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大阪都構想を考える

2020年11月18日
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11月最初の日曜日、大阪都構想の是非を決める選挙が行われました。

今回が2回目となる選挙結果は、前回に引き続き僅差で否決されました。

 

選挙後の記者会見で、大阪市長と大阪府知事が「民意を尊重する」と
真摯に語っていました。

とても男らしい態度でした。

そんな中、大阪府知事が目に込み上げてくる涙をぐっと我慢している
こともわかり、そのくやしさが伝わってきました。

大阪市長と大阪府知事が一貫して訴えてきた

「次の世代に課題を先送りさせない」

という言葉は、筆者もとても共感できるものでした。

 

ただ、多くの大阪府民の皆さんにはこの「課題」の姿が良く見えていな
いのではないかという心配もありました。

 

今回の記事は、今回の大阪都構想の選挙を通して大都市が抱える大きな
「課題」について考えてみたいと思います。

 

 

都市で高齢化が一気に進む

 

 

大阪府は全国平均より高齢化率は若干低くなっていますが、人口構成の
中で占める団塊の世代の構成率がとても高いために、2025年以降に
後期高齢者が一気に増加していきます。

この傾向は、大阪だけでなく東京・横浜・名古屋といった大都市圏で
顕著にあらわれます。

 

 

 

団塊の世代が後期高齢者になる2025年以降、都市部では深刻な事態に

 

 

 

読者の皆さんも高齢化は地方、特に田舎の街のことと思っている方が
まだ多いかもしれませんが、実はこれから都市部で高齢者が溢れかえる
ことになるのです。

 

後期高齢者の数がある時期に一気に増えるということは、短期間で社会
保障費が大きく増えることを意味しています。

そう大阪も含めた大都市で高齢化が進むことによって年金や医療費、
そして介護費を中心とした社会保障費が爆発的に増加する可能性があり
ます。

社会保障費はその多くが公費で賄われており、国だけでなく都道府県や
市町村といった自治体の負担が重くなることは必至の状態です。

 

 

高齢化によって自治体の収入が減る

 

 

これから大量退職の時代を迎えます。

長く企業で勤め、多くの税金を納めてきた方々がリタイヤしていきます。

ご存知のとおり自治体に支払う税金は、前年度の所得を元にしており、
退職とともに収入が激減すると自治体に支払う税金も激減します。

 

そう自治体は税収がこれから落ち込んでいくことになり、厳しい財政
状況を強いられることになります。

 

問題は大量退職だけではありません。

 

少子化を主因とする人口減少問題がこれから自治体を襲い始めます。

 

2008年から長期的に人口が減少傾向となったこの日本の中で、長く
人口を維持できるのは東京くらいで、大都市圏でも人口が減少していき
ます。

 

 

 

 

 

2015年から2045年の30年間の都市部での人口推計をみると、東京は
1350万人程度で人口をほぼ維持できますが、大阪は2015年の884万人か
ら2045年には734万人に減少します。

17%も人口が減るのです。

高齢化で徴収できる税金が減るだけでなく、税金を払う人の総数も減っ
ていくのです。

 

 

街も高齢化していく

 

 

以前の記事でもご紹介したように高齢化していくのは人だけではありま
せん。

都市機能を支えるインフラも高齢化していきます。

当然のごとく、都市部のインフラは大規模で複雑です。

 

以前の記事でご紹介したように上下水道一つとっても維持費は膨大で、
これから多くのインフラが大規模改修の必要性に迫られている状況です。

 

都市部でのインフラの維持・改修には莫大なお金が必要なことは言う
までもありません。

 

 

SDG

 

 

今、世界は持続可能な世界を目指しています。

でも、日本の多くの自治体では持続不可能な状態に陥りつつあります。

ここまで書いてきたように大都市大阪でも、支出が大きく増えて収入が
大きく減っていく状況になっています。

 

大阪市長や大阪知事が市と府の二重行政の無駄にメスを入れたかった
理由はここにあるのですが、選挙で都構想に反対票を投じた方々がどれ
ほどこの状況を理解していたかは疑問が残ります。

 

大阪だけでなく、今、日本の社会は持続可能性の喪失と民主主義の危機
の真っただ中にあると言ってもいいのかもしれません。

 

 

 

最近はそこらじゅうでSDGsという言葉が使われ始めましたね

 

 

 

2025年問題だけでなく、コロナ禍による廃業や失業など貧困と社会的
排除の広がり、成長なき人口減少社会、超が付くほどの少子高齢化の中
で、人々の不安が地域社会の根底に横たわり、未来への展望すら見えな
い厳しい時代になっています。

 

そんな中で、自分が住んでいる場所の名前が消えるのは嫌とかいってい
る場合ではないことが理解できていないのかもしれません。

 

コロナの影響で今は生きていくのが精一杯、それどころではないという
方々も多い中で行われた今回の選挙、確かに時期が悪かったことは否め
ませんが大阪府民の皆さんにはもう一度この問題をゆっくり考えてみる
時間が必要かもしれません。

 

筆者は、大阪都構想に反対とか賛成という立場ではないのですが、これ
からこの国の大都市を襲うであろう問題をどのように解決していくのか
という観点では大阪都構想には少し期待感を持っていました。

 

そういう意味では、少し残念な結果になってしまったのかもしれません。

 

一つだけハッキリしているのは、大阪は「子供たちの世代」に問題を
先送りしてしまったということです。

 

これからもこの国の都市部を中心に深刻な状態になるであろう2025年
問題を引き続き考えていきたいと考えています。

 

今回の記事は、大阪都構想の選挙を通してこの国の少子高齢化について
考えてみました。

 

 

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

次回の記事投稿は、11月23日(勤労感謝の日)を予定しています。

11月3日は文化の日でした。

でも、「いい(11)おっさん(03)の日」でもあるらしいのです。

コロナ禍で苦戦するオジサン達に、勤労感謝の日にエールを送って
みたいと思います。

是非、お付き合いください。