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役職定年は大きなチャンス

2019年03月12日
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役職定年

 

役職定年という言葉は、とても不思議な言葉だと思います。

定年の前に役職を降りる。

多くの企業では50歳半ばから後半の年齢に達した社員を対象に役職定年
制度を導入しています。

右肩上がりに成長できなくなり、事業拡大が難しい企業では若い世代に
対して役職というポストを設けることが困難になりました。

役職者がまだまだ活躍できる力があるのに、定年まであと何年かで強制的に役職を降りなければならないのです。

この役職定年、役職を降りなければならないことに対する不満はとんでも
なく大きいことが分かっています。

 

 

画像素材:フォトサリュ―

 

役職定年への不満

 

この役職定年、筆者は自身の修士論文でも取り上げていました。

論文を書いた当時(2017年)の時点ですが、役職定年制度を導入している
会社では、その多くが通常55歳で役職を降りることになっていました。

役職定年制度を導入した上で見直しを検討している企業を調査すると、
役職定年制度には二重に高年齢者の意欲とモチベ―ションを下げる効果が
あることがわかったのです。

参考として、下図に経団連が役職定年制度について調査した結果を記載してみました。

図からは、導入を検討している企業も含めて調査対象の約5割の企業が同
制度を導入しています。

導入の目的は、後輩にポストを譲ることで組織の新陳代謝を図るという
目的だけでなく、高年齢で役職という高い人件費を抑制する目的の二つが
あることも分かっています。

 

 


(出所)経団連「中高齢従業員の活躍推進に関するアンケート調査結果(2015年9月) 注 回答は120社

 

 

ただ、多くの場合業務を変えず、同じ部署にいる場合は、上司と部下の
立場が逆転することになった上で、給与も下がる。

高年齢者にとっては、二重のモチベーション低下につながっています。

企業からみると組織への影響は役職定年者のモチベーション低下だけに
とどまりません。

これから昇進を控える非管理職の間でも、この年齢制限がモチベーションの低下につながった上に、昇進の為の不毛な競争が激化し、業務に支障をきたしている場合があることまでが関連する調査記事に報告されていました。

本来は役割や能力、実力で処遇されるべきところ年齢で判断するのはおかしいといえます。

この年齢による強制的な変化は、50歳代の半ばから60歳にかけて二度も
高年齢者を襲うことになるのです。

ここには欧米の企業では禁止されている年齢差別が、日本の大企業では当然のごとく制度運用されている実態があります。

上に示した図からも、この二重三重の意欲低下の影響もあってか、役職定年制度を廃止したという企業は、これから廃止を検討している企業も含めて17.5%にも及びます。

アンケート対象は、120社とある程度は限定されたものともいえますが、
この数値からも役職定年制度が企業に及ぼすマイナス面の効果が予想以上に大きいことを知ることができました。

その一方で役職定年者の活用に成功している事例についても多く報告されていることがわかりました。

その成功要因をまとめてみると、

①培った専門性を活かして、業務遂行において直接価値を発揮できる部署に転属

②役職定年者自身が管理職時代に、管理業務だけでなく、業務遂行に必要な専門性を磨いてきていた為、即戦力部署に転属。

③役職定年者の経験のある職種、職場に配属。

ようするに、企業側が、役職定年者自身が保有する専門性に着目して、
それを活かせる職場を準備しているということなのです。

ただ単純に年齢がきたから場所を空けて欲しいというのではなく、高年齢者の専門性を理解した上でその能力を活かせる配慮ができている企業も出て
来たという証拠でもあります。

これには最近の人手不足の影響もあるのかもしれません。

 

役職定年はセカンドライフに向けた時間を生む

 

役職定年がとてつもなく大きな不満を生むことは分かりました。

しかし、この役職定年の考え方を180度転換させると、とても有意義なものに変わる可能性があります。

よくよく考えると高齢期を迎えた企業人にとっては、セカンドライフを考える意味でとても大きな時間を創り出すチャンスでもあるのです。

まず役職を降りるということは、ある意味責任がなくなり、自分の時間ができます。

筆者の場合も大きく変りました。

自分が自由に使える時間が大幅に増えたのです。

土日祝祭日も含めて会社側の立場であり部下を持つ立場の役職者は、時間的にも精神的にも拘束される立場にありますが、それがなくなるのです。

その時間をセカンドライフに向けた準備の為に使うことができるのです。
自分の将来をじっくり考える時間や自分のスキルを磨く時間にも活用が可能です。

55歳で役職定年になった場合、定年までに5年近くも時間があるのです。

筆者も役職を降りたことで、大学院→大学の研究機関と全て無遅刻・無欠席でセカンドライフに向けた自分磨きに時間を使うことができました。

大学院は平日の夜間にも講義がありましたが、役職であれば業務都合で行くことができない日が多くあったはずです。

 

役職定年はチャンス

 

「黄昏る必要はない」と訴えている方がいます。以前の記事でも何度か
ご紹介している経済コラムニストの大江 英樹さんです。

大江さんは、最新の書籍の中で下記のように語っています。

役職定年後、実際の定年までの数年間は、その後の仕事や生活を考えるため、そして準備するための期間として与えてくれたものだと考えればいいのです

ネクストステージの予告編を作る時期だと考えればいいのです

役職を降りた後、理不尽さにショックを受ける人が多い中で、なかなかこのような考え方をするのは難しいことかもしれません。

でも、役職定年しなくてもいずれは定年を迎え、会社を去る時は必ず来ます。

そう考えれば早く頭を切り替えて、次のステップを考えた方が得なのです。

大江さんのように、会社から時間をもらったと思えれば、前向きになれます。
(決して会社はそのようには思ってはいませんが・・・)。

 

気になる言葉

 

以前あるセミナーで気になる言葉を聞いてから、その言葉がずっと頭に残ってしまいました。

そのセミナーでお話をされていたのは、大江さんのように定年本を書かれている楠木 新さんです。

楠木さんの定年本は大ヒットして売れに売れているのでご存知の方が多いのではないかと思います。

楠木さんはセミナーの中で、会社での役職についてこう語られていました。

役職なんて、会社辞めたら(去ったら)何の役にも立たない

筆者は、役職に固執しても仕方がないという意味だと捉えましたが、一旦
役職を経験すると、なかなか意識を変えることが難しいのも事実のよう
です。

それも大企業で役職を経験すると頭の切り替えが難しいのだとか。

楠木さんはご自身の著書の中で、クレーマーには大企業の役職経験者が多いという事実についてご紹介をされていました。

そういえば筆者にも思い当たることがあります。

以前、どこかのヘッドハンティングの方から面白いお話を聞いたことがあるのです。

高齢期の転職の際、大企業の役職経験者の方に「何ができますか?」と聞いた際、 “課長ができます” 、 “部長ができます” と受け答えする方が実際におられるのだとか。恥ずかしいのでこんな風には答えないようにしたいものです。

高齢期になれば、そしてもう少しで定年を迎えるようになったときには、役職よりももっと大事なものがあることに気付いた方が自分の為になるのではないでしょうか。

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

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