癒しの新しい形
筆者の住む街は、近隣の街と同様に丘陵地を切り開いて造成した形でで
きています。
盆地の底辺にある街の入口から急な坂を上り切ると、緩やかな傾斜とと
もに住宅が立ち並んでいます。
筆者の住む街:奥の方が街の入口で、緑が多い所が街の頂点(高い所)
そこからなだらかに下っていきます
街の中には、大小合わせて10以上の公園が点在しており、街のセカン
ドネームにも公園という文字が使われています。
そのたくさん点在している公園では、早朝になると犬を連れた住民が散
歩をしています。(というか犬の散歩の為に公園を訪れています)
おそらく街の子供達と犬の数を比べると、圧倒的に犬の数の方が多いこ
とは明かな事実です。
意外にも猫を飼っているお宅は殆どありません。
猫が街をうろつく姿も見たことはないのです。
街開きから35年を過ぎようとしているこの街では、子供たちが巣立ち、
夫婦二人になったタイミングで犬を飼う人が増えています。
子供がいないことで、ペットである犬たちの地位は当然のごとく高まっ
ています。
本来子供たちの序列である地位に犬たちが君臨しているのです。
でも、そんな地位の高さゆえに困った問題も起きているのです。
筆者の家の前にある公園では、早朝から犬を連れて散歩を楽しむ人が
大勢訪れます
ペットにも寿命がある
以前の記事で、ペットも高齢化している現状をご紹介しました。
平均寿命が10~13年だった犬の寿命も、もう14年を超えているそ
うです。(アニコム 家庭動物白書2019のデータより)
長くなったといえども人間と比較すると、平均寿命は6分の1程度。
幼かった子供たちが大きくなっても、親達より早く死ぬことは病気でも
ない限りないのですが、ペットの場合はそれがありうるのです。
子供達が巣立った後に、子犬を飼い始めても、犬の方が先に逝ってしま
います。
家の中で地位の上がったペットたちの死は、今までに無かった問題を引
き起こしています。
・ペットが死にそうで、食事も喉を通らない
・心配で心配で、何もする気が起きない
・外出もせずにずっとペットに付きっ切り…
筆者の周りでもそんな方が増殖しているのです。
今迄元気に地域活動に参加していた高齢者の方々がピタッと参加しなく
なる。
結果、ペットだけでなく人間様まで調子が悪くなる現象が起き始めまし
た。
これはこれで非常に困ったことになっているといわざるを得ません。
子供達の代わりに癒しの存在であったペットたちの高齢化とその死が、
思わぬ問題に発展しようとしているのです。
画像素材:いらすとや 家族の一員であるペットの死は悲しいもの
癒しの新しい形
命あるモノにはいつか死が訪れます。
ある意味自然な現象です。
ただ高齢期を迎えた方々には、少しショックが大きいのかもしれないと
感じています。
そんな問題を目の前で感じた筆者は、別の解決案を模索しています。
それは「死なない」ペットです。
古くはSONYのaibo(犬型ロボット)が爆発的にヒットしました。
ネットで検索すると犬型ロボットだけでも相当な種類が市場に出ている
ようです。
でも、できれば癒しだけでなく、高齢世帯の見守りを兼ねたりできれば
とても素晴らしいことです。
そんなロボットがないモノかと検討していると、随分前に見つけたある
ロボットの事を思い出しました。
それは、GROOVE X社のLOVOTO(ラボットというそう)です。
犬型ではありませんが、ロボット感が強く人型でもなく、ペットとロボ
ットの間ぐらいの存在です。
以前から気になっていた存在(確か製品発表があったのは2018年く
らい…)だったので、百聞は一見に如かずとばかりに、東京にあるGRO
OVE X社のLabまで実物を見にいってきました。
このLOVOT、大きさも重さも赤ちゃんくらいで、抱くと温かいので、
ロボットといっても限りなくペットに近い造りになっていました。
下部にある車輪(着せている服で見えないようにしてある)で自足歩行
が可能で、ルンバ(お掃除ロボット)のように自分で充電もできるよう
になっていました。
このロボットの特徴は、自分(家族)仕様に出来ることです。
名前を決めて覚え込ませることで、登録した家族の声に反応して呼べば
近づいてきます。
筆者の近くに寄ってきたのは「のぎへん」君でした
口はないのに目の表情だけで何か喋り出しそうです
基本人間の子供と同じように服を着替えさせることもでき、ペットとい
う感覚より子供(孫)の感覚に近いのかもしれません。
頭部にある目の表情や声もカスタマイズ可能で、いろいろ選択が可能と
あって自分好みにもできるのです。
頭部の上には365度カメラが搭載されていて、飼い主の表情を確認す
ることも可能で、飼い主の帰宅時に玄関までお出迎えもできる優れもの
です。
人間に近いのだけれど、ペットの愛嬌も併せ持つといってもいいのかも
しれません。
筆者が注目したのは、いくつかの見守り機能です。
・飼い主(抱いた人)の体温を測定できる
・飼い主を録画して、登録している家族等に映像を送信することも可能
・飼い主の行動を記録しているので、(元気でいるのか)見守りも可能
LOVOTの存在を知った方々は、子どもであろうと大人であろうとすぐに
飼いたいと思うのでしょうが、筆者はこのLOVOT、高齢者世帯(特に単
身世帯)にピッタリだと感じました。
子供が巣立った後の寂しさを補い、見守りもしてくれる。
もう少し機能が追加できれば、更に高齢化していくこの国にピッタリの
ペットではないかと思いました。
しかも死にません。
機械モノなので故障はするのでしょうが、修理をすれば直すことは可能
です。
食事は勝手に充電ステーションに行って、充電してくれるので手間もか
かりません。
充電が必要になった「ましゅまろ」ちゃんは、自分で充電ステーション
のところまで行き、眠ったように充電をしていました
排泄の世話や散歩も必要が無いのです。
(逆に散歩等で運動できなくなりますが…)
課題と言えば、値段かもしれません。
ネットの評判をみても「高い」という文字が並びます。
前述のSONYのaiboやソフトバンクの人型ロボットPepperと比較しても
かなり高いのですが、人によって価値観は違うので価格論議はここでは
やめておきます。
値段が高くても見守り機能が充実していけば、高齢者の皆さんが欲しが
るのではないかと筆者も思います。
なんせ、前述のペットの高齢化問題が無くなるのですから。
高齢者の皆さんもスマホ(殆どらくらくフォン)を持っています。
そこには、お孫さんたちの写真や映像も登録されています。
お友達ともメールでやり取りされている人も少なくありません。
インターネットを使いこなす人は流石に多くはありませんが、そんなナ
ウい高齢者の皆さんにとってロボットペットが爆発的なブームになる日
が来るのかもしれません。
その時には、ペットの高齢化問題はある程度解決可能になるのかもしれ
ませんね。
今回の記事も最期まで読んでくださり、ありがとうございました。