BLOGブログ

空き家問題を考える(2/2)

2020年07月22日
5

今回の記事は前回に引き続き、空き家問題について考えてみたいと
思います。

なぜ空き家がこんなに増えるのか。

なぜ改善できないのか。

そこには、高齢化する前のこの国の制度が悪影響している状況が見えて
くるのです。

 

 

なぜ制度を変えることができないのか

 

 

この空き家が発生する理由は、この国の様々な制度が原因でもあります。

親が死亡する、或いは高齢者施設に入居する。

でも子供には子供の生活がある。

 

ある意味、地方には構造的な問題もあります。

多くの子供たちは、就職条件が有利な知名度の高い東京の大学を目指し
ます。

そして、大学から東京に本社を構える大手企業等に就職するのです。

結果として、実家の親とは離れて暮らすことになります。

結婚して家庭を持てば、親とは別々の生活。

そんな中、親の高齢化で環境は一変します。

親の方も自分の死後、家の処分を考えることはありません。

夫婦同時に死ぬことはないので無理もありません。

大抵は先に旅立つ夫は、妻の事を考えて家を残します。

 

結果的に親の家だけが残る。

 

ここで問題になることが2つあるのです。

 

 

理解できない慣習

 

 

問題の一つ目は、家の資産価値についてです。

日本の家屋は築25年を経過すると資産価値がゼロになります。

まだ住むことができても、資産価値は無くなるのです。

とても不思議です。

 

アメリカでは25年だろうと40年だろうと価値のある物件は売れるのです。

日本の場合は、資産価値がなくなってしまうのです。

なぜ日本の家は資産価値がなくなってしまうのか?

筆者も調べてみたのですが、よくわからないことが分かりました。

 

住宅業界では、木造の耐用年数が22年と設定されているそうで、その年
数で住宅ローンを貸す際の建物評価がゼロになるという考え方があるの
だそうです。

これは金融機関に聞いても否定はされないそうです。

 

大事に手入れすれば、30年、40年、いや50年と使える家が、住宅ローン
の評価によって決まっていること自体よく理解できません。

アメリカでは適切に評価できていて、日本では適切に評価されない。

そう、日本には適切な評価(査定)システムがないのです。

アメリカ人はキャリアアップの度に転居するそうです。

それがわかっているから、家も大事に使う。

転居の際に少しでも高く売る為に大事に綺麗に使うのです。

アメリカのお父さんが、家のペンキ塗りや芝刈り、植栽の手入れをきち
んとするのは自分の家の資産価値を自らの力で維持したり、上げる為で
す。

日本のように25年経てば資産価値がゼロとなれば、誰も頑張りたくない
ですよね。

たとえリフォームして綺麗にしても高く売れないのです。

やっぱり何か変です。

その結果で家が売れずに空き家になる。

高く売れれば、資産として子供達にも残せます。

 

 

もう一つの問題は、更地にすると固定資産税がいきなり高くなるのです。

これもなぜなのかわかりません。

親の家に子供が住めない場合は、家屋を取り壊して土地だけを売却した
り、有効活用できればと思うのですが、それをするとなぜか税金が上が
るのです。

仕方なく、子供たちは資産価値が低くなって安くなった固定資産税を
払いながら親の家を放置することになります。

これも筆者は調査してみました。

 

結果驚愕の事実が分かったのです。

 

なぜ更地にすると固定資産税が上がるのか?

その仕組みが分かりました。

どうも土地に建物が建っている時は、固定資産税の負担が軽減される
特例があるらしいのです。

よくテレビでも聞く、「軽減措置特例」というのが適用されているそ
うです。

建物を解体してしまうことによって、その特例が適用されなくなって
しまうので更地になると固定資産税が高くなるという仕組みになって
いるのです。

この特例がなくなると、固定資産税が6倍になるとのこと。

この税金と家屋取り壊しの費用を考えると、誰も更地にして有効活用
しよう等と考えません。

 

だから空き家のまま放置される。(いや放置せざるを得ない)

 

かたや国や自治体は、多額の税金を使って空き家対策を実施している。

 

本末転倒とはこのことですね。

 

やはり、何かがおかしい。

 

何かを変えなければ、空き家対策を含めて我々の身の回りの問題は解決
できないかもしれません。

 

 

新しい査定システム

 

 

どうすればこの問題を解決できるのか。

 

一つ目の問題に対しては、住宅の対するキチンとした「査定システム」
を構築すべきだと考えます。

まだ住める家であれば、築年数のようないい加減な評価はやめて、正し
く家を査定していくことが大事です。

そうすれば中古市場ももっと盛んになります。

若い世代は、車や家を買おうとはしないそうです。

若い世代は、長年家のローンを苦労して払う親を見てきました。

もうそんな苦労をしてまで家を欲しがりません。

生涯年収も下がっていて、買うことも難しくなっています。

 

そんな中で、中古住宅でも資産価値があるのであれば、持ちたいと思う
人は増えるのではないでしょうか。

 

筆者にはあるアイデアがあります。

 

高齢期に入った方々が、心身が弱っても自宅で過ごせるリノベーション
を実施するのです。

高齢者対応用にリノベーションした家屋に対する評価(査定)システム
をまず構築することにより、高齢者用中古住宅市場をつくるのです。

高齢者用にリノベーションされた家は、使い終わっても新しい使命が
待っています。

そう資産価値があるようにするのです。

超高齢化を迎えるこの国で、高齢化対策をした家こそが、「本当に価値
のある家」だと筆者は思います。

この高齢者向けリノベーションと査定システムをセットで展開できれば、
新しい市場が構築できるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

そして、それは間違いなく空き家対策にもつながります。

 

 

新しい地域協定

 

 

二つ目の問題に対しては、空き家を有効活用することで対処できないか
と考えています。

我々は全ての人が地域社会の一員です。

空き家をつくらないためにも、一人一人の自覚と行動が必要になると
筆者は思っています。

今、街中で問題になっている「ごみ屋敷」、筆者も横浜で見たことが
あります。

この「ごみ屋敷」の対応に自治体が多額の税金を使っているそうです。

政府が自治体に指示した空き家対策の殆どがこのような放置された空き
家対策に当てられています。

本当は空き家になる前の対策、空き家にしないための対策に重点を
置くべきです。

下流対策ではなく、上流対策が必要なのだと感じています。

 

ハリウッドの山の上にある豪邸なら空き家になろうが、周辺の地域には
悪影響ではありませんが、狭い国土に家がひしめく日本では条件が違い
ます。

我々一人一人が(地域)社会の一員であれば、自らが空き家をつくらな
いという取り組みをすべきです。

 

以前の記事で、地域の建物や土地をシェアリングして再活用する事例を
ご紹介しました。

 

 

 

 

 

市街地内の老朽木造密集地域において細分化敷地の統合や
不燃化された共同建築物の建築、公園、広場、街路等の整備を行うこと
により、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の
更新を図る目的で実施されていた取り組みが参考になると思ったのです。

この取り組み自体は、主に防災目的で始まったものです。

地域の住宅密集地での地震等による火災の被害を食い止めるために地域
の建物を再編しようという取り組みです。

古くても得やすい木造建築を解体して、一旦更地にした上で、土地を
有効活用して地域にも貢献しながら、新しい建物をつくる。

 

以前の所有者は、そこに所有権を引き続き堅持することもできるという
考え方です。

 

この考え方は、空き家が増えた街を変えていくための手段としても有効
ではないでしょうか。

 

空き家が増えた地区を有機的に統合して、近隣の住宅と共に「所有権」
をシェアリングすることにより、地域を魅力的にそして安全・安心な
場所に生まれ変わらせることができるかもしれないのです。

ここに先ほどの「軽減措置特例」を適用できれば、空き家を地域の為の
施設に生まれ変わらせることができるかもしれません。

 

自分が住んだ後の家が、子供達に迷惑をかけることもなく、地域の為に
活用できる。

そんな地域協定があれば、安心できるのではないかと考えています。

その有効利用の用途が、多様性や多世代の住む街をつくる為や地域の
高齢者をサポートする為のものであれば、地域にとっても喜ばしいこと
です。

 

 

 

 

 

もしかすると、地域で新たな雇用を生み出すことができるかもしれませ
ん。

そのためにも地域の行政と地域住民を巻き込んだ地域協定が必要かも
しれません。

 

この地域協定、今までは住宅地域の中に商業施設はつくらないとか、
集合住宅はつくらないとかという高齢化を意識しない内容でした。

これからは、少子高齢化に対応する為のものであれば、高齢化する街を
救うものになると考えます。

この空き家をつくらないための上流工程の取り組み、読者の皆さんの
ご意見も是非聞いてみたいと思います。

 

このまま空き家を増やすことは、地域にとっても、自治体にとっても、
この国にとっても罪悪です。

 

そして超高齢化によって増えてくる空き家は、間違いなく次の世代に
とっても負の遺産となります。

 

アフターコロナの時代、ピンチをチャンスに変える改革こそが次世代に
希望を与えることになるのではないでしょうか。

 

そしてその担い手は、地域で長年暮らし、地域を愛している高齢期の
方々しかいないのです。

住み慣れた街を維持しようとする住民の機運の生まれた地域のみが、
街の資産価値を維持できるのではないでしょうか。

その資産価値をもって新たな住民に来てもらうことこそが、街を守る
ことになります。

その結果で、多世代が住む街になれば、良い街になります。

そのためには、地域住民の力が必要です。

もしかすると、働くことをやめた高齢期の方々には、最後の仕事として
地域の再生という大事な仕事が残っているのかもしれません。

そんな地域住民に空き家対策のお金が入るような仕組みが必要だと
思うのは、筆者だけでしょうか?

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。