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日本の高齢化 課題は可能性につながる

2018年10月22日
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日本は課題解決先進国

 

日本は高齢化最先進国であり、同時に高齢化課題先進国(課題をたくさん
抱えているという意味で)でもあります。

悪い意味ばかりで考える必要はありません。

ある意味、課題は「可能性」ともいえるのです。

過去にも日本は戦後の公害問題を克服する過程で技術力を培い、国際競争
力を強化してきた過程があります。

つい最近までテレビの報道番組でよく取り上げられていた中国の大気汚染
の問題、番組を見る限り住民はとても苦労しているようでした。

その点で日本の課題解決能力はすごいと思います。

かつて高度経済成長期には日本も中国と同じだったからです。

空も川もそして海も汚染されていました。

筆者の子供の頃は光化学スモッグなるものがあり、警報が出ると学校の
校庭では遊べないような状況でした。

今はどうでしょうか。

日本の首都東京の空は青いです。

そして、東京湾には鯨が入ってくるそうです。
海洋生物の多様性は目を見張るものがあるというテレビの報道番組をみる
と少し驚いてしまいます。

そう、日本は多くの犠牲を払いながらも、公害を克服してきたのです。

そして、その環境技術は世界でもトップクラスであることは言うまでも
ありません。

高齢化という課題に対しても、日本は対応できる力を持っているはずだと
思うのです。

当初、公害対策のコストは企業にとっては大きな負担であったはずです。
しかし、日本の企業は政府の立てた環境基準をクリアすべく努力を積み重
ねました。

結果として、日本の環境技術は競争力の源泉となり、企業の強みに変化し
ていったといえます。

 

シニアビジネスの可能性

 

超高齢化国家として世界の先頭を歩むが故の苦労はありますが、課題解決
は国民生活に豊かさをもたらすとともに世界に向けた貴重な発信材料に
なりえます。

再び日本が飛躍する材料になりえるのではないかとも考えることができます。

日本は戦後の経済成長の過程で欧米の物まねをして自分達の得意なものを
プラスして成功してきましたが、今回の高齢化対策は世界の先頭を歩まね
ばなりません。

しかし、挑戦の過程でのノウハウは必ず売り物になります。

これから日本の後を追って高齢化を迎える中国や韓国をはじめとするアジ
ア各国に対してノウハウと製品・サービスを輸出したり、日本でサービス
を提供することも可能です。

観光だけが売り物ではないと思います。

日本は自動車や家電製品等を輸出することで成長してきましたが、今度は
どの国も避けて通れない高齢化対策のノウハウや製品・サービスを輸出し
て成長することができる可能性が出てきたといえます。

観光客の増加で民泊事業が活性化していますが、次は介護で日本に滞在す
る外国人が増えるかもしれません。

社会保障費を赤字国債で補てんするだけではなく、高齢化対策を前向きな
投資で産業に成長させていくような国策も必要ではないかと考えます。

 

シニアビジネスの今後の展開

 

まだまだこの国のシニアビジネスは立ち上がったとは言えません。

下の図は、東京大学の秋山 弘子教授が表したシニアビジネスの状況を
筆者が少しアレンジした図になります。

今現在の高齢者を対象としたビジネスは両極なのです。

虚弱な高齢者を対象とした、「医療」「介護」「福祉」サービスを中心と
したビジネスと、それとはまったく逆の裕福な富裕層の高齢者を対象とし
たビジネスに分かれているのです。

秋山先生の指摘はとても的を得ていると思います。

これからは普通の高齢者を対象としたビジネスが立ち上がってくるのでは
ないかと感じています。

ここに新たな産業の芽があり、それを見つけることにより、「今はない市場」を創り出すことも可能になるのではないでしょうか。

本ブログでご紹介している「健康」にかかわる課題では、これから多くの
高齢者向けの食品が世に出てくると筆者は思っています。

食品だけではなく、住まい、移動手段、運動、労働等様々な商品・サービ
スが世に出てくることは間違いないと思います。

これらが新たな高齢者市場を創りだすことになるのではないでしょうか。

筆者が本ブログを立ち上げた理由の一つもここにあります。

高齢者の経験やノウハウを使った、(高年齢者も含めた)高齢者による、
高齢者の為の新しい市場を構築する可能性に筆者も注目しています。

 

 


東京大学 高齢社会総合研究機構 2018.4.18に行われた秋山 弘子教授の講義内容を筆者が加筆・アレンジしたもの

 

 

労働力率を上げよう

 

もう一つ書き加えるなら、少子高齢化の影響で生産年齢人口の減少が問題
になる中、労働可能人口の内、労働人口になりうる率を表す労働力率を
高める上で重要になるのが高齢者であるといえます。

今、高齢者は男女ともに労働力率が低下しています。

これは、病気を始めとする肉体的なハンディキャップや生活の多様性の
問題だけでなく、年金支給による労働の必要性の低下等が要因として
考えられます。

しかし、高齢者といっても、比較的若い60歳代ではまだまだ健康を維持し
て仕事ができる人が多い。

人口減少の中、少子高齢化という問題を抱えながらも、高齢者の労働力率
を上げることができれば、GDPを始めとする国力を維持・向上することも
不可能ではありません。

高齢者活用は、日本全体の労働力率を維持し、国力を高める力があること
を忘れてはいけないと思います。

グローバル競争が激化する中で企業は、高齢者の賢い活用をすべきなのです。

そして、高齢者も体と頭が動くうちは、企業の生産に貢献し、社会に貢献
する為の努力を怠ってはいけないと思います。

 

最後に、天野 正子氏の著書(老いの近代 岩波書店) の一節を記して今回の記事を終わりたいと思います。

 

「状況」の崩壊が創造をうむ。

このように考えれば、さまざまな「障害」を自分の人生に組み込んでいく
高齢社会は、豊かな創造にみちた社会ということになる。

高齢化していく社会、その意味で「絶望」よりも「創造」に向かっている
のであり、社会のあり方を根底から組み直す機会の到来を示唆している
かもしれない。

 

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