改革先進国ドイツと日本の違い(2/3)
今回の記事は、前回の記事に引き続いてドイツの改革から日本は何を学
べるのかを記事にしてみたいと思っています。
特にドイツの政治の仕組みは、日本にとってもとても参考になるのでは
ないかと考えました。
東京に一極集中が本当に良いのか?
まずは、今回のコロナウイルスへの対応を考えながら、記事を進めて
みたいと思います。
コロナ対策でも違いが
メルケル首相は先日行われた会見で、新規の感染者が減少していること
から、規制を大幅に緩和する措置を発表しました。
政府と地方政府(州)が合意し、州の判断によって順次、飲食店など
すべての店舗を再開していくそうです。
このような速い判断が可能なのは、ドイツの政治の仕組みが日本とは
違うからだと筆者は思うのです。
ドイツは米国と同じような連邦制をとっています。
ドイツ国内には16の州があります。
州=国家としてみなされていて、州政府は大きな権限を持っています。
ドイツの州政府の首長(首相)は、中央政府の要職も務めています。
(ようするに中央政府の大臣と同じような存在だともいえます)
そう日本の知事のような存在ではなく、ドイツ政界での影響力も絶大な
のです。
今回の新型コロナ危機においては、その州政府が連邦政府に先んじて行
動を起こし、連邦政府がそれを追認し、国全体として調整するというケ
ースが多かったと聞きます。
日本とは全く逆です。
日本の場合、都道府県知事は政府が決めなければ、何も行動に移せない
状況なのです。
このドイツの政治制度が、コロナのような疾病対策だけでなく、経済活
動にも有効に働いています。
ドイツは地方政府(州市)がお金を稼ぐことに極めて一生懸命だそうで
す。
地方の首長の選挙でも、その点を強調するそうなのです。
日本の地方(政府)は、お金の配分(交付金や補助金等)には極めて熱
心ですが、自分たちでお金を稼ぐことにとても消極的なのではないかと
感じます。(力を入れている首長さんもおられることは確かですが)
なぜならば、東京との経済格差ばかりが論議に上るからです。
今回のコロナ対策でも地方は、国の対策を待っているという姿勢が多く
みられました。
そして大阪府のように、独自路線をとると国側からの牽制を受けていま
した。
なぜ、ドイツは前回の記事のように産業の空洞化を免れたのでしょうか。
自ら儲けるという感覚が強いドイツの地方政府の動機は単純で、例えば
企業が(海外)移転する場合、最も困る者(地域経済:政府)が最も頑
張る、というものです。
先進国ドイツで企業活動すれば確かにコストは高いのですが、それを上
回る利益を稼げるビジネス環境を(地方政府が)提供すれば、低コスト
国に移転しない筈、と信じて企業を支援しています。
日本では税金を使って企業を誘致するものの、企業の環境変化によって
撤退してしまう事例が後を絶ちません。
ドイツでは地方政府が簡単には諦めないのです。
地域をいかに豊かにしていくのか。
経済的な豊かさを与えることが地域の住民にとっての最大の幸福であり、
経済的豊かさの提供こそが若者や女性を惹きつけ、人口増の好循環を実
現させるのではないでしょうか。
この日本では地域でしっかり勉強しても、地域内で魅力的な仕事がない
ためにその殆どが東京(首都圏)を目指してしまいます。
そしてその東京での出生率は他の地域と比較してダントツで低いのです。
これでは少子化が加速してしまいます。
ドイツの地方政府は、優秀な若者や若い女性、企業を誘致し、つなぎ止
めておくために大変な努力をしているようです。
日本の地方自治体は地方創生という言葉を使って、いろいろなインフラ
整備等をやってはいますが、経済的な豊かさを追求している自治体は少
ないのが実態なのではないでしょうか。
それは地方に権限がないことも一因かもしれません。
地域の裁量
日本にも近年、道州制の導入を検討する動きがありました。
なぜそのような検討が進んでいるかというと主に3つの課題がターゲッ
トになっています。
一つ目は、生活圏や経済圏の見直しです。
首都圏をみてもわかるように、東京都や神奈川県の県内で経済を回す
ことは不可能です。
埼玉や千葉在住の方は、多くの方が東京まで通勤しています。
徒歩や馬で移動していた時の区分(150年前の廃藩置県の区分)が、
まだあること自体が無理があるのです。
二つ目は、東京一極集中です。
東京には企業の本社が集中し多くの仕事はあるが、地方には(魅力的な)
仕事がない。
だから人々は豊かさを求めて東京圏に集中する。
でも、今回のコロナ禍をみてもわかるように、東京圏が麻痺してしまう
と、経済も政治も大混乱に陥ります。
そのツケは結局地方にも回ってしまいます。
ドイツには一局集中はありません。
強い地域(地方)があるからです。
生まれ育った地域が豊かで魅力的なものであれば、みんな地域に残りま
す。
他にも多重行政の課題がありますが、今回は触れずにおきます。
ここまで述べてきたように、ドイツと日本とでは国の仕組みが大幅に違
うのです。
もう、東京一極集中ではやっていけないことが、今回のコロナ禍でハッ
キリしたのではないでしょうか。
一部の政治家や専門家がすべて決めていくことには無理があります。
この国には、多くの頭脳が存在しています。
その頭脳を少子高齢化や自然災害、流行疾患に悩む社会を復活させるこ
とに使える仕組みが必要です。
そろそろこの国も形を大きく変えていく必要があるのではないでしょう
か。
それがこの国の未来を支える子供たちの為にもなるはずです。
今回の記事はここまでにして、続編としてなぜドイツの地方は強いのか
を次の記事でまとめてみたいと思います。
今回の記事も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。