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成長と分配は実現するか1

2021年11月20日
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記念すべき第100代の総理大臣が誕生しました。

(選挙があった関係で現在は第101代総理大臣)

 

新総理の口癖ともいえる政策の基本が「成長と分配」です。

 

しかしながら、成長なくして分配なしということは、誰もが理解できる
でしょう。

 

この成長が大きな問題なのです。

 

以前の記事でも詳しくご紹介したように、この国はこの30年間全く成
長できていません。

 

高度経済成長期には2桁の経済成長を続けていましたが、オイルショッ
ク以降は低成長に転じ、バブル崩壊後はマイナス成長にも陥っています。

 

ようするに、成長という言葉とは無縁な国になってしまったわけです。

 

全く成長できなくなったことを象徴するかのような言葉も現れました。

 

「失われた十年」とか「失われた二十年」という言葉です。

 

読者の皆さんも聞いたことがある筈です。

 

とうとう「失われた三十年」とはいわれなくなってしまいました。

 

余りにも悲しすぎる言葉だからでしょうか。

 

そんな国に、突如として「成長」という言葉がクローズアップされたの
です。

 

実はこの成長という言葉は、前々政権でのアベノミクスでも使われてい
ました。

 

大胆な金融政策によって支えられた財政政策で民間投資を喚起するはず
でした。

 

株価は上がり、一部の大企業や富裕層は恩恵を受けたものの、成長率は
地を這い国民の生活はよくなってはいません

 

アベノミクスで好業績の大企業では役員報酬は上がっても、社員の給与
は上がらないといった不思議な現象が起きているのです。

 

成長どころか公平な分配すらできなくなっているようです。

 

 

 

アベノミクスの柱ともいえる3本の矢、うまくいかなかったようです
政府はアベノミクスの成果を声高にうたうが、その恩恵は一部に限定
され、国民は成果というものの実感を全く感じないものになりました

 

 

 

成長のバロメータ、賃金

 

 

「強い経済で所得を増やす」と言う見出しで政策を訴える与党のサイト
を見ても残念ながら具体的な政策は見当たりませんでした。

 

この国を成長へと導く具体的な政策を考える時、成長のバロメータとな
りえるのが賃金です。

 

しかし、この賃金、失われた30年間全く増えていません。

 

悲しいかな、日本の平均賃金は424万円でこの30年間横ばいです。

 

政府はいつものようにお金をバラマキを始めましたが、この30年間成
長できていない原因をしっかり検証しない上で施策を打ってもまた失敗
するだけです。

 

こんな長い間停滞している間に、「日本を追い抜く」と決意表明してい
るお隣り韓国にも平均賃金では既に追い抜かれているのです。

 

以前の記事でもご紹介したように先進国は殆どの国が大きく伸びている
にも拘わらずです。

 

米国は1990年から30年で平均賃金が、247万円も伸びています。

 

今頃になって政府は給与を上げた企業への優遇措置を検討し始めました。

 

 

 

 

 

 

上図のように、日々増え続け今や500兆円を超える内部留保を抱える
大企業の経営陣を中心とした上層部の所得は大幅に伸び、平均賃金を上
へ押し上げているにも拘わらず、凄い勢いで増加する非正規によって低
賃金の労働者が増え続け、平均賃金は下方へ引き下げられています。

 

この奇妙なバランスによって、平均賃金は横ばいを続けてきました。

 

でも、今後も非正規が増え続けるなら、このバランスは大きく崩れ、平
均賃金は下がり始めるかもしれません。

 

この国の政治は、今迄いったい何をしてきたのだろうかと首を傾げたく
なります。

 

自分が偉くなる為に競争相手に対して策略を講じて追い落とすことで頭
が一杯であれば、国民のこと等考える暇がないかもしれませんね。

 

そんなバカなことはないと信じたいと思います。

 

「失われた十年」や「失われた二十年」をつくった張本人は、バブル崩
壊で自信を無くした企業ではなく、政治自身なのではないかと感じてい
ます。(あくまでも筆者の感想です)

 

この国における自由経済は正しかったのか?

 

そんな疑問さえ頭をよぎります。

 

ただの無責任だったのではないか?

 

その結果での非正規の容認、非正規の拡大なのかと。

 

新政権は国民の所得を上げようとしていますが、ここまで非正規が増え
てしまっては、何をしようとも「焼け石に水」、簡単なことではありま
せん。

 

今迄の政権が容認してきた格差が、新政権の掲げる政策の大きな足かせ
になる可能性が高いのです。

 

新政権がどのように賃金を上げようとしているのでしょうか?

 

具体的な政策はこれからですが、非正規の増加を食い止め、低賃金の労
働者から賃金を上げていく施策が必要であると考えます。

 

 

賃上げの目標設定

 

 

以前に厚労省の「毎月勤労統計調査」に対する不正調査の問題が国会で
審議されていました。

 

読者の皆さんも一度ネットで見て頂ければわかるように、上記の統計調
査では実質賃金の伸びが前年同月比等のデータで毎月掲載されています。

 

厚労省は、この賃金データを不正に改ざんしていたのです。

 

この問題の本質はとても根深く、なぜ官僚が統計を操作してでも、賃上
げを演出しなければならなかったのかという点です。

 

裏を返すと、アベノミクスでは問題の本質を解決ができなかったという
ことになります。

 

それだけこの賃金の問題は深刻だといえます。

 

それではどれくらい賃金を上げていけばいいのでしょうか?

 

記事の最後にOECDの調査データから諸外国がどれくらい賃上げをして
きたのか示してみますので、読者の皆様も一緒に考えてみてください。

注:下の図では、1997年を100として、2016年にどれだけ
増えたのかを示してみました

 

 

 

 

 

 

上図のように、約20年間で諸外国は2桁の伸びを示しています。

 

残念ながら、日本だけがマイナスという惨状です。

 

政府は低賃金が問題視されている介護職の給与を3%上げると言ってい
ますが、毎年継続的に上げていかなければ、諸外国のような伸びにはな
らないということになります。

 

諸外国に肩を並べるには、相当な努力が必要な状況ということになるの
です。

 

今回の記事はこれくらいにして、次回の記事では賃金を上げるために、
まず、なぜ賃金が上がらなくなったのかという原因を読者の皆様と一
緒にもう一度考えてみたいと思います。

 

そこから賃上げの具体的な方策が見えてくるはずです。

 

 

今回の記事も最後までお付き合いを頂き、ありがとうございました。

次回も是非、ご一緒に考えていきましょう!

 

mattoco(マットコ)