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成長と分配は実現するか2

2021年11月27日
17

今回の記事は、前回の記事の続きとしてこの国は本当に成長できるのか
という課題について読者の皆さんと引き続き一緒に考えてみたいと思い
ます。

 

前回の記事でも述べた、成長のバロメータ、働く人の賃金

 

この賃金の成長無くして、経済の成長はないと書きました。

 

収入が増えるからこそ、生活が豊かになり、生活の為に消費をする。

 

お金が動けば、経済は回る。

 

現在の状況は、非正規の労働者が全体の40%にも達し、ぎりぎりの生
活でまともな消費ができず、お金が動かないために経済も停滞していま
す。

 

なぜ賃金が上らなくなったのかは、以前の記事でもご説明をしたことが
ありましたが、今回の記事では少し別の視点で考えてみたいと思います。

 

 

 

人・モノ・金が動けば、新しい事業も、価値ある製品も、新たな仕事も
生まれ、結果として賃金が上っていきます。まずはお金が動けば・・・
将来の不安を理由にお金を溜め込んでも、世界には勝てません!

 

 

 

少し前になりますが、2019年3月に東洋経済が、「日本人の給料が
ほとんど上がらない5つの要因」と題して、この課題について分析をし
ていました。

 

筆者が今まで本ブログでご紹介してきたことを裏付けるような内容にな
っていて、筆者の考えも間違ってはいなかったと実感させられました。

 

東洋経済は、誌上で賃金が上らなくなった要因を5つの主要要因として
提起していました。

 

その内容は、下記の通りです

 

①労働組合の弱体化

 

②非正規雇用者の増加

 

③少子高齢化

 

④内部留保を溜め込んで賃上げしない経営者

 

⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷

 

それでは、この5つの要因について下記に説明をしてみたいと思います。

読者の皆様にも頷けるものがあるのではないでしょうか。

 

 

◇労働組合の弱体化

 

筆者の若い頃の組合は非常に強く、組合主体の活動は頻繁に行われてい
ました。

 

 

 

筆者が生まれ育った大阪の地下街 この広場のように当時の組合活動も
光り輝いていました。しかし、日本特有の企業別組合の短所が顕在化し
た結果、組合活動は衰退していきました。

 

 

 

組合の行事は、会社の行事よりも優先されていたような気がします。

 

労働組合の組合長は、会社の経営陣とも互角に渡り合い、年度のベース
アップを要求していました。

 

その組合もバブル崩壊による景気後退によって、雇用を守ることを優先
にした為に賃金等の条件を要求することを諦めざるを得ない状況になり、
それ以降不況を理由に会社側に逆らえなくなってしまいました。

 

クビにされるよりも給料を上げないことや下げることに同意したことで
組合は徐々に弱体化していったのです。

 

そして、以前の記事でも書いたように組合役員になることが会社におけ
る出世の近道のようになってしまった以降、組合は完全に会社のいいな
りになってしまいました。

 

東洋経済の記事には恐ろしい言葉※が並んでいました。
(※東洋経済 2019年3月2日電子版記事から引用)

 

 

労働組合は自分たちの組合員を守るために、戦う牙をなくし、

会社側=経営陣に忖度し、

会社側の要望を聞き入れる体質になってしまった側面が否定できない

 

 

筆者が会社を辞めるころには、組合が会社の一組織のような形にまで衰
退していました。

 

組合は労働者の代表として、会社に物申すことができなくなってしまっ
たのです。

 

その結果、会社は膨大な内部留保を抱えながらも賃金を全く上げなくな
ったのです。

 

 

◇非正規雇用者の増加

 

ここは、先日の記事でご説明した通りです。

非正規が全ての悪の根源といっても過言ではないのかもしれません。

 

東洋経済の記事※には、こんな風に書いてありました。
(※東洋経済 2019年3月2日電子版記事から引用)

 

 

(非正規で)人件費を削減して、業績悪化から企業を守った面はある

今となっては日本企業があの時期にもっと海外にきちんと進出していれ
ば、

日本企業はもっと成長できた可能性はあるし、

グローバルな企業に成長していたかもしれない

 

非正規の活用で業績を守ったことによって、日本企業は逆に弱体化して
しまったのです。

 

その結果、日本を代表する企業は海外企業に買収され、シェアは海外企
業に奪われていったのです。

 

非正規の拡大が、この国に貧困をもたらしただけでなく、企業そのもの
も弱体化させたのであれば、これ以上非正規を増やしてはならないので
はないでしょうか。

 

 

 

大昔、聖徳太子は当時の中国に自らを「日出処の天子」と称し、対等に
交渉をしようとしました。
今は中国の学生から反対に「終わった国(日没の国)」と称されています。

 

 

 

◇少子高齢化

 

このブログそのものが、国難ともいえる少子高齢化にどのように対処し
ていくのかを考えるために始めたものです。

 

高齢になっても生き甲斐をもって働き、長く社会を「支える側」にいる
こと

その結果、社会保障の負担を軽減し、若者が希望を持てる社会にするこ

 

しかし、この国では60歳を超えると年齢差別を受けて、働きたくとも
低賃金の労働者へと追いやられてしまう。

 

それも不安定な非正規として。

 

東洋経済の記事※には、下記のような言葉が並んでいました。
(※東洋経済 2019年3月2日電子版記事から引用)

 

日本の少子高齢化の影響は、重大であり、未来に大きな後悔を残すかも
しれない

60歳もしくは65歳でリタイアしていた高齢者が、

ここにきて60歳で低賃金の雇用者に格下げされ、

本来なら65歳で完全リタイアだった高齢者が、格安の賃金でいまだに
き続けている

自営業や中小企業の従業員だった人は、低賃金のまま働き続けることを
余儀なくされている

バブル崩壊以後は雇用さえ確保しておけば、賃上げなんていう贅沢は言
わせない、という雰囲気に変わってきた

 

 

 

この国は、若者だけでなく、高齢期の方々にも希望の光が見えない国に
なってしまいました
少子高齢化という国難に真剣に対応しなければならない時が来たのです

 

 

 

年金だけで老後の生活はできません。

 

だから働き続けなければならないのですが、60歳を超えると低賃金の
労働者となってしまうのです。

 

これでは高齢化とともに低賃金の非正規の労働者が増えることになりま
す。

 

結局、賃金は上がらないのです。

 

 

◇内部留保を溜め込んで賃上げしない経営者

 

上述のとおり労働組合が弱体化したことをいいことに、企業は内部留保
を貯め込みました。

 

この貯めた内部留保で、新しいビジネスにチャレンジできたはずなのに、
殻にこもってしまいチャレンジができなかったのです。

 

自分が経営者でいる内は、失敗せずにやり過ごし、大金持って会社を
トンずらする。

 

失敗しないようにする方法は、何もしないことです。

 

こんな経営者が増えてしまったのではないかと感じてしまいます。

 

貯め込むだけでは、お金は動かず、経済も動きません。

 

チャレンジして先行投資をし、人財を育成し、社員の奮起を促す賃金ア
ップをする。

 

こうすることでお金が動き、経済が回ります。

今回政府が打ち出した補正予算は過去最大の36兆円だそうです。

大企業の内部留保は500兆円を超えます。

 

このお金の一部でも動き出せば、どれほどの経済効果が生まれるでしょ
う?

 

チャレンジすれば、どれほど新しいビジネスの芽が生まれるでしょうか。

 

今、経営者の質が問われています。

 

 

 

少子高齢化による2025年問題を始め、目の前には大きな嵐が立ち
はだかります
こんな時だからこそチャレンジしなければ、国際競争には勝てません
出でよ! 本物の経営者 この国の為に

 

 

 

◇規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷

 

以前の記事でデフレスパイラルの話をしてみました。

 

モノやサービスの値段が価格競争で落ち込んだ結果、そこで働く人たち
が低賃金で働くことになる。

 

企業の経営者や行政の怠慢によって、適正な価格競争が起こらないとこ
のような結果を生み出します。

 

そういう意味では、政府の規制緩和や統制は重要なのですが、それがう
まくいかないと結果、そこで働く人の賃金は低く抑えられてしまうわけ
です。

 

負のスパイラルの中で苦しんでいるのは企業だけでなく、そこで働く労
働者もまた苦しんでいるのです。

 

 

デフレスパイラルは、課題の負の連鎖によってできていました。
連鎖を断ち切る政策はタイミングとポイントをズラサない事が大事です。

 

 

 

ここまで5つの課題についてまとめてきました。

 

他にも30年間賃金が上らない原因はあるのかもしれませんが、この5
つの課題をみるだけで頷けるものばかりです。

 

一つだけハッキリしているのは、

 

そこには、国や企業経営者の怠慢と無責任があること

そこには、少子高齢化という国難から目を背け続けてしまい、有効な
手段を講じてこなかった国の無責任があること

そしてそこには、労働者(国民)の我慢があること

 

でも、いつまで我慢ができるのでしょうか?

 

きっと、我慢するだけでは解決はしないのです。

 

 

 

画像素材:いらすとや
我慢には限界があります。体にもよくありません。

 

 

 

ここまで5つの原因を掘り下げてみましたが、賃金を上げて成長してい
く為には、これらの原因を解消していく必要があります。

 

以下に参考として筆者の考えをまとめてみます。
(あくまでも筆者の想いです)

読者の皆様も是非自らの視点で考えてみてください。

 

①組合の強化

 

組合の良さを会社側も社員ももう一度考えてみるべきだと考えます。

なぜ組合が強かった時代は、日本企業は強かったのでしょうか。

 

企業内で組合に加入している割合を示す組合組織率は最新情報で17%
程度で、過去10年間最低を更新し続けているそうです。

 

「何もしてくれないのに高い組合費を払うのは勘弁してほしい」

 

こんな声も聞こえてきます。

 

筆者が若い頃は、組合に入るのが当然という雰囲気がありましたが、驚
くほど組合が軽視されているのです。

 

戦後すぐに法制化された古い歴史を持つ労働組合法の総則には、

 

「労働者が使用者との交渉に対等の立場に立つことを促進することによ
り労働者の地位を向上させること(以下略)・・・」

 

組合活動は法律によって守られており、労働者の正当な権利は組合を通
して主張できるのです。

組合の全国組織もあり、筆者がとやかく言うことでもないのですが、会
社も社員ももう一度組合のあるべき姿を考えてみるべきではないでしょ
うか。

 

欧米企業が一番恐れていたのは、会社と組合(社員)がスクラムを組ん
で突進してくる日本企業の姿だったのではないかと筆者は思うのです。

 

 

 

筆者の若い頃は、仕事の後にも、組合活動でもよく飲み会がありました。
今考えると、いろいろな方に育ててもらったなぁと思います
日本の企業と組合は、人(社員)を守り、人(社員)を育てていました

 

 

 

②非正規雇用者を減らす

 

新総理の発言にも、非正規を含めて3%の賃上げを要請していくとあり
ましたが、元々地を這うような低い賃金を多少上げたところで効果は薄
いことは確かです。

 

政府は、非正規を正社員に切り替えていく為に研修を始めましたが、増
えていく非正規を考えると本末転倒と言えます。

非正規を規制して、減らしていく政策がないと、賃金アップ分を非正規
の増加が相殺して、全体の賃金は上がらないままになります。

 

非正規をどう減らしていくのかを国は真剣に考える時に来ていると感じ
ます。

 

そして、企業は考えて欲しいのです。

 

非正規で雇用することが、本当に企業の競争力を高めることになったの
か?

雇用延長の社員が不安定な非正規になることが、社員のモチベーション
に与える影響は大きくはなかったのか?

無くなることが無い、社内で起こる事故や不正事件の真の要因はどこに
あるのか?

 

 

③少子高齢化への対応

 

最近マスコミ大手が50歳以上の社員を対象に早期退職を募りました。

社長さん曰く、「社員の年齢構成がピラミッド型ではなく、釣り鐘型に
なっている」と。

でも、冷静に考えると日本の社会が釣り鐘型になっているので当然です。

 

それもすぐには変わりません。

 

50歳以上の社員のセカンドキャリアの為に退職金を割り増すそうです
が、そのお金を使って高齢化社会でも社員を活かせる方法を考えるべき
だと思います。

そうしないと、これからもずっと割増金を払うことなります。

経営者も高齢社会の勉強をした方がいいのではないでしょうか。

 

少子化の要因である女性の貧困や離婚率の高さ等の原因は賃金の低さに
あると筆者は考えています。

 

非正規を止めて賃金を上げる。

 

この至極当たり前のことができる大胆な政策が必要なのです。

 

政府にはもう細かいその場限りの行き当たりばったりの政策に翻弄され
るのではなく、東洋経済が指摘しているとおり未来に大きな後悔を残す
かもしれない危機(少子高齢化)への対応を先送りしない覚悟が必要な
のだと筆者は言いたいのです。

 

 

もう問題を先送りにしない。国民に嘘をついたり、ごまかしたりしない。
国と国民はオープンな関係で運命共同体でありたいと思うのです。

 

 

④大企業の内部留保をこの国の成長の為に使う

 

新総理が企業に3%の賃上げを要請しましたが、守る企業は僅かだと思
います。

アベノミクスの時の企業の対応を見れば一目瞭然です。

給料を上げた企業に税制優遇するのではなく、賃金を上げない企業や非
正規の割合で税率を上げるくらいのことをしなければ企業は動きません。

 

要請レベルでは、企業は真剣に考えないし効果はないでしょう。

 

「努力はしましたが、残念ながら賃上げはこの程度に限られました」

「原油高や変異株等の影響を考えますと蓄えは必要かと・・・」

 

企業の本音も聞こえてきそうです。

 

「組織票を持っているから、選挙も近いし無理は言わないだろう」

 

そして、この30年間で日本企業の経営者の質も考え方も大きく変わり
ました。

30年前、会社は経営者を含めた社員のものでした。

株主の多くは「企業を応援するOB」と「企業を信じて老後資金を託す
個人投資家」でした。

 

そんな温かな風景が、バブル崩壊で一変しました。

 

会社は、(金儲けだけを目的とした)株主のものとなりました。

経営者も変わりました。

(社員を切ったり、非正規に切り替えてでも)利益を上げて、株主に還
元することで株主から評価され、自分の報酬を上げるのです。

高額報酬を受け取ることを目的にする経営者が増えたのです。

 

そんな経営者が利益を削って先行投資や賃上げをするとは思えません。

 

大企業の500兆円を超える内部留保にメスを入れる時が来たのかもし
れません。

 

それも要請ではなく、内部留保に課税をしてでも活用を促すのです。

モノをいう株主を納得させる為に期間限定でも構わないのです。

 

先行投資による新しいビジネスの創出や賃上げによる社員の活性化で正
しい利益が出るようになれば、企業は停滞から抜け出せるかもしれない
のです。

 

少なくとも低金利の時代に、お金を抱き込んでいても役には立ちません。

 

 

 

画像素材:フォトサリュ
青空のようにスッキリと解決策がみつかれば苦労はしませんね

 

 

 

以上、少し長くなりましたが筆者の考えをまとめてみました。

これができればという具体策までは表現できませんが、ポイントだけは
ずれてはいないと思います。

今は、我々のような一市民も人ごとにしないで考えることが大事だと思
うのです

 

そう、我々国民も自ら考え動かなければならない時代になったのです。

 

その為には、まず正しく「知る」ことが大事です。

 

知った上で、非正規や格差を容認しないよう声を上げねばなりません。

 

政治にもっと興味を持ち、どのように国(政治家)を動かしていけばい
いのか考えることも国民の責務ではないかと思います。

 

2回の記事に分けて、賃金に焦点を当ててこの国が成長するためにどう
すればいいのかを考えてきました。

 

実行案(政策)は政治家の仕事ですが、我々国民も政治家の背中を押し
たり、拒否することはできます。

 

少なくとも、諦めて我慢するだけでは何も変わりません。

 

バブル崩壊以降、日本らしさが消えてしまいました。

 

会社と社員がタッグを組んで欧米の競争相手に立ち向かう姿

会社は人を大事に育て上げ、その人が付加価値を生み出していく姿

経営者は長期ビジョンを持ち、人と技術に投資をしていた姿

1億総中流といわれ、格差は小さなものでした

努力すれば、幸せになる切符を掴むことができる世界

 

もう一度、これらの日本らしさを取り戻すことで、再び成長を目指せる
レールに乗れるような気がします。

 

これからも、この課題は読者の皆様と一緒に考えていきたいと思います。

 

ご意見、ご提案お待ちしております。

 

 

今回の記事も最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。