仕合せと幸せ
読者の皆様は、「仕合せ」という言葉はご存知でしょうか。
同じ読み方(しあわせ)の「幸せ」とは全く違う意味合いです。
簡単に言ってしまうと、(相手や周りに対して)仕え合うという意味にな
ります。
最近は余り使わない言葉なのかもしれません。
昔は「巡り合わせ」のことをこの言葉で表現していたようで、良い巡り
合わせは「仕合せが良い」、
その反対は「仕合せが悪い」ということだったようです。
ある意味、運命や幸運を表現しているのかもしれませんね。
家の近くにある畑では、今レンゲソウが満開です
筆者は、この言葉をシンガーソングライターの中島みゆきさんのある歌
から知りました。
「縦の糸はあなた」
「横の糸は私」
「逢うべき糸に、出逢えることを、人は仕合わせと呼びます」
(歌詞カードから若干表現を変えています)
曲の中の、こんなフレーズから知ることになった言葉なのです。
巡り合わせとは仕え合う(支え合う)人と出会えること。
筆者も、人生は「誰と出会えるかで全ては決まる」と思っています。
ただ、今、この出会いの数が著しく減っていると感じる事態が進行して
います。
ご近所の農家では、お父さんのご厚意で今年も枝垂れ桜のライトアップ
が始まりました。お父さんの地域を応援する気持ち、凄いです!
単身世帯の増加
筆者が調査している高齢者住宅でも、単身世帯が増えています。
旦那様が他界され、奥様が独り残されるパターンが圧倒的に多かったの
ですが、最近少し違う傾向も見えてきました。
今迄、高齢の男性の独り暮らしは比較的少なかったのですが、最近一つ
気になることがあります。
それは、中年の男性の独居暮らしが増えていることです。
もう50を超えている人が多く、もう少しすれば高齢者の仲間入りをす
る方々ばかりです。
団塊ジュニアとも呼ばれるこの世代は、バブル崩壊後の不安定な社会の
中で社会人人生をスタートさせた厳しい世代です。
多くが非正規で働き、経済力の無さからも結婚もできないままの人も少
なくありません。
ただ、団塊世代の子供ということもあり、人口の塊としては中途半端な
集団ではないのです。
この団塊ジュニア世代の男性が、社会に与えるインパクトは結構大きい
のかもしれません。
男性と比較しても寿命の長い高齢女性の場合は、上述のような状況の為
に独居になることは理解していたのですが、そこに高齢男性の独居も増
えていくことになるのです。
こんな状態があと10年も続くとどうなるのでしょうか…
今月(2024年4月)12日に国立社会保障・人口問題研究所が公表
した将来推計の数字には、そんな不安を数字が表現していました。
2050年には、国内全世帯に占める独り暮らし(単独世帯)の割合が
44.3%に達する見込みだというのです。
ほぼ半数に近い数値といっても過言ではない数値です。
以前の記事でもご紹介した単身世帯の構造図です
この図に男性の高齢者単身世帯の増加数値が加わることになるのです
独居化は加速していて、その影響で、10年後には全世帯の平均人数が
初めて2人を割り込むという恐ろしい数字まで記載してありました。
お隣りの韓国の出生率を心配していられるような状況ではなさそうです。
これでは、仕え合いも支え合いも難しくなりそうだからです。
複雑化する世帯状況
更に、もう一つ筆者が気になることがあります。
独居高齢者世帯とともにとても気になる世帯があるのです。
それは80-50世帯です。
(最近は90―60世帯も増えています)
筆者が見る8050世帯の問題は、決して子供の引きこもりではありま
せん。
経済力の貧弱な子供の面倒を親の年金(と貯蓄)で面倒をみているとい
う一見普通の家庭のような家の中に潜む大きな問題なのです。
今、こんな世帯も確実に増えています。
ある意味、「仕え合い(支え合い)」の一つの形です。
筆者が何を心配しているのかというと…
今は比較的元気な親がいるので大丈夫なのですが、この状態で親が他界
すればどうなるのかという点です。
経済力がない子供だけが残った場言、どうなるのか…
「仕え合い(支え合い)」はどうなるのか…
(子供を支えてきた)親の死と共に(親の)年金は消滅します。
仕え合う(支え合う)ことができない世帯が、独居世帯の増加と共に急
増していかないのかという心配です。
これから爆発的に増えていく高齢単身世帯にどう対応していくのか…
ここを真剣に考えておかないと、恐ろしいことにならないのか…と
特に(経済力を持っていた)団塊世代がこの社会から姿を消すのと同
時に、(経済力を持っていない)団塊ジュニア世代が高齢者の仲間入り
をする2035年~2040年が一番危険な時期なのかもしれません。
団塊の世代が多く住んでいる団地では、たくさんの8050問題を
抱えています
仕え合い(支え合い)の形は変わるのか
これから支え合いの形も大きく変わっていくのかもしれませんね。
8050(9060)世帯は、親の死でどう変わるのか…
高齢単身世帯をどう支えるのか…
全て自助努力では、間違いなく限界がありそうです。
社会の在り方や地域の在り方を見直すべき時期にきているのかもしれま
せんね。
…どのように見直していくのか…
そのヒントは、このブログの過去の記事が参考になるかもしれません。
(一部のみ抜粋します)
千葉県松戸市では、千葉大学のバックアップで地域の軒先園芸を通して
地域のつながりを再生する取り組みが行われていました
早く、高く、そして深く進むこの国の少子高齢化…
これからも様々な地域でその対策について挑戦が続けられていきます。
ただ、これからも状況は刻一刻と変化していくのです。
大事なことは、そんな状況から目を背けず、自分のこととして解決に向
かう(一人一人の)努力だと筆者は思うのです。
まさに国難ともいうべき少子高齢化…
仕え合う(支え合う)ことで、幸せな社会になれるように、
仕合せの良い社会になれるように、
国民みんなで考える時が来たのかもしれません。
そんな時にこのブログが何かの役に立てばいいのですが…
国難に立ち向かう挑戦者(地域)が増えていくことを願うばかりです。
今回の記事も最期まで読んでくださり、感謝申し上げます