何かが足りない
梅雨に入ってから不安定な天候が続いていますが、今日は珍しく朝から
晴れ…
土曜日なので、筆者は早朝から書斎でパソコンに向かっています。
書斎は1階にあり、庭に突き出た格好になっている関係で3面(東・
西・南)に窓があって、とても明るい部屋です。
この季節は、西側の出窓付近までお隣の庭から越境してきた箱根ウツギ
の花が綺麗に咲いていたのですが、バッサリと切られてしまいました。
とても残念です。お隣が2m近くも越境していたので伐採したようです
書斎は沢山の本で埋もれているのですが、今朝はその中である本に目が
留まりました。
もう何年も読んでいない本です。
本のお題は、「ぼくを探しに」
沢山ある本の中で、唯一絵本なのです。
子供向けに書かれたものではなく、れっきとした大人向けの絵本です。
米国の異才作家であるシェル・シルヴェスタインのベストセラーです。
懐かしくなって、何年かぶりに目を通してみました。
今回の記事は、この絵本を通して最近筆者が感じていることを書いてみ
たいと思います。
絵本の主人公「ぼく」 筆者がパワーポイントで真似て作成しました
主人公は転がりながら、自分の欠片を探して旅を続けています
口のように見える部分が欠けた部分らしいのです
人生は足りないものを探す旅
決して美しい絵ではないのですが、素朴で親近感が湧く絵柄になってい
ます。
子供でも書けそうな絵ですが、あの有名な米国雑誌「プレイボーイ」誌
で漫画を担当するなど結構有名な作家の作品でもあるのです。
絵本のあらすじは、自分の一部が欠けてしまった主人公が、自分の欠片
を探しに旅に出るといった単純なものです。
そう、何かが足りないという焦燥感が主人公を旅に駆り立てるのでした。
主人公は山を越え、海を渡り、いろいろな欠片と出会うのですが、全て
うまくいきません。
野を越え、山を越え、主人公は転がりながら旅を続けます
・(自分にとっては)大き過ぎたり…
・(自分にとって)小さ過ぎたり…
・尖っていて(自分には)苦痛だったり…
・丁度のサイズでも相手に嫌われたり…と
やっとのことで見つけた欠片、ピッタリと自分の一部になったと思った
ら、今度は様々な問題が発生します。
理想の姿になった筈なのに、今迄出来ていたことが出来なくなってしま
ったのです。
結局、主人公はやっと見つけた欠片と別れを告げて、また新たな欠片探
しの旅に出掛けます。
そんな内容の絵本なのです。
その旅の過程で、主人公は多くを学ぶことになるのです。
人生とは、こういうものなのかもしれませんね。
このブログの表題と同じです。
勝利の方程式通りに人生を歩んだとしても、人生が長くなったせいで上
手くいかない場合も出てきます。
欠片は、もしかすると「伴侶」かもしれません。
確かに、定年後に離婚する夫婦が増えているそうです。
欠片は、もしかすると「仕事」かもしれません。
65歳や70歳迄会社にいることができるようになったとしても、条件
は大きく変わり、自分にとって居場所ではなくなるのかもしれません。
何かしっくりこない、
何かが足りない、
と感じながら仕事をしている人も少なくないと思います。
そう、何かが足りないのです。
何かが足りないのですが、足りないものが何なのかわからないことも
ありますよね…
何が足りないのか
最近、新聞紙面では役職定年制度を廃止する大手企業が増えてきたと報
道されています。
人手不足も確かにあるのでしょうが、この制度のデメリットに漸く気付
き始めた企業が増えているようです。
でも、「遅きに失する」という感じは否めません。
制度を廃止した企業にお聞きしてみたい…
本当に制度を廃止するだけでいいのでしょうか…と
政府が本気で取り組んでいる少子化対策、
確かに子供手当の拡充も必要ですが、ここでも何かが足りないと感じる
のは筆者だけでしょうか。
今の政策では、おそらく子供の数は何時まで経っても増えないと筆者は
思っています。
何かが足りないからです。
国の対策も、人生も。「何か足りない」と感じながら終わってしまうも
のなのかもしれませんね。
人は自分の人生に何が足りないのか見つけることができないまま死を迎
えてしまうものなのかもしれません。
(人生に満足したまま亡くなる方も確かにいるかもしれませんが…)
もしかすると、人生は足りないものを探す為の旅なのかも…
そして、その旅は死ぬ迄続きます。
足りないものが見つかった人は、本当に幸せなのかもしれません。
この国が、そんな国であって欲しいものですね。
この絵本の冒頭に、筆者のシルヴェスタインの想いが込められています。
この絵本を読んで欲しい人として、
「だめ(駄目)な人と」
「だめ(駄目)でない人のために」
とありました。
人生がうまくいかない人も、成功した人にも、考えて欲しいというメッ
セージなのかもしれませんね。
ノンビリと人生を考えてみることは損にはならないかもしれませんよ
筆者も、孫たちに誇れる社会に近づけるように、これからも足りないも
のを探してみたいと思います。
この絵本、ベストセラー本ですが、読んだことがない人は一度読んでみ
てはいかがでしょうか。
わざわざ本を買わなくても、図書館に行けばきっと置いてあります。
今回の記事も最期まで読んでくださり、感謝申し上げます。