の)最後まで住むことを可能にする居住環境、
(人生の)最後まで支えるシステム」

へと切り替えた経緯があります。

この高齢者住宅、デンマークのような福祉国家にはできても、福祉を
企業等の国家以外の組織が中心に担ってきたこの日本では実現が難しい
のかもしれません。

今まで日本はヨーロッパのような巨大福祉国家ではなく、どちらかと
いうと優秀な企業が国家に代わって福祉を支えてきたところがあります。

どこの国でも同じ形をとるライフサイクル

 

独身➡結婚➡家族➡子供の教育費➡住宅費等負担増

 

等における生活保障をヨーロッパでは国家が担ってきたことに対して
日本では企業が行ってきたといえます。

言い換えると、年功賃金(生活給)等に代表される企業の日本型雇用
システムが担ってきたともいえるのです。

筆者はこの企業の力を使って高齢者住宅という難問を解決できないかと
考えています。

介護という側面だけではなく、「地域で生き抜く、地域で住み切る」
手助けをもっと企業が事業として推し進めることができれば、
もっと前向きに超高齢化に立ち向かえるという気がします。

最近、高齢者施設ではなく、高齢者向けマンションや賃貸アパートが
販売されるようになってきました。

もっとこの動きが活発になり、地域の高齢化対策になればと願っています。

この企業が提供する高齢者住宅には既に介護や医療事業者が常駐して
サービスを提供しているケースが多いのです。

企業が中心になって地域の介護・福祉・医療事業者をコーディネイトする
ことができれば、地域包括ケアシステムの実現に向けたノウハウも
溜まりやすいのではないでしょうか。

 

地域の福祉や介護を手掛けるNPO法人や医療・介護施設の連携がなければ、地域包括ケアシステムは機能しません。

マネジメント力を持つ企業が、地域でそれぞれの組織をコーディネイトすることによって、はじめてデンマークのような「スッピン住宅」が可能になるかもしれません。

いや、「日本版スッピン住宅」をつくることも不可能ではないかも
しれません。

 

住み慣れた地域で、安心して最後を迎える為には、このデンマークの
取り組みがとても参考になると感じました。

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。

 

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