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住宅ローンも高齢化

2020年10月29日
14

筆者は毎日朝6時に自宅の2階にある自室から1階にある書斎(事務所)
に出勤しています。

 

朝から仕事をして、8時くらいに朝食を摂りながら新聞(電子版)に目
を通しています。

 

先日(10月5日)、日本経済新聞(電子版)に掲載されていた一つの
記事に目が釘付けになってしまいました。

 

その記事の表題は、「住宅ローンも高齢化」です。

 

先日の記事で家(建物)の価値は、20~25年でゼロのなるとご説明しま
したが、その家を購入する為に購入者は30~35年間もローンを組むこと
なるのです。

 

筆者も定年間際まで約30年かけてローンを返済してきました。

 

子供たちが全員社会人となり、家のローンも終わった為に、毎月銀行
口座から差し引かれるのは社会保障費と公共料金だけになりました。

 

でも、今回の記事を見て、定年後も住宅ローンが残る世帯が意外に多い
ことに少し驚かされました。

 

今回の記事は、定年後の生活に大きな影響を及ぼしかねない住宅ローン
問題について考えてみたいと思います。

 

 

 

画像素材:Jim  Mayes コスモスが美しい季節になりました

 

 

 

人と共にローン完済年齢も高齢化

 

 

筆者がこの記事を読み出して一番気にかかったのは、2020年度でのロー
ン利用者が完済を計画している年齢が、平均73歳という数字です。

なんとこの20年で5歳も上がったというのです。

68歳でも、現在企業で働ける年齢が65歳であることを考えると高いと
思うのですが、それが70歳を超えていることに驚かされました。

 

この要因は、借入時の年齢や借入金額が上昇している為だと記事には
記載されていましたが、この73歳という数字が正しいのであれば、今政
府が検討している70歳までの雇用が実現できたとしても老後の生活は不
安定になりかねません。

 

そしてこの73歳という数字は、多くの方が心身に悪影響が出始めるとさ
れる後期高齢者の領域に限りなく近いということも気になります。

 

なぜこのような事態が起きているのでしょうか。

 

 

ここにも先送りの体質が

 

 

この国では長い間低金利が続いています。

銀行にお金を預けても全く利息は付きません。

その代わりにお金を借りても、借入利息も大きくなくなってしまいまし
た。

ようするにお金を借りやすくなったということが、結果として借入金額
をも膨らませているようです。

もう一つ、前述のように年金政策への対応で長く働けるようになったこ
とも影響しているのではないでしょうか。

 

でもそこには大きな落とし穴があります。

 

確かに65歳迄雇用延長がなされるようになりましたが、60歳以降は収入
面での条件は大幅に悪化してしまいます。

働く期間が長くなったとしても、収入は大幅に減少するのです。

そして長引く経済の停滞やこのコロナ禍の影響で企業の業績が悪化して
いけば、定年退職金も含めて収入は不安定になりかねません。

 

人生は長くなったと感じている人が増える中で、住宅購入も長生きを
前提にすることはリスクが大きすぎるような気がしてなりません。

 

そして完済計画年齢を押し上げているもう一つの要因があります。

 

 

画像素材:Jim  Mayes  白いコスモスも美しいですね!

 

 

 

晩婚化・晩産化の影響

 

 

近年、結婚しない人が増えています。

男性では4人に1人、女性でも7人に1人と増え続けていますが、結婚
したとしても晩婚化や晩産化の傾向になります。

 

家を購入しようとする動機につながるものとして家族が増えていくこと
をあげる人は少なくないと思います。

そう子供達が自分の部屋を欲しがる頃が、そのピークかもしれません。

晩婚化や晩産化は、家の購入年齢を押し上げているような気がします。

 

家の購入年齢が上がっても、それなりに収入があればいいのですが、
以前の記事でもご紹介したとおり、この国の給料は上がらなくなって
しまいました。

 

こんな状況の中で、住宅ローンの借り入れ時の年齢はもう既に40歳を
超えているようです。

確かにこの年齢から30年や35年ローンを組めば、完済時期は限りなく
後期高齢者の領域に近づきます。

筆者が住宅ローンを初めて組んだのは27歳の時でした。

神戸にできたばかりの人工島にあるマンションを買いました。

購入当初は、公共交通はバスしかなく、とてもリーズナブルな価格でし
た。

その後、バブルは崩壊しましたがウォーターフロントでとても人気が高
かった為32歳の時に今の家を建てた時には、このマンションを購入価格
以上で売ることができました。

そしてローンを組み替えた時に設定した完済年齢は60歳でした。

 

その時の企業の定年年齢は60歳。

ローンを返せる上限だと判断したからです。

 

今住宅ローンを組む人も、自分がいくつまで働けるかで決める傾向が強
いようです。

そこに晩婚化や晩産化が加わり、更にローン完済年齢を押し上げること
になったと推察することができます。

 

 

画像素材:Jim  Mayes 社会には光と影があります

 

 

 

気になる借入額

 

 

気になるのは完済年齢だけではありません。

借入金額と60歳を超えての借入残高の数字にも少し驚かされました。

少し背伸びをし過ぎなのではないかと感じたのです。

 

総融資額を融資件数で割った平均融資額はこの20年間で1900万円から
3100万円へと大幅に増加したそうです。

 

超低金利政策を背景に、住宅価格が上昇を続けていることが大きく影響
しているそうですが、金利負担が軽いため、頭金を減らして手元資金を
温存し、多額のローンを借りる傾向があると記事には記載されていまし
た。

 

この傾向は融資期間にも現れています。

 

返済期間は不動産市況が良好だった世界金融危機前に一時32年を超えた
以外は、ずっと30〜31年で推移してきたそうです。

しかしながら、この数年は再び長期化が顕著となり、2020年度は平均
32.7年と過去最長となっていることも記事には記載されていました。

前述の借り入れ平均年齢40歳にこの32.7年間の融資期間を足せば、確か
にローン完済年齢は73歳となります。

 

以前の記事でご紹介した日本の高齢化の特徴は、「高い」「速い」「深
い」でした。

 

この住宅ローンの特徴は、「高い」「遅い」「長い」というリスクを
伴っています。

 

そして、記事の中にはもう少し深刻な数字が記載されていました。

借入額の60歳時点の残高が大きく増えているそうなのです。

60歳時点のローン残高は、この20年で700万円前後から1300万円を超す
水準まで増加しているのだそうです。

 

約2倍に増えています。

 

企業の中で雇用延長されたとしても、大幅に収入が減る60歳以降で
この残高は非常に問題だと感じました。

 

まさに老後に大きなリスクを先送りすることになるからです。

 

こんなところにも、以前の記事で書いた先送りの体質(風土)が存在し
ていることに筆者は驚かされました。

 

 

 

画像素材:Jim  Mayes 高齢期の生活にも希望と明るい未来が必要です

 

 

 

驚愕のローンが誕生している

 

 

こんな状況であるにも拘わらず、記事の中には恐ろしい文面がありまし
た。

なんと85歳未満まで借りられるローンが登場しているというのです。

住宅ローンの融資期間は一般的には35年が最長で、近年は利用者の殆ど
が35年を選ぶ傾向が強まっているそうです。

 

利用者は最長の年限でローンを組むことが多く、全体の2割弱を占める
45〜49歳ではその約9割が30年以上のローンを選択していると記事には
記載されていました。

 

これが本当であれば、多くの方が80歳近くまでローンの返済が続くこと
になります。

 

ここまでくると、借りる方にも責任がありますが、貸す側にも大きな
問題があるように感じます。

 

この国の少子高齢化の実態(これからの予測も含めて)をどう認識して
いるのか。

年金政策の実態と今後の予測をどのように理解しているのか。

 

そんな心配が頭をよぎります。

 

記事には、民間金融機関が完済時年齢の引き上げに動き始め、一部では
完済時の年齢を85歳未満に引き上げたものまであると記載されていまし
た。

 

筆者は少し背筋が凍る想いがして、記事を読むのが怖くなりました。

今後の経済状況が悪化しないことを願うばかりです。

 

企業の給与も、頼りにしている退職金も、社会保障費(年金)も経済が
悪化すれば先行きが見通せなくなります。

 

老後のリスクを限りなく無くすためには、いつまでも働き続けるしかな
いのかもしれません。

 

その為には、65歳以上で4人に1人しか働けていない、70歳以上で働け
る人は殆どいないという雇用環境を劇的に改善する必要があります。

 

この状況を前向きに捉える方法を考えるしかないのかもしれませんね。

 

後ろ向きに考えてしまうと、「老後破産」や「老後貧乏」という言葉が
頭にちらついてしまいます。

 

記事の最後に、ある団体がこの事態に警鐘を鳴らしていると記載されて
いました。

 

返済に行き詰まった利用者の相談に乗るNPO法人の代表からのメッセ
ージです。

 

「人生100年時代」と言われるが、現状、70歳以降も仕事を続けている
人は少ない。

遅くても70歳までにはローンを返済する計画にしてほしい」

 

このNPO法人代表のメッセージに同意します。

 

 

厚生労働省の調査では63〜72歳の世帯のうち、住宅ローンを抱える世帯
は1割強を占めていることが分かっているそうです。

今後も高齢世帯で住宅ローンを抱える割合は上昇する可能性が高いとい
うことを考えると少し深刻です。

 

高齢化が進むこの国で、高齢世帯が増え続けるこの国で、大きな老後の
リスクを抱える世帯も増えていく。

 

自分が高齢化すればどのようになるのか。

自分が高齢化したらどのようなリスクが存在するのか。

 

やはり、我々はもっと知るべきではないのかと強く感じてしまいました。

 

今回読んだ記事には、とても考えさせられました。

筆者も少子高齢化の事を少しは理解しているつもりでしたが、まだまだ
のようです。

 

国難ともいえるこの「少子高齢化」問題をもっと広く、鳥の目のような
感覚で捉えられるコーディネータが必要なのかもしれません。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。

 

次回の記事は、11月3日(文化の日)頃に投稿予定です。

コロナの影響で、「生きづらくなった」という声をよく聞くように
なりました。

ネガティブに考えずに、ポジティブになれば、もっと真剣に生きること
を考える時代になったといえるかもしれません。

高齢期になっても生き甲斐を持って生きていくためには、どのような
考え方があるのか。

次回の記事では、そのヒントになるかもしれない理論についてご紹介
してみたいと考えています。

 

是非お付き合いください。