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ノーベル賞が消えていく

2021年11月13日
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今年のノーベル賞も日本人が見事に受賞しました。

 

なんと受賞したのは、今年90歳の眞鍋 淑郎さんです。

 

物理学賞といいながら、今最もホットな話題でもある地球環境の研究で
のとても立派な受賞でした。

 

でも、大学から起算しても約70年近くも努力し続けて、ようやくその
研究成果が世界で認められ、活用されての受賞は見事だとしか言いよう
がありません。

 

残念ながら眞鍋さんは、アメリカで活躍する研究者で米国国籍も取得し
ています。

 

日本に生まれ、教育を受けたにもかかわらず、米国に渡り、アメリカ人
としてアメリカという国の為に働いています。

 

90歳とはいえ、プリンストン大学上席研究員にして(米国)国立研究
開発法人海洋研究開発機構のフェローも勤める立派な現役で驚かされま
す。

 

なぜ、筆者が驚くのか?

 

日本の大学では65歳定年が当たり前で、定年後は他の大学で数年間、
特任教授のような立場で働き、研究生活を終えるケースが殆どだから
です。

 

筆者がお付き合いをさせて頂いている先生方で、現在も活躍されている
方は70歳代が一番長老クラスだといえます。

 

この国では企業でも65歳になれば働けなくなりますが、大学も同じな
のです。

 

能力も知識もまだまだ向上しつつあっても、ある年齢になるとバッサリ
切られる。

 

上述の眞鍋さんも早くからアメリカに渡っているように、多くの優秀な
研究者が海外に活躍の場所を求めてこの国から去っていきます。

 

そんな中、最近日本の頭脳とも言われている優秀な研究者が、お隣りの
中国の大学へと研究の場所を移しているそうなのです。

 

その中には、ノーベル賞受賞者や将来のノーベル賞候補といわれている
研究者の方々が多く含まれていました。

 

その大部分が高齢期の研究者たちです。

 

このままでは、国家の宝ともいえる重要な技術やノウハウが海外へと流
れ、海外でその成果が結実することになります。

 

もういい加減にこの国の年齢に対する考え方を考え直す時期に来ている
のではないかと思うのです。

 

先進国の多くはもう年齢差別や企業の定年制を法律で禁止しています。

 

この国は大昔にあった「姥捨て山」の文化をまだ捨てきれずにいるので
す。

 

 

 

 

画像素材:いらすとや  ノーベル賞受賞者は高齢期の方ばかり
長い期間研究を続け、努力の成果が認められる人は一握りの研究者
でも、こんな長期間の研究があるからこそ「成果」や「成長」がある
簡単には、「成長」とか「果実」とはならないのです

 

 

 

 

大学の研究だけではない

 

 

この国の頭脳やノウハウの流出は大学に限ったことではありません。

 

バブル崩壊後、この国の企業が行った高齢期の社員の首切りで多くの技
術者が海の向こうへと渡りました。

 

その多くは、当時日本の後を追い急速に台頭していた韓国や中国に渡っ
たのです。

 

首を切られた日本の技術者はそこで古巣の日本企業に向けて復讐の牙を
むくことになるのです。

 

「俺を捨てた会社に復讐してやるぞ」とばかりに韓国や中国企業に日本
の技術を流出させた結果、どういうことになったかは読者の皆さんにも
知るところとなりました。

 

その中には、長年の研究における成果が海の向こうで結実したケースも
あることを考えると残念で仕方がありません。

 

なぜ、そんなに年齢にこだわるのか?

なぜ、長期的視野に立って人財を活用できないのか?

 

そんな人財の流出の影響が顕著に現れたものの一つに薄型TVがありま
す。

 

急速に日本の技術を使って成長する韓国メーカーの製品に対して当時の
日本のメーカーはとても面白いことを言っていました。

 

“よく見ると、韓国製のTVより日本製のTVの方が優れていることがわか
るんですよ!”

“日本製と韓国製の違いは30分よく見ているとわかるんです!”

 

 

 

画像素材:いらすとや  30分見比べろといわれても困りますね

 

 

 

30分も見ないとわからない違いなら、もう追いつかれたも同じ。

 

そんな違い、消費者にはわからない。

 

同じ性能なら価格の安い韓国製の方が勝ちで日本の負けです。

 

結果、日本国内ではすぐに韓国製は普及しませんでしたが、世界では日
本のシェアが急速に韓国に奪われていったのです。

 

あれから20年以上経った今、家電量販店では次々にTV事業から撤退す
る日本メーカーの製品より韓国や中国製の方が幅を利かせています。

 

こんな状況を見かねた日本企業では、退職者に対して情報を漏らさない
ように誓約書を書かせるようになりました。

 

でも、筆者は思うのです。

 

人を活かせず(捨てるから)大事なものが流出するのではないか。

最後まで会社を愛してもらえば、生涯流出等させないはずだと。

 

よくよく考えると、この国は高齢期の人財を粗末にして、大損をしたと
もいえるのですが、今また同じことを繰り返そうとしています。

 

 

 

先進国では年齢制限は法律で厳しく禁止されています
しかし、この国では求人票に「U-35」「大学卒業後20年以内」と
いった年齢制限の言葉が並び、特に60歳以上は厳しい差別を受けます
でも、よくよく考えてみて欲しいのです
誰もがいつかは60歳を超える時が来るのです。その時、どうします?

 

 

 

なぜ、ノーベル賞受賞者やノーベル賞候補といわれる方々が中国にいっ
てしまわれるのでしょうか?

 

いろいろな理由はあるにせよ、この国(の制度や人の活かし方)に魅力
を感じないか、この国では明るい将来を描くことができないからだと思
うのです。

 

こんな形で優秀な研究者や技術者がこの国から去ることに対して、国は
どの様に感じているのでしょうか。

 

元々この国には石油やガス等の資源はありません。

 

大昔から今までずっと資源は人しかないのです。

 

今まではその人が頑張ってこの国を支えてきましたが、最近は非正規で
貧困化する人が増える等、人を粗末に扱うようになりました。

 

この国の頭脳と呼ばれる方々がこの国を見捨てるがごとく去っていきま
す。

 

このまま、この社会構造上の問題を放置すれば、次はこの国の将来を支
える若者も海の向こうを目指すようになるかもしれません。

 

将来に明るい展望が見えない中、少子高齢化のしわ寄せを受け止めるだ
けの生活なら海外の方がまだマシだと思う若者が増えても不思議ではあ
りません。

 

そんなことになると、この国に残るのはいったいどんな方になるのでし
ょうか。

 

このまま高齢化が進み、支える側の若者がいなくなった場合、この国に
残るのは、

(高給の)政治家・官僚と

極一部の富裕層と

多くの貧しい国民(もしかすると殆どが生活保護受給者のような)

しか残らない貧しい衰退国になりかねません。

 

今一度、高齢期の方々を含めて1億総活躍ができる施策を考えるべきで
はないかと感じています。

 

どの世代からみても将来魅力のある国にするにはどうすればいいのか?

 

人財活用からもう一度考え直せば、優秀な頭脳の海外流出は止められる
のではないでしょうか。

 

この国は、どうやら人は育てることも、人を活かすことも疎かにし過ぎ
たのかもしれません。

 

新しい総理大臣は「成長」とか「果実」とかいう言葉を多用しています。

 

その言葉の実現には、この国の人財をどのように活かすのかという政策
がまずなければ、絵に描いた餅になりかねないと感じます。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。