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定年後の10万時間

2019年05月25日
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素晴らしい研究レポート

 

5月1日、いよいよ新元号「令和」がスタートし、マスコミでもその話題で連日盛り上がっています。

外国のメディアも日本の新元号を大きく取り上げる中で、筆者が最近頻繁に耳にするようになったと感じる言葉があります。

その国難ともいうべき言葉は「少子高齢化」です。

いままでも大きく取り上げてこられたこの言葉が、最近今まで以上に頻繁に耳にするようになったと筆者は感じています。

筆者はこの「少子高齢化」について、とても興味深い研究レポートを見つけました。

昨年11月末に投稿されたそのレポートの著者は、大手シンクタンクを
長年勤められ、昨年末でシンクタンクをご定年された土堤内 昭雄さん
です。

筆者も早速、年が明けた今年1月にお会いしてきました。

今回の記事は、土堤内さんの素晴らしいレポート “「人生100年時代」の
暮らし方”をご紹介していく形で進めていきたいと思います。

 

 

定年後の自由時間は驚くべき数字

 

総務省が発表している調査報告書に「社会生活基本調査」というものが
あります。

その調査では、1日の生活時間を1次から3次活動まで3つに分類して
います。

  • 1次活動・・・睡眠・食事等生理的に必要な時間
  • 2次活動・・・仕事、家事等社会生活を営む上で義務的な性格の強い活動
  • 3次活動・・・1次、2次以外の各人が自由に使える時間における活動

 

最近、働き方改革が声高に謳われるようになり、長時間労働が規制されるようになりました。

それでも子育て世代や現役で仕事を持っている人は、3次活動に時間を
割くことはなかなか難しい状況であることは変わりません。

かたや定年後には上記の3つの活動時間の配分は大きく変ることになります。

平成28年度の「社会生活基本調査」では、65歳以上の高齢者の生活時間
配分は、下記の通りとなっています。

 

  • 1次活動・・・11時間38分
  • 2次活動・・・ 4時間00分
  • 3次活動・・・ 8時間22分(男性9時間11分・女性7時間44分)

 

厚生労働省が発表している簡易生命表(平成28年)によると、65歳時の平均余命は男性で19.55歳、女性で24.38歳となっているため、65歳で定年を迎えた男性の場合は、(9時間11分×約20年)=約6.7万時間の自由に使える時間を持つことになります。

健康状態にもよりますので全ての時間が有効に使えるかは疑問ですが、
とても大きな時間だといえます。

実は筆者も土堤内さんのレポートを読んでいて、何度も電卓片手に計算してビックリしてしまったのです。

仮にある男性が22歳で大学を出て就職し、定年延長しないで60歳迄働いたとすると、社会人人生の間で働いている時間の総和は、

1日8時間×月20日×12カ月×22歳―60歳まで38年間=約7.3万時間

となります。

アバウトな計算ですが、昔のように働かなくなったとしてもほぼほぼ近い数字であるとした場合、上記の65歳以上の男性の自由時間とほぼ同じ時間になるのです。

会社勤めしなければ毎日が自由時間なので、わからないでもないのですが、実際に比較すると驚きしかありません。

 

 

 

 

もしこれ以上平均余命が延びて、100歳近くまでいったとすると、自由時間はゆうに10万時間を超えることになるのです。

この時間をどう使うかが重要なのです。

まさにこれは、 “真のセカンドライフ” と捉えることができます。

土堤内さんはレポートの中で、この期間についてとても素晴らしい表現で文章にされていました。

それは決して人生の「余り」とは言えない
きわめて重要な人生の収穫期になったのである

 

セカンドライフを「人生の収穫期」と捉える考え方は素晴らしいですね。

長く苦労して働き続けた結果、手にした技術とノウハウを元手に得るものがある。

きっとある。

そう考えると、とてつもなく長い自由に使える時間をどう使うかで、人生が大きく変るかもしれません。

健康であればまだまだ活躍できると考えることは間違いではありません。

60歳或いは65歳定年以降にこの自由に使える時間をどのように使うのかが、人生100年時代の大きな課題となるわけです。

これからも平均余命が延びていくことを考えると、この時間は今後も増えていくことになります。

 

定年=退職ではない

 

60歳定年の時代では、定年=強制退職が普通であり、それ以上働きたければ会社を変えて働くことが普通でした。

しかし、人生100年時代の生涯現役社会では、定年=退職という定義はもはや正しいとはいえません。

土堤内さんは、研究レポートの中で下記のように述べられていました。

 

「定年」が「退職」を意味するのではなく、年齢の定めのないあらたな仕事への船出になるかもしれない

政府には、同一企業での定年や雇用の延長だけでなく、定年後に個人が自ら能力を十分に活かせるような「雇われない」働き方が柔軟できる就業環境の整備が求められる

長寿化した人生において定年は一つの通過点であり、あらたな社会との関係性を
構築する好機であるのだ

 

筆者も土堤内さんのご意見に大いに賛同しています。

大事なことは一人一人の高齢期に入った方々が自己の持つ能力を十二分に
活かして社会とつながり、社会に貢献することだと思います。

それが、高齢期を迎えた方々の本当の生きがいにつながるのではないでしょうか。

年金政策の為に企業に雇用延長をさせるだけでなく、新たな働き方を提案できるような政策が必要なのだと感じています。

雇用延長を余儀なくされる企業にも同じことが言えます。

今までは、福祉的な意味合いが強い雇用延長であったかもしれません。
今後は、個人の能力が十二分に発揮できる雇用延長を考えるべきではないでしょうか。

雇用延長をネガティブに捉えるのか、それともポジティブに捉えるのか。

65歳以上の雇用延長を考えなければならなくなる前に真剣に考えて答えを
出せる企業が、人生100年時代に生き残れる本当のサスティナブルカンパニーといえるかもしれません。

 

65歳以降の心構え

 

先日、土堤内さんとお会いした時に興味深いお話をお聞きすることができました。

それは65歳以降の人生を迎えるにあたっての心構えというべきものでした。

50代後半の筆者の心にもとても響きました。

その心構えとは、ヒエラルキーとフラットの両方を理解できるスキルを身に着けるというものでした。

企業の中では、組織を動かすためにヒエラルキーは必須ともいえますが、
定年後は社会との接点も定年前とは比較にならないほど強く濃くなる可能性が高いのです。

地域貢献や社会貢献だけでなく、自分で雇用されない道を進むときにも
ヒエラルキーではなく、フラットな関係を構築できる能力が必要になり
ます。

定年後の社会活動等においてヒエラルキーを持ち込んで失敗する人間が
多いことは筆者もよく耳にしています。

定年後は、フラットな考え方、接し方、言葉使いが重要になるのかもしれ
ません。

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。

 

お勧めの記事

土堤内さんの気になる記事

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/doteuchiakio/
https://webronza.asahi.com/authors/2016102800001.html
https://forbesjapan.com/articles/detail/26875

 

今回ご協力頂いた土堤内さんには筆者も多くを学ぶことができました。

でも、まだまだ学び足りないところが多く、近く土堤内さんとの対談を
予定しています。

もっと素晴らしい、ためになる話をお聞きすることができるかもしれません。

読者の皆さんも楽しみにしておいてください。

お陰様で投稿させて頂いた記事も40ほどとなりました。

これからは筆者のつたない文章を読んで頂くだけでなく、識者の皆さんとの対談記事を増やしていく予定です。

どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。