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木を見て森も見る

2021年04月04日
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前回の記事では高齢期でも健康を維持する為に人生の戦略が必要である
ことをご紹介してみました。

 

今回の記事ではその戦略を考える上で重要なある視点についてまとめて
みたいと思います。

 

人生100年時代を生き切る為の戦略を考える場合、重要になるのが時間
軸です。

 

筆者が生まれた1960年頃(今から60年ほど前)には企業の定年は50
歳から55歳でした。

 

リタイヤされた方々は、定年後同居の家族(子供)の世話になりながら
も10年くらいの「余生」を過ごしながら人生を終えていました。

 

平均寿命が60~70歳の頃は、人生に「戦略」なんていう仰々しいも
のはなくてもよかったわけです。

 

でも、これからは人生90年、いや100年の時間軸で考え、自分の健
康をどのように維持していくのかという戦略が必要になってしまったの
です。

 

もしかすると、それはとんでもなく面倒で残念なものかもしれません。

 

これからは長くなってしまった人生の「スパン」で物事を考えていかな
ければならなくなったといえます。

 

 

昔、よく耳にした諺

 

 

高齢期での健康を考えた時、前回の記事でもご紹介したフレイル(虚弱)
にならないこと、そして要介護にはならないことが大切であることは誰
しもが理解していることです。

 

要介護にならない為にも、下図に示した3大要因を予防しなければなり
ません。

 

それも長くなった人生の「スパン」で予防を考える必要があります。

 

その人生の「スパン」を考える時に大切なことは「視野の広さ」です。

 

「木を見て森を見ず」

 

ということわざ(諺)は読者の皆さんもよく御存知だと思います。

 

下の図のとおり、木の葉から森全体を見渡す視野の広さを持つことが重
要となるのです。

 

 

 

 

 

 

 

それではこの図をどのように見ていけばいいのでしょうか。

 

【葉を見るということ】

 

木の葉は人間の体に例えると、細胞のようなものかもしれませんね。

 

細胞の老化を防ぐことが体全体の老化を防ぐ効果があります。

 

特に脳細胞の活性化は認知症にも効果があることは読者の皆さんもご存
知のとおりです。

 

最近は、研究者の手によって長寿遺伝子とか抗老化遺伝子と呼ばれてい
るサーチュイン遺伝子の存在が明らかになりました。

 

この遺伝子がONになっていると細胞の老化を遅らせてくれるのだそうで
す。

 

人生100年といわれる時代には、遺伝子や細胞のことまで考えて様々な
対応ができるようになったのです。

 

予備軍も含めて認知症を患う人の数を考えると、細胞の老化を防ぐこと
も大事なことになったといえるのかもしれません。

 

【枝を見るということ】

 

木の枝は人間の体に例えると、臓器のようなものかもしれません。

 

最近オランダの研究チームが人間の喉の中に新たな臓器を発見したとい
うニュースが世界中に広がりました。

 

人間の体の中にはたくさんの臓器がありますが、その殆どが医療機関に
よる診断で管理が可能です。

 

自分の体の中にある臓器の中で弱いところはどこにあるのかを知ってお
くことはとても大事なことです。

 

定期的なチェック(管理する)ことで「戦略」にも活かせるのです。

 

そして、前回の記事でも申し上げたとおり、高齢期に入るまでに完治を
目指して治療(早期治療)をすることも人生100年の「戦略」の内の大
事な一つとなります。

 

【木を見るということ】

 

木は人間そのものを指すのかもしれませんね。

 

葉や枝が病気になっていては、木としては健康とはいえません。

 

木として健康を保つためには精神状態も含めた木(体)全体の健康管理
を実施しなければならないのです。

 

【林を見るということ】

 

草原の中にたった1本だけ木があると結構絵になるのかもしれませんね。

 

でも人間社会ではそうはいきません。

 

人間社会の中にはたくさんの人(木)が存在します。

 

その中で特に大事なものが家族ではないでしょうか。

 

かつてはこの国の中に多く存在していた家族の互助や地域の共助という
行為を今もう一度見直す時なのかもしれませんね。

 

この林(家族)を見る(見直す)という行為は、高齢化しながら弱って
いく自分自身と家族との絆をどんな形にしておくのかを決める行為にな
るのかもしれません。

 

【森を見るということ】

 

以前の記事で、エイジングインプレイスという言葉をご紹介したことが
あります。

 

住み慣れた自宅と行きつけのある地域に住み続ける。

 

そこには「安心」とか「やすらぎ」という言葉が存在しています。

 

どうすれば住み慣れた自宅や地域に住み続けられるのかを考えることも
人生100年の戦略を考えることに繋がります。

 

 

こう考えてみると、広い視野を持って考えるということは、下図のよう
に前回の記事でご紹介したフレイル(虚弱)の予防と家族や地域とのつ
ながりを見直してその関係性を修繕したり再構築することになるのかも
しれませんね。

 

 

 

 

 

この広い視野で考えることによって、初めて人生100年を健康に生き切
る為の戦略の骨格が浮かび上がってくるような気がします。

 

当然のごとく、「森を見て木を見ず」にもならないように気をつける必
要もありますね。

 

 

上手に老いるために。

 

人生100年を生き切る為に。

 

視野を広げて人生100年の戦略を練る。

 

高齢期に入る前に。

 

とても大事なことだと思いませんか?

 

 

今回の記事も最後までお付き合いを頂き、ありがとうございました。