新型コロナウイルスが突き付けた課題とは
中国を起点として世界中に広がった新型コロナウイルス。
もう既に全世界で患者数は7万7千人を超えていて、死亡者も2千3百人を
上回っています。(2020.2.24現在)
自然災害が増えるこの国で、また新たなリスクが顕在化した形になっていることはとても残念です。
新型コロナウイルスの致死率は2%代らしいのですが、年齢が上がるごとに高まる傾向にあります。
確かにマスコミで報道されている死亡者は、殆どが高齢の方のようです。
高齢化率が世界一といわれるこの日本でパンデミックが発生した場合、
今の中国より日本の方が深刻な事態になる可能性が高いということになり
ます。
現在判明しているのは、死亡者の殆どが持病を持っていたということです。
高齢になると高血圧等の持病を持っている方が多い上に、複数の持病を
抱える方も少なくありません。
なぜ高齢者が重篤化するのでしょうか。
そこには持病だけでなく、「免疫力」というKEY-WORDが隠されているようです。
免疫力
体内で発生したガン等の悪い細胞や外から侵入した細菌やウイルスなどを常に監視していて、それらを撃退する自己防衛システムのことを免疫といいます。
よくテレビ等でも取り上げられるので、皆さんもご存知のはずです。
この免疫という言葉、風邪を引いたときや病気にならないとあまり気にすることはありません。
エイズは別名、後天性免疫不全症候群といわれ、ウイルス(HIV)に感染することで免疫力が低下してしまう恐ろしい病気でした。
そう、免疫というシステムが体から無くなったとしたら、私たちはすぐに何らかの病気にかかってしまうのです。
免疫システムは15歳までに出来上がるそうですが、20歳代をピークにして、免疫力は落ちていくのだそうです。
その反対にウイルス等の感染のリスクは、免疫力と反比例して加齢とともに上昇していきます。
下図に筆者が免疫力と年齢の相関関係を、文献を参考にしてグラフにして
みました。
あくまでも筆者がまとめたイメージなので、正しくはないかもしれませんが、免疫力は20歳代をピークにして低下の一途を辿り、高齢期に入る頃にはかなり低くなってしまうと考えられています。
その反面、感染症のリスクは高齢期から急激に上昇すると考えられるのです。
普段あまり考えることのない自分の免疫力。
目に見えるものではないので、気のつけようがありませんが、高齢期になると臓器等の病気だけでなく、感染症のリスクもあることを覚えておく必要があるのです。
免疫力を高めるためには
マスコミでも、「手洗い」「うがい」の励行と「マスク」の着用を呼び掛けていますが、予防には免疫力のアップも効果があることを忘れてはいけません。
そう、一人一人ができる対策が手洗いやマスク以外にもあるのです。
免疫力を高める方法はいくつかある中で、高齢期に入った方々に特におすすめしたいのは下記のとおり(当然若い方にも効果があります)です。
1.(無理のない)適度な運動
風邪の引き初めには、軽い運動が良いという話を聞いてびっくりしたことがあります。
これは運動によって免疫細胞が活性化するからだといわれています。
2.ストレスを貯めない
意外と忘れがちなことですが、体調管理が重要であることは誰しもが理解
できることです。
体調を整えるのは、十分な睡眠や休養だけでなく、なるべくストレスを
貯めないことが大事です。
些細なことであまり悩まないこと、考え過ぎないことも大事です。
自分が楽しいと思うことをすることもいいことかもしれません。
「笑う」ことが、免疫細胞を活性化させるという研究者もいます。
3.体を冷やさない(体温を上げる)
平均体温が1度下がると、免疫力は37%も低下するそうです。
逆に1度上がると免疫力は60%も活性化するのだそうです。
体調が悪くなると皆さん体温計で体温を測りますが、体温は普段から計っておくことも病気の予防につながるかもしれません。
そして入浴は体を温める良い方法です。
普段シャワーだけで済ませる人も多いようですが、感染症が流行する時期はリラックスしてお風呂に入ることも効果がありそうです。
4.バランスのよい食事
筆者も免疫力を上げるには、緑黄色野菜をバランスよく食べることだと
聞いたことがあるのですが、最近は腸内環境を整えると免疫力がアップ
(改善)されるという話をよく聞くようになりました。
もう既に、補助食品も多く市場に出回っているようです。
腸内環境という意味では、日本人が好きな発酵食品やポリフェノールも
効果があると思います。
この体内での炎症を抑え、免疫力を高める食品については、以前の
本ブログ記事でも詳しくご説明をしていますので、ご参考に見てみて
ください。
参考:ヘルシーエイジングPart1~Part3 2019年1月17日~投稿分
特に、ヘルシーエイジングPart2でご紹介した「孫は優しい(わね)」が
参考になるかもしれません。
普段から自分の免疫力を高める取り組みをすることは、とても大事なことですね。
新たなリスクへの対処法として覚えておきたいものです。
新型コロナウイルスからの挑戦状
今回の新型コロナウイルスで注意すべき点は、感染者の約8割は軽症だということです。
全ての人が重い症状を訴える今までの感染症とは違うのです。
驚くべきことは、罹患している人が(自覚)症状がないということです。
介護や福祉を担当している人が罹患した場合、免疫力が落ちた高齢期の方々に感染させてしまうリスクを抱えています。
マスクや手洗いだけでは限界があります。
今、高齢者施設や介護施設にこそ検査体制が必要なのかもしれません。
今回の出来事は、新型コロナウイルスから超高齢社会を迎えたこの国に対する挑戦状とも受け取ることができます。
どこまで国や地域(自治体)が連携して対応できるのかが試されています。
これからも同じリスクは必ず発生します。
地震や台風、そして風水害といった自然災害。
加えて感染症の流行。
超高齢化を迎えたこの国にとっては大きな課題ばかりですが、これらを
乗り越えていかない限りこの国の将来はありません。
この課題にどう対処していくのか?
この国の本当の力が試されています。
今回の記事も最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。