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高齢者に優しい社会とは

2023年05月27日
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昨年(2022年)10月から、75歳以上の一部の方の医療費自己負
担割合が引き上げられました。

 

特定の収入に該当する方は、医療機関や薬局等の窓口で支払う医療費の
自己負担割合が1割から2割に変更されたのですが、今回新たに改正健
康保険法が成立し、今度は75歳以上の後期高齢者が支払う保険料の上
限が引き上げられることになったそうです。

 

2年前(2021年)には、1年間でかかった医療費が44兆円を超え
たという情報を聞けば、ある意味仕方がないと思うのですが…

 

以前の記事でもご紹介しましたが、医療費は60歳を超えた頃から急
上昇し、75歳から79歳頃にそのピークを迎えます。

 

 

以前の記事でも度々ご紹介してきた年齢別の医療費の推移です
70歳迄の医療費と70歳以上の医療費がほぼ同じです
高齢化が進めば進むほど医療費は膨らんでいきます

 

 

人間の臓器を含めた主要パーツの寿命は50年であるという知見を考え
ると、納得できる気もします。

 

この医療費は個人の責任ではなく、長生きできるようになったが為に生
まれた副産物のようなものです。

 

これからも高齢化率は上がり続け、そして後期高齢者が増え続けてい
きます。

 

そんな中で、個人負担がドンドン増えていくことは、あまり良いことで
はなさそうです。

 

 

画像素材:いらすとや 高齢者にとっては厳しいことばかりです

 

 

高齢者の生活実態

 

 

筆者はこの春から地元の住宅公社のお手伝いで、高齢者住宅の調査も
実施しています。

 

その関係もあって、後期高齢者を中心にたくさんの高齢者の皆さんと
お話しをしてきました。

 

不安もなく、裕福な方々は、「ほんの一握り」です。

 

将来への不安を持ちながら、生きておられる方が多いということなので
す。

 

先日も、公社住宅からもっと家賃の安い市営住宅への転居を決めた男性
とお話しをさせて頂く機会がありました。

 

その男性曰く、

 

「年金が目減りし、医療費等の自己負担が増えていく中で、預金通帳の
数字までもが目減りしていくのを見るのは体に良くない…」

 

と、打ち明けてくれました。

 

奥様の介護の為に、バリアフリーや自宅で介護がしやすい設備が整った
公社の高齢者住宅に越してきたこの男性でしたが、奥様が他界されてか
ら決断が早かったようです。

 

やはり年金だけでは、家賃や生活費を賄うことは難しいようです。

 

そんな中で、今回の医療費自己負担増は内心嬉しくない出来事のようで
す。

 

「仕方ない…」

 

そんな呟きが聞こえてきそうです。

 

 

画像素材:いらすとや 
通帳を見て青ざめるのは若い時だけにしておきたいものですね

 

 

高齢者間でも格差は広がる

 

 

この男性が住んでいた高齢者住宅は、関西でも上品な街の代名詞とまで
いわれているA市にあります。

 

このA市の大阪寄りにN市があるのですが、このN市内にタワーマンショ
ンが立ち並ぶエリアがあります。

 

そのエリアの中心にある駅前には、大手フィットネスクラブの本店があ
り、多くの高齢者の皆さんがランニングマシーン等で運動をしています。

 

皆さん、お金と時間が有り余っている様子が伺えて、いつも前を通る度
に考えさせられることがあります。

 

「お金のある人は健康に気を遣い、余裕のあるストレスフリーの生活」

 

「片やお金に余裕のない人は、日々ストレスを貯めこんでいる」

 

同じ高齢者でも、大きな格差があるのです。

 

この格差、高齢期になると生活に大きく影響が出ます。

 

お金がない人は、健康に配慮する余裕もなく、食べるものにも気配りが
できない。

 

お金がない人は、健康を害しやすく、そのことで更に経済的に追い詰め
られていく。

 

まさにお金がないことによって、負のスパイラルに落ち込んでいくよう
です。

 

この格差は、本当にこのままでいいのだろうかと、考えさせられます。

 

 

N市のタワマンが立ち並ぶエリアからR山の山並みを望む
とても素晴らしい眺望ですが、見る人にとって見え方は変わります

 

 

いつまでも働くことが一番

 

 

筆者も住宅公社の事務所に顔を出すことが多いのですが、そこには多く
の高齢者の方々が働いておられます。

 

定年を超えても嘱託で67~68歳くらいまで働けるようです。

 

またその年齢を超えても、週3日までという規定はあるものの働いてお
られる方もいます。

 

筆者の目には、働いておられる高齢者と働いていない高齢者とでは、
雲泥の差があるように見えるのです。

 

まず顔色が違う(血色がとても良い)

 

動作のスピードが違う
(動きが早い:特に退社するスピードも早い(笑))

 

声が(ハッキリしていて)大きい

 

しっかり食べている(昼食時くらいしか見てはいませんが…)

 

まだまだ気付いていることはあるのですが、70歳近くになっても皆さ
んとてもお元気なのです。

 

将来の不安を抱きながら時間が過ぎるのを待つよりも、何らかの形で働
くことこそ高齢期には必要なのだと強く感じます。

 

特に(長く会社で働いてこられた)男性にはとても大事なことのような
気がするのです。

 

国も社会保障費の自己負担増ばかり考えずに、高齢期であっても働きな
がら健康維持をしていく仕組みづくりを構築すべきだと考えます。

 

高齢になると、ハローワークに行っても仕事は見つかりません。

 

シルバー人材センターに行っても雑用のような仕事しかありません。

 

もっとやり甲斐のある仕事があれば、高齢期の健康維持と将来の不安が
解消できるのですが … そう一石二鳥で …

 

そんな仕組みがないのが、とても残念です。

 

 

県庁の界隈はとても珍しく街路樹がモクレンです
春はとても綺麗で歩くのが楽しみです

 

 

職住一致が一番

 

 

筆者は今回初めて地元で仕事をしています。

 

昨年は地元の地域でボランティア活動をしていましたが、通勤とは無縁
でした。

 

それが今回は電車を乗り継いで県庁のある街の中心街まで通うことが多
くなりました。

 

40年を超える社会人生活の中で、住んでいる地元で働くことは初めて
なのです。

 

地元の街を歩きながら、自分でも驚いています。

 

首都圏勤務が長く、北海道でも働きましたが、初めての職住一致となり
ました。

 

いつも素通りだった地元の街並み、それが今回は地元の電車に乗り、街
並みを歩くと、地元の魅力にも触れる機会が多くなっています。

 

地元のなまりを気兼ねなく使えるところも気に入っています。

 

首都圏勤務の時には、よく同僚から地元なまりについて言われたことが
ありました(笑)

 

地元の街並みを歩くと、

 

「こんなところに酒蔵がたくさんあるんだ…」

 

「ここ(の駅)からあそこ(の駅)まで、こんなに近かったんだ!」

 

「何と言っても、晴れた日にはR山の山並みと海のコラボは美しい」

 

こんなことを35年も地元に住みながら知らなかったなんて…と思うこ
とがたくさんあります。

 

家と働く場所が近いということは、とてもいいことだなと思う日々を過
ごしています。

 

今でも月に何回も東京に行く機会もあるのですが、職住一致がこんなに
良いものとは今迄感じることが出来なかったのです。

 

東京はとても便利で良い仕事も多いのですが、地域に高齢期の方々が職
住一致で働ける機会があれば、地域はもっと元気になるのではないかと
考えさせられました。

 

そうすれば、もっと元気な高齢者が増え、医療費を始めとする社会保障
費を抑え込んでいけるのではないでしょうか。

 

この国には、もっと高齢者を活かせる制度や仕組みが必要です。

 

この国から将来の不安を失くし、元気を取り戻すためにも…

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。