加速する高齢化
うれしいお祝い
9月16日は、敬老の日でした。
筆者の奥さんから突然写真付きのメールが入りました。
内容は孫から長寿のお祝いと「お守り」が届いたという連絡でした。
兵庫県の自宅に孫が通う東京の保育園から手紙が届いたのです。
その中には、孫の写真が入った手作りの「お守り」が入っていたそうなのです。
普段、メールを送っても全く返信がない奥さんからのメール、よほど嬉しかったのでしょう。
それに比べて筆者はというと、複雑な気持ちになりました。
自分では若い若いと思っていながら、とうとうこんなお祝いをされる立場になったのかと。
お守りの中には、孫の写真と孫からのメッセージが入っていました
保育園も粋な計らいをするものだと感心させられましたが・・・
新しい統計数値
この敬老の日に合わせて総務省が、9月15日時点の人口推計をまとめた
そうです。
その推計によると、65歳以上の高齢者人口は前年比大幅増の3588万人。
当然とはいえ過去最多を更新し、総人口の28.4%を占めたそうです。
高齢化率は、2016年10月には、27.3%でした。
僅か3年で1%も増えたことになります。
気になるのは、後期高齢者の数字です。
後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上は53万人増えて、1848万人となったそうです。
総人口の14.7%とおよそ7人に1人が後期高齢者になったことになります。
超高齢化社会を支える制度・仕組みの見直しを急がなければならない状態に
なっているのです。
昨年、記事(日本の高齢化の特徴)で書いた、日本の高齢化の特徴である「深さ」がいよいよ大きく顕在化しつつあります。
9月11日に発足した今度の新内閣は、この問題に真剣になって取り組む
そうです。
もう少し、見方を変えると、身体機能の衰えが顕著に出てくる70歳以上の
人口は98万人増の2715万人で、総人口に占める割合は21.5%になったそうです。
他の年齢層に比べて増加数が多いのは1947~49年生まれの「団塊の世代」が含まれる為です。
70歳を超えると急激に医療費が増える傾向にあることを考えると、非常に気になる数字です。
総務省の報告によると65歳以上の割合は世界の全ての国・地域のうち高齢化率世界第2位のイタリア(高齢化率23.0%)に大差(約5P差)をつけて
最も高いことになります。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年にその高齢化率は30%に達し、その15年後の2040年には35%を上回る見込みになっています。
高齢化率という面では、当面日本がダントツで世界ランキング1位を独走することになりそうです。
働く高齢者数も増加しています。
労働力調査によると、65歳以上の就業者数は2018年に862万人と過去最多を更新しました。
15年連続で前年より増えたことになります。
その約半数の469万人が企業などに雇用されているそうです。
ただ、このうち約76%にあたる358万人がパートなど非正規雇用なのだそうです。
非正規職に就く理由は男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多となっていましたが、その内情は働く高齢期の方々にとっては厳しいものであることが予想できます。
またこの862万人という数字、数字だけ見ると大きな数字はありますが、
人口に占める就業者数の割合である就業率でみると、この数字には大きな
課題があることが分かります。
2015年時点の年齢階層別の就業率をみると、男女合わせた65歳から69歳では41.5%、70歳から74歳では24.9%、75歳以上では8.3%という状況になっていました。
日本の高齢期の皆さんにアンケートをとると、働けるうちは何歳になっても働きたいと答える方々は7割を超えています。
しかしながら、上記の結果をみると65歳から69歳の方でも、約6割の方が仕事についていない実態が見えてくるのです。
政府は年金支給年齢の更なる引き上げや人手不足などの問題を解決するために、70歳まで就労機会を拡大する法改正を進めています。
政府も企業が深刻な人手不足に直面し、労働市場で高齢者が担う役割が拡大していると認識しているようですが、実際には大きく仕組みを変えていかないと簡単にはいかないのではないかと思います。
もう一つの高齢化
今回の発表の中には、もう一つ高齢化について驚くべき数字がありました。
厚生労働省は13日、全国で100歳以上の高齢者が7万1238人に上ると発表したのです。
2018年から1453人増え、49年連続で過去最高を更新しました。
そして初めて7万人を突破したのです。
2019年度中に100歳になる人も3万7005人と過去最多だったそうです。
日本老年学会と日本老年医学会が、新しい高齢者の定義を2017年に提言して話題を呼んでいましたが、その定義によると90歳以上の方は、「超高齢者」と呼ぶのだそうです。
長寿も確かにうれしいことではありますが、後期高齢者や超高齢者の増加は社会保障給付とその負担の見直しを政府や自治体、そして社会全体に対して迫るものになります。
筆者も長寿のお祝いをしてもらいましたが、これからもなるべく長く健康を維持しながら社会に貢献できるように頑張りたいと思います。
今回の記事も、最後まで読んでくださりありがとうございました。
感謝申し上げます。