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大阪万博への想い

2020年10月02日
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先日仕事で大阪の千里中央という街に行ってきました。

 

1970年に開催された大阪万博会場の玄関口としてできた街です。

 

大阪の北部に広がる千里丘陵を切り開いた広大なニュータウンの中心と
して栄えた街で、今は街開きの頃からある地下鉄に加えてモノレールも
乗り入れて、大都市大阪のベットタウンとしての位置づけは変わってい
ません。

 

大阪育ちの筆者には団地のイメージが強いのですが、実際訪れると今は
高層ビルやタワーマンションが立ち並び雰囲気は変わってしまいました。

 

街開きから約50年が経ち、様々な変化がこの街に起きています。

 

今回の記事は、日本を代表する巨大ニュータウンである千里の街の状況
をご紹介しながら2025年に開催される大阪万博への想いを綴ってみ
たいと思います。

 

 

 

ショッピングモールの入り口には50周年の看板が出ていました

 

 

 

人が集う場所をつくる

 

 

駅を降りると、駅周辺にはモダンなつくりの百貨店を含めてショッピン
グモールが存在しています。

 

ここの名物は10以上の建物を結ぶペデストリンデッキを要していること
です。

 

デッキとは言えない規模で、デッキ上には様々な施設やイベント会場が
あります。

 

こんなつくりが今から50年以上前に実現できているなんて驚きです。

 

このペデストリンデッキ、長さ約500m、幅250mと巨大なだけでなく、
完全バリアフリーに整備されていました。

 

建物間の高低差を克服する為に、多少起伏はありますが、障害者の皆さ
んにも安全に使える仕組みになっています。

 

そしてそこら中にエレベータやエスカレータが整備されていてとても
便利です。

 

そう高齢者にも安心して過ごせるつくりになっていて、ペデストリン
デッキにシニアカーを乗り入れている高齢者の方も見かけました。

 

そう考えて街を歩いてみると、高齢のそれも女性が多いことに気付きま
した。

 

この街は当時の若者には人気が高かったことを考えると、もう年齢は皆
さん70歳を超えていることが分かります。

 

50年の歳月は、人だけでなく街も老いることを証明していました。

 

駅周辺の団地も老朽化が激しいのですが、中心街最大のショッピングモ
ールは建物の老朽化で取り壊しを待っているようでした。

 

この建物(千里セルシー)も、建物外周部にデッキをもった当時として
は画期的なつくりで、建物前面にはイベント会場まで設置されていまし
た。

 

ただ歳月の積み重ねには勝てず、静かに再生の時を待っていました。

 

 

 

 

解体を待つモダンな建物 もっとうまく活用する方法はないものか

 

 

 

多世代が集う街へ

 

 

前述のペデストリンデッキ上の広場には、子供たちが遊べる施設や広場
がたくさん設けられていました。

 

そこには小さな子供ずれのお母さん方の集団を目にすることができまし
た。

 

高齢化が進む街の再生には、多世代が集う仕組みの導入が一番効果を発
揮します。

 

 

 

ペデストリアンデッキの端にあるバリアフリーの遊歩道

 

 

 

そして、ペデストリンデッキの脇には市の設置する文化施設がありまし
た。

 

中に入ると市の窓口だけではなく、市の医療施設もあります。

 

子供たちの健康を守るために様々な検診ができる設備もあり、たくさん
の親子が利用していました。

 

当然のごとく、高齢者が集える文化セミナーも多数開催されているよう
でした。

 

この文化センターだけみると、コロナの影響は全く感じることができま
せん。

 

この大きな施設からは、「安全」と「安心」そして「つながり」が感じ
取ることができました。

 

 

 

 

市の文化センター 大規模で人が集える仕組みと機能が満載です

 

 

 

街の中心街にショッピングモールを設けるだけでなく、このような医療・
文化センターを設けることも多世代が住まう街を実現する為に効果があ
るのだと感じました。

 

この千里中央、街をどのように変えていけばいいのかというヒントを
見つけることができる街かもしれません。

 

大阪の中心街から地下鉄一本で来れる便利な場所であることは確かです
が、行政が何に力を入れるべきかを示している良い例かもしれません。

 

 

今度の万博は海の上

 

 

残念ながら、今度の万博会場は千里丘陵ではありません。

 

大阪湾上の埋め立て地、「夢洲」という人工島で開催が予定されていま
す。

 

大阪湾には、2つの空港も含めてたくさんの人工島があります。

 

海路で結べば、関西だけでもたくさんの人が短時間で訪問することがで
き、海外からのお客様も含めて多くの来場者で賑わうことは間違いあり
ません。

 

東京オリンピックが1年延期された関係で、4年という間隔で世界から
たくさんのお客様を迎えることは、経済効果だけでも大きなものになり
ます。

 

でも、筆者にはもう一つ今回の大阪万博に期待を寄せる理由があります。

 

それは、以前の記事でもご紹介した大阪万博のテーマでもある

 

“ 「人生100年」世界の知を結集 ”

 

です。

 

くしくも、万博開催の2025年は、このブログで何度も取り上げてきた
2025年問題が始まる年と同じ年です。

 

大阪だけでなく、大都市圏を中心に高齢者の大波が社会問題になる頃、
その問題をどのように解決していくのか。

 

そのヒントも含めて具体的な取り組みを社会に示すことができれば、
全世界が注目することは間違いありまません。

 

大都市圏での高齢化の問題は、もう日本だけの問題ではありません。

 

特に日本の後を追うように急速に高齢化していく東アジアの国々にとっ
ては大きな課題にもなっていきます。

 

そんな中で、日本が前例を示すことができれば素晴らしいことです。

 

その中で生まれる産業は、この国の新しい経済の柱になるかもしれませ
ん。

 

大事なことは、今回の千里ニュータウンの取り組みも含めて、蓄積して
きたノウハウをどのように集積して、まとめ上げ、商売のネタ(商品化)
にするかです。

 

そこに新しい政権の目玉でもあるデジタル化を組み合わせれば、日本の
戦略商品が生まれるかもしれません。

 

今度の万博まであと4年と少し、どのように世界にアピールしていくか
を考えることはこの国の将来を考える意味でもとても重要なことではな
いでしょうか。

 

以前の記事でご紹介した泉北ニュータウンの取り組み

 

そして幕張の取り組み、どれも参考になるものばかりです。

 

東京オリンピックは、コロナの影響が色濃く、厳しいものになるかもし
れませんが、大阪万博まではまだ準備期間があります。

 

この国の将来を占う大規模イベントに、専門家だけでなく、もっとたく
さんの人々の英知(民間知)をつぎ込むべきだと思うのは筆者だけでし
ょうか。

 

少子高齢化という課題をどのように克服していくかという戦いには
もっと前向きな考え方と多くの方々の知識と経験が必要だと考えて
います。

 

読者の皆様も含めてたくさんの民間知が結集できれば、きっと素晴らし
い万博になると思います。

 

大阪万博を通して、

こんな課題を解決したい!

こんなことができれば地域がもっと元気になる!

「さすが大阪(関西)やで!」と阪神ファンも大喜びする活動とは?

 

そんなことを読者の皆様と考えていければ、このブログももっと素晴ら
しいものになっていくと思います。

 

小さなことでも構いませんので。是非ご意見を賜りますようお願い
申し上げます。

 

今回の記事も最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

 

 

次回の記事の投稿は、取材出張の関係で10月9日頃を予定しています。

今年も敬老の日に、恒例となった日本の高齢化についてのデータが
公表されました。

今年は様々な高齢化のデータとともに、高齢期での就業についての
データも公表されました。

高齢者が支えられる側から(社会を)支える側に居続けることは、
この国の将来を考える上でとても重要なことです。

どのようなデータが公表されたのかは、記事でご確認頂ければと思い
ます。

是非お付き合いを賜れば幸いです。