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介護施設の選び方

2021年07月31日
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筆者が勉強している施設(有料老人ホーム)でも介護職員を中心に職員
が不足しています。

 

この人材不足は日本全国の施設で慢性的に起きているのです。

 

 

なぜ、介護職員は不足になるのか

 

 

介護や福祉の仕事に入職する為には、様々な資格が必要です。

 

最近は介護事業者が資格取得の支援を有償で提供したり、自治体の中に
は助成金を出して資格取得の支援をしているところもあります。

 

また特定施設では、介護の資格がなくても入職することができるために、
社会の役に立ちたいと思われている方を中心に求人に対する応募はそれ
なりにあります。

 

でもその反面でせっかく入職しても、すぐに辞めてしまうというケース
が少なくないのです。

 

そう離職率が非常に高いのです。

 

全国平均でみると介護の離職率は、常に離職率ランキングのトップに君
臨する飲食業等より低い値なのですが、地域や法人別にみてみると信じ
られない数値が目に飛び込んでいきます。

 

通常の企業では、離職率を年度単位で管理しているようですが、介護や
福祉の場合は3カ月単位や半年単位で管理しているところも珍しくあり
ません。

 

その数値は驚くべきものです。

 

3カ月で30%、半年で50%と普通の企業ではありえない数値が目に
飛び込んできます。

 

この背景には、低賃金で過酷な労働であることも要因ではありますが、
職場環境の未整備も指摘されています。

 

筆者も複数の退職者と面談したことがありますし、いろいろなアンケー
ト結果をみたりすると入職者の甘い考えもあることは事実です。

 

「介護や福祉の仕事ならできるかもしれない」

 

常に人材不足である業界で、求人数は異常なほど多い為に、これならで
きるかもしれないと思い込んでしまうケースもあります。

 

求人広告には、本当に安心してしまいそうな文言が並んでいます。

 

・無資格者でもOK(特定施設では法的に問題ありません)

・排泄介助はありません(実際にはあることが殆どです)

・お休みもキチンととれます

 

等々、魅力的な言葉が並びますが、実際にはそうではないことが殆どです。

 

「ウンチの処理はしたくないけど、入浴や食事介助ならできるかも」

なんて考えで入職すると愕然としてしまうことになるのです。

 

そしてこの業界には、土日祝日は存在しません。

当然のごとく、お正月やお盆休み、GW等の大型連休も存在しません。

 

完全24時間365日体制で、夜勤もあります。

 

かなり改善されてはきましたが、それでも月8~10休という程度です。

 

ようするに、国民の休日はないのです。

 

ですから、カレンダーで休日が多い月にはとても違和感を感じます。

 

そこに職員不足が重なると、休日出勤や早朝出勤、残業は当たり前にな
るのです。

 

 

画像素材:いらすとや  初めて介護の世界に足を踏み入れた人は、
カレンダーを見て、少しショックを受けるかもしれません

 

 

メンタル面の異常をきたす職員が多い

 

 

そんな中、メンタル的な障害を起こす職員も少なくありません。

 

介護や福祉に拘わらず、離職の主要要因に人間関係があげられています。

 

でも、介護の世界ではこの人間関係の構造が少し違うのです。

 

普通の会社に於けるパワハラのようなものもあるにはあるのですが、そ
れは三角関係のようなものなのです。

 

介護施設では、入所者の認知による影響もあるのですが、職員による入
所者に対する暴言が後を絶ちません。

 

とても残念なことです。
(きちんと対応されている施設があることも事実ですが)

 

「クソばばあ」

「くそじじい」

「死ね! このクソ野郎」

 

こんなベテラン職員の言葉を聞いた経験の浅い職員が間違っていると感
じ、ベテラン職員に対して意見すると、

 

「あんたもいつまでそんなこと言ってられるかね~」

 

と、馬鹿にするような言葉が返ってくるそうです。

 

悲しい事ながら、長く施設で働くと、こんな人間になってしまう職員が
多いのは事実なのです。
(こんなにならずに頑張っている職員もいることも事実ですが)

 

暴力までには発展しないまでも、虐待に近い暴言は施設では実際に発生
していて、それが公に問題となり、自治体主体で施設に対して第3者が
管理者として派遣されるケースもあります。

 

こんな環境で働く真面目な職員は、人間関係と施設の厳しい実態を知っ
て離職していきます。

 

そして二度と介護や福祉の世界には戻るまいと決心する人も少なくあり
ません。

 

 

読者の皆様は、こんな施設の実態を知って、どのように感じておられま
すか?

 

今はお元気なご両親もいつかは老いて弱っていきます。

 

そして、その後はご自身も同じ道を歩むことになるのです。

 

「今からそんなこと考えている暇はない」と言っている場合ではありま
せん。

「まずいかも・・」と思った時からいろいろと勉強することをお勧めし
ます。

 

決して損にはなりません。

 

施設に入れたからといって、安心ではないのです。

 

どんな施設なのかを上っ面ではなく、真剣に調べた上で入所する必要が
あります。

 

自治体が運営する地域包括センターに行っても、街中の紹介所に行って
も施設の内情を知っているところは殆どないと思ってください。
(当然、分かるはずもありません)

 

自分で調べてから動く必要があるのです。

 

ご両親が弱り切ってから施設を探しても良い所は見つかりません。

 

施設の設備や職員体制やサービス内容を見てもわからないものがあるの
です。

 

そう、施設の実態をキチンと把握してから入所することが重要です。

 

 

 

画像素材:いらすとや 入所者の爪の手入れは看護師が実施します
施設を見学したら、綺麗な設備を見るだけでなく、介護を受けている入
所者の顔の表情や職員の顔の表情と挨拶の仕方をよく見てください
レクリエーションの状況を確認すれば、施設の状況がよくわかります

 

 

どのようなデータが必要か

 

 

当然のごとく、介護だけでなく看護体制や夜間でも緊急体制があるかど
うかも大事なことなのですが、職員の質を調べることが大事です。

 

これで完全というわけではないのですが、職員の離職率を見ることも大
事です。

 

施設の離職率は簡単にはわかりませんが、その施設が年がら年中、職員
を募集しているかどうかである程度判断することができます。

 

離職率が高い施設や法人は、多くの求人サイトに年がら年中、求人を出
しています。

 

求人サイトなら、誰でも登録すると求人情報を見ることができます。

 

地域に根付いた施設であれば、近隣にその施設で働いた方がいるはずな
ので、地域の情報ネットワークをうまく活用することも考えた方がいい
かもしれません。
(ようするに噂を聞き取るのです)

 

施設や法人のホームページやカタログには良い事しか書いていないのは
誰しも理解はできますよね。

 

ここまで書くと、施設に入るのも大変なことがわかっていただけたこと
と思います。

 

お金の問題もさることながら、やることは山ほどあります。

 

「そんなの入ってみないとわからない」

 

という声も聞こえてきそうですが、多くの施設では入居時に敷金等の入
居一時金が発生します。

 

やっぱりここは良くないと思い直して、他の施設に移る場合には注意が
必要です。

施設の中には、敷金等の一時金の多くが手数料等として返金されない場
合があります。

 

ですから、入居一時金が転居の際に返ってこない施設は要注意です。

 

要するに(何らかの理由で)転居が多いということになります。
(きちんと理由が記載されていたり、説明がある場合は別ですが)

 

 

ここまで整理すると、一番良い方法は、筆者がこのブログでずっと申し
上げてきたとおり、

 

・高齢になっても(あらゆる努力の結果として)健康を維持して、

・少し弱っても自立生活が可能なように、住み慣れた自宅をリノベーシ
ョンして

・その環境でできる限り自立した生活を続けること

・介護が必要になっても、できる限り在宅で必要な介護のみを受け、

・サービスとサービスを受ける事業者を自分の目で見て選択する

・そして、地域や親族等のサポート体制の維持と交流を絶やさないこと

 

あくまでも理想ではありますが、なんでもかんでも施設というやり方は
考え直す時期に来ているのではないかと筆者は真剣に思うのです。

 

少なくとも、施設に入ったままではなく、元気な時は自宅で、虚弱度が
高くなれば施設、といった柔軟な対応ができればもっと自分らしく人生
の最後を迎えられるかもしれません。

 

ご家族は、ご両親が施設にいる方が安心です。

ご両親が遠方にいる場合は、なおさらです。

 

でも、それが本当にご両親の為なのかどうかをもう一度考えてみるべき
なのかもしれません。

 

 

 

これからは、自宅か施設かという選択ではなく、多元論的な考えが必要

 

 

 

 

これから介護職員の不足は更に深刻化

 

 

筆者がこのように思うのには他にも理由があります。

 

この日本の高齢化はまだまだ続きます。

 

そして、高齢化率がピークになる2040年頃まで続くのです。

 

今でも介護職員の不足が深刻化しているのに、これからどうなるのでし
ょうか。

 

先日、厚生労働省は、高齢化がほぼピークになる2040年度に全国で
介護職員が約280万人必要となり、現状と比べると約70万人近くが
不足するという推計を公表しました。

 

この推計は、介護サービスの見込み量等を元に算出しているそうで、団
塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる2025年度に必要にな
る職員数は約243万人にのぼるそうです。

そのままのペースでいくと、高齢化率がピークを迎える2040年度に
は上記の約280万人が必要になるという予測をしているようです。

 

280万人と簡単に書きましたが、その数は自治体の人口ランキング上
位の大阪市とほぼ同じ数です。

不足分とされる70万人でも、東京の下町で人口密集地帯として知られ
いる足立区や江戸川区の全人口に匹敵する数です。

 

足りないとされる数は、中途半端な数字ではありません。

 

でも、前述のような介護職員の働く実態を見ると、その不足数はもっと
増えるかもしれません。

 

人が必要なのに、人が確保できないのです。

 

相当真剣に考えないといけないのですが、政府や業界は外国人実習生に
期待を寄せています。

 

でも、読者の皆さんはそこにどんな問題が発生するのかすぐお分かりだ
と思います。

 

低賃金、過酷な労働の末、脱走する外国人が増えるだけです。

 

そして、施設の入所者に暴言を吐く職員の人種が変わるだけなのかもし
れません。

 

もういい加減、政府も業界も付け焼刃は止めて、本質を解決する方法を
真剣に考える時期だと理解するべきかもしれません。

 

 

今回の記事は、この国の社会保障を支える施設の実態について、ほんの
一部に焦点をあてて触れてみました。

 

これからの施設選びの一助となれば幸いです。

 

もっと真剣に考える人が増えない限り、この国の社会保障はよくなりま
せん。

 

また読者の皆様と、国難ともいえる少子高齢化の課題について一緒に考
えてみたいと思います。

 

 

今回の記事も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。