老後の不安の解消法
今回の記事は、昨年11月10日に実施致しましたセミナーの内容を簡
単にご紹介したいと思います。
第2回人生100年時代の人生設計力養成講座は、経済コラムニストの
大江 英樹さんを講師にお迎えして実施致しました。
講演の主題は、「定年後の不安の解消法」でしたが、定年後をどのよう
に生きていくのか広い観点からお話を頂きました。
大江さんの表現を極力いかせるようにしておりますが、約2時間の講演
内容を全て記事にすることは難しい為、筆者の心に残った部分を中心に
メモ書きのようにまとめてみました。
今回はあえて分割記事には致しませんが、是非最後まで目を通して頂け
ますようお願い申し上げます。
定年後の3つの不安
3Kともいわれる3つの不安 「お金」「孤独」「健康」 を解消する
のはどうすればいいのでしょうか。
まずは「お金」の不安の解消法
お金の不安、最大の原因は “わからないこと” です。
大江さんは定年後のシニアライフについてのセミナーによく講師で呼ば
れ講演をするそうなのですが、その際 “老後の不安はありますか?”と
参加者にお聞きすると、
ほぼ全員が手を上げるそうです。
でも、その反面で自分の預金は把握しているものの、年金をいくらもら
えるのかは誰も把握できていないそうです。
ようするに、 “わからないことが不安なんです”
老後の不安、お化け屋敷論
(大江さんのお知り合いのファイナンシャルプランナーの提唱理論)
お化け屋敷は、暗闇の中で急に体に触れられるので怖いんです。
うっすらと灯りがついていて、あそこを曲がるとお化けがいるなとわか
っていれば怖くない。
お金の不安もそれと同じで、
~将来どれくらいお金がかかるのかわからない
~年金をどれくらいもらえるのかわからない
老後は、働かないと入ってくる収入は年金しかありません。
だから出ていくお金と、入ってくるお金をきっちり把握することが大事
です。
バックりでもいいので、まず把握するようにしましょう。
1億円問題をどう考えるのか
よく雑誌等で老後の生活には1億円必要といっているのをみると皆さん
ビックリ!
そんなお金ないよ~
となるわけですが、実際にはその6~7割は公的年金で賄える。
その1億円の根拠をよくよく見てみると、どんな生活をするのかによっ
て変わってくることがよくわかります。
現役世代も含めて
「ゆとりある生活をするためにはどれくらいかかりますか?」
とアンケートをとると、35万円/月(生命保険文化センター調査)と
いう数字が出てきます。
この35万円を根拠に90歳迄ご夫婦が生活すると、老後に必要な資金
は約1億円になるわけです。
もし、もっと質素な生活をすればどうなるのか。
逆にゴージャスな生活をすればどうなるのか。
ようするにどのような暮らし向きをするかによって必要な資金額は変わ
るわけです。
そこで筆者も計算してみると、
家のローンの返済も終わり、子供も全て独立していることを考えると、
35万円はかかりません。
仮に25万円だとすると、必要な資金は約7500万円。
贅沢さえしなければ、殆ど公的年金で賄える数字になります。
(但し、これはサラリーマンの場合)
ここにサラリーマンの場合は退職金が加算されます。
人間は持っているお金と入ってくるお金の範囲内でしか、生活はできま
せん。
身の丈にあった生活しかできないのです。
そのためにはやっぱりお金の出入りを把握することが大事だと感じまし
た。
ちなみに大江さんは、定年前後はきちんと家計簿をつけていたそうです。
退職金を勘違いしない
大江さんはサラリーマンが定年時にもらえる退職金について注意を促し
ておられました。
サラリーマンの場合、老後を過剰に心配することはないけれども、やっ
てはいけないことがあるそうです。
その一番は、退職金を勘違いしないこと。
退職金は会社からのご褒美ではなく、給与の後払いです。
ようするに老後の資金という扱いなのです。
退職金を使って投資や無駄遣いをすると、のちの生活水準を落とすこと
になると警鐘を鳴らしておられました。
退職金を全部金融機関の言う通り、投資に回されている人が多いそうで
す。
大江さんからとても大事な言葉を教えて頂きました。
「お金に働かせないで、自分で働け!」
運用という不確かなモノを信じるのではなく、確実に増えていくものに
重点を置く。(投資そのものを否定するものではありません)
長年大手金融機関にお勤めの大江さんからこの言葉を聞くと言葉そのも
のにとても重みを感じました。
老後の不安の解消法
孤独の解消法
孤独を解消する為には、自分の居場所を確保することが大切です。
居場所とは自分が快適にいられる場所のことを指します。
この居場所をどこで見つけるのか。
そのヒントは、「老後を無くす」という言葉の中に隠されています。
老後の不安を無くす方法は、「老後」を無くすことだそうです。
老後を無くす?
どういうこと? と思われるかもしれません。
実は、老後は働くことを止めた時から始まるのだそうです。
ですから可能な限り働くこと。
それが居場所を確保することにもつながります。
セミナーでは、ここで漫画サザエさんのお父さん
「磯野 波平」さんが登場しました。
波平さんは漫画の設定上54歳だそうです。
(とてもそのようには見えませんが・・)
漫画サザエさんが始まった頃の定年年齢は55歳。
そしてその頃の(男性の)平均寿命は、60歳~65歳だとすると、余
生は約10年。
現在、男性の平均寿命は80歳を超えたところだと考えれば、余生を逆
算すると、70歳迄働いてもちっともおかしくない。
でも長年サラリーマンをしてきた人は、本当は定年過ぎてまで働きたく
ない人も多いらしいです。
なぜならば、サラリーマンにとって働くことは「苦行」だったからだそ
うです。
朝早くから夜遅くまで必死になって働く。
会社に行けば、やりたいことばかりできるわけではありません。
定年後も働き続けることは人それぞれ考え方が違うんですね。
定年後の働き方
でも、定年後の働き方は様々あってもいい。
セミナーでは、大江さんから4人の定年された方の事例が紹介されまし
た。
・定年後、開業を目指してパン屋で修行
・趣味の日曜大工で、近所のホームセンターで顧客アドバイス業務
・海外勤務の経験を生かして中小企業の海外進出をサポート
・金融機関を退職後、僧侶になる為に現在、準備中
信託銀行マンから僧侶って、とても変わっていますね。
でもこの方は、お経をあげたいから僧侶を目指しているわけではないそ
うです。
やりたいことは、檀家の人たちの相談相手。
税金の相談、金融商品の相談等、なんかファイナンシャルプランナーの
ようですが、コンサル料を取るわけではありません。
檀家の方々の悩み事の相談にのってあげることを仕事にしようとしてい
るのです。
長年培ってきた顧客対応力や金融の知識を活かした仕事です。
上記の4名の方は、やりたいこと、得意なことを仕事にしようとしてい
ます。
「サラリーマンだったから何もできません!」
ではなくて、「自分はこれをやりたい!」というものを持つ。
但し、それがビジネスになるのか、考えて考え抜かなければならないと
大江さんはおっしゃっていました。
自分で選択する
大江さんが講演で地方に行った際、実際にあった話がとても印象的でし
た。
ある地方での講演の後、地元の観光でもある水郷での渡し船に乗った時
のこと。
乗った船の船頭さんとの会話です。
“今、すれ違った船の船頭さんは、
元地元の学校の校長先生だったんですよ。”
地方では、校長先生といえば地元の名士です。
教え子が地元の企業や団体、役所で勤務している為、顧問職のオファー
が多くあったようですが、そのオファーを全て断って船頭の道に。
その元校長先生曰く、
「わたしゃ 天下りやのうて、川下りを選んだんじゃ」
1回の川下りに要する時間は約90分。
もちろん手漕ぎで、1日に4.5時間も船を漕ぐそうです。
冷静になって考えてみると、この仕事は凄いです。
お金:働くことによって当然収入があります。
もうたくさんのお金は必要ないのです。
孤独:毎日普段会わない人との触れ合いがあります。
人と接する仕事なので、人とのつながりを感じながら仕事ができます。
健康:足腰が鍛えられます。とてもいい運動なので健康維持に効果があ
ります。
船頭という仕事は、名声とは無縁ですが、定年後の3つの不安を全て解
消できる可能性を持っています。
定年後の起業
雇われるのではなく、定年後の起業はとても良い方法の一つかもしれま
せん。
大江さんも定年後に起業され、今年で7年になるそうです。
大げさに考えなくても、お小遣い程度に働くこともいいのではないかと
教えて頂きました。
生きがいがあればなおのこと。
でも、キラキラ起業はやめた方がいいとも教えて頂きました。
かっこいいオフィス
洒落たロゴや名刺
宣伝やパーティ
そんなものにお金をかけた起業はうまくいかないことが多いのだそうで
す。
真の人脈が大事
起業する時にも勘違いがよくあるそうです。
・資格さえあれば仕事がある
→ 必要なものは資格ではなく顧客です
・たくさん知り合いがいれば人脈がある
→ 名刺の数が多ければいい(×)
人脈とはあなたに何ができて、何ができないかわかっている人を指しま
す。
ですから会社にいる時は、同僚・上司・部下は全て人脈といえます。
でも、会社を辞めるとこれがなくなるんですね。
だから在職中も、会社の外にいかに人脈を持つかということが重要にな
ります。
単純に考えると、真の人脈があると仕事が来るということになります。
実は自分にどんな能力があって、どんなことができるのかわからないこ
とが多いのではないでしょうか。
(筆者もそうです)
自分で自分の能力を棚卸しするのは難しい。
でも、人に棚卸しをしてもらうことはできる。
だからいろいろなつながりを持つことは必要なことではないでしょうか。
筆者もいろいろな方と話をしている最中に自身について思わぬことを言
われることがあります。
自分では気付かないのだけれど、他人は気付いている。
そういう意味では、人脈は大事なのです。
それも真の人脈です。
人脈形成には信用が大事
地域で人脈ができて仕事ができれば、定年後の3つの不安である
「お金」「孤独」「健康」
の不安を解消できるのではないでしょうか。
でも、そのためには必要なものもあります。
皆さんが、今までサラリーマンで働いてきた会社には、企業理念という
ものがありました。
企業理念は社員の活動をぶれないようにするために効果があります。
同様に定年後を生きる方々にもその理念のようなものは必要ではないか
と思うのです。
ましてや、定年後起業する人たちにとっては、理念は大事です。
大江さんの会社の企業理念は、
「サラリーマンが幸せな老後をおくれるように支援すること」
だそうです。
定年後を力強く生きていくためには、なによりもこの理念が大切なこと
であると感じました。
なぜなら理念は信用を生むからです。
信用は、人脈(孤独解消)にも、お金(仕事)にも、やりがい(健康)にもつながります。
以上、セミナーの内容について大江さんの表現をできる限り守りながら
筆者なりにまとめてみました。
大江さんのセミナー、とても良かったです。
また講師の御願いをしてみようと思いました。
今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。
セミナー風景
大江さんのお話し、とても良かったです。
参加頂いた方の満足度は、とても高いと感じました。
参加者のお一人からは、
「自分の選んだ道(起業)は間違っていなかった」
と、感激されていました。
お菓子を食べながら、大江さんとの歓談のひと時も1時間を超えました。
最後には、参加者全員に大江さんの書籍プレゼントまであり、参加者の
皆さんは喜んで帰られました。
最後に、参加者の皆さんがプレゼントされた大江 英樹さんの書籍を
ご紹介しておきます。
読者の皆様も是非手に取ってみてください。
本当に面白くて、ためになりますよ!