お化け屋敷は怖いか?
4月から年金が減額されました。
高齢期になると年齢差別で働くことが難しくなるこの国で、生きていく
のが一層難しくなっていきます。
不安ばかりが募りますが、この不安がとても曲者です。
実はこの不安、実態がつかめない上に状態変化するのです。
高齢期の不安、お化け屋敷論
読者の皆様は、お化け屋敷に行ったことはあるでしょうか?
昔は遊園地には必ずといってよいほどあったお化け屋敷。
結構人気がありましたが、最近は見かけないようになりました。
画像素材:いらすとや 昔はよくアベックでいきましたよね
お化け屋敷は、暗闇の中で急にお化けが目の前に現れたり、体に触れら
れたりするので怖いんです。
反面、うっすらと灯りがついていて、あそこを曲がるとお化けがいるな
とわかっていれば怖くない。
高齢期の不安もそれと同じで、
~将来どれくらいお金がかかるのかわからない
~年金をどれくらいもらえる(減っていくのか)のかわからない
会社を定年退職すると、働かないと入ってくる収入は年金しかありませ
ん。
このお化け屋敷論、実は学問の本質みたいな考え方ともいえるのです。
わからないものを予測したり、学習して明らかにすることにより、わか
るようにしていく。
これが学問の本質みたいなものといっていいのかもしれません。
わからないから学んで、知るという行為は、実は不安解消の第一歩にな
るのです。
だからこそ出ていくお金と、入ってくるお金をきっちり把握することが
とても大事になります。
先日の記事で経済評論家の森永さんが言っていた「年金以外に5000
万円必要」が事実であってもまずそれを知って、自分の場合はどうなる
のかを考える。
正しい知識を付ければ、不安の大きさを小さくしていくことは可能です。
自分の場合必要なお金の根拠をよくよく見てみると、これからどんな生
活をすればいいのかもよくわかるようになります。
もし、もっと質素な生活をすればどうなるのか。
逆にゴージャスな生活をすればどうなるのか。
ようするにどのような暮らし向きをするかによって必要な資金額は変わ
るわけです。
経済評論家の森永 卓郎さんは家庭菜園をやっているそうです
将来年金はどうなるかわからない。自給自足の生活ができれば不安は
軽減できそうです。筆者も2年前から庭の花壇で実験を開始しました。
人は持っているお金と入ってくるお金の範囲内でしか、生活はできませ
ん。
ようするに身の丈にあった生活しかできないのです。
そこで高齢期になっても働くことがとても重要なウエイトを占めること
になります。
年金に頼らず高齢期を生きることが出来れば、年金給付を先送りして年
金を増額する事も可能になりました。
大事なことは、これからの人生をお化け屋敷に例えて、何が起きるだろ
うかと予測することなのです。
この国で生きていくということは、まさにお化け屋敷に入ったようなも
のなのです。
あの曲がり角を曲がったら大地震
あの階段を降りたら世界的な不景気や戦争の影響で株が大暴落
あの暗がりに入ったらまた新たなウイルスが襲来
画像素材:いらすとや 昔は地震・雷・火事・親父が怖いものでした
今は、地震等の自然災害・コロナ・戦争・不景気・貧困・・・・
怖いものが多過ぎます
まるで怖いモノだらけのお化け屋敷にいるようなものです。
読者の皆さんも、生命保険や火災保険等いろいろな保険に入っておられ
ると思いますが、保険という概念ではなく、これからの人生をより良く
生きるために予測する。
その為にも、まずこれからの10年間の予測をすればいいと筆者は考え
ています。
これから10年間どんなことが起きるだろうか
・コロナはいつ頃収束するのか
・子供達の結婚は
・持病は高齢化と共にどのような経過を辿りそうか
・傷んだ家の改修は
・日本が戦争に巻き込まれる可能性は・・
考えれば、考える程きりがありませんが、それでも
10年後、自分はどうなっているか。
10年後の自分の理想の姿があれば、それまでに何をすべきかがわかり
ます。
そこからでもこの10年間に起きえるだろうイベントを予測することが
できるのではないでしょうか。
この国を取り巻く情勢をよく見極めた上で、
・いつまで働くのか?
・どんな仕事で、どれくらい稼げば年金を頼りにせずに済むのか
・年金をもらえる迄どれくらい貯金を食いつぶしそうか?
・キチンとした仕事に就けなくてもこれぐらいは稼ぎたい
・70(80)代はこんな風に生きてみたいので、これからこれを勉強
(投資)してみよう
等々
高齢期に入る前や高齢期に入ったら、お化け屋敷論を活かして自分のこ
れからの人生を考えてみるべきです。
もう、「なんとかなるさ」の時代ははるか先に過ぎ去ってしまいました。
例えば投資のような不確かなモノを信じるのではなく、確実に増えてい
くものに重点を置く。
だからこそ、高齢期での「働く」という行為は重要なのです。
以前、セミナーで講師を勤めて頂いた大江 英樹さんが言われていまし
た。
「お金を働かせるのではなく、自分で働け」と。
画像素材:PIXTA 自分で決めて自分で働く それが尊いことかも
定年後の働き方
でも、定年後どのように働けばいいのでしょうか。
定年後の働き方は多様性があってもいいと筆者は思います。
以前実施した本サイト主催セミナーでも事例をご紹介したことがありま
した。
講師の大江 英樹さんからご紹介のあったその定年された方の事例には、
・定年後、開業を目指してパン屋で修行
・趣味の日曜大工で、近所のホームセンターで顧客アドバイス業務
・海外勤務の経験を生かして中小企業の海外進出をサポート
・金融機関を退職後、僧侶になる為に現在、準備中
最期の銀行マンから僧侶って、とても変わっていますね。
でもこの方は、お経をあげたいから僧侶を目指しているわけではないそ
うなのです。
やりたいことは、檀家の人たちの相談相手。
税金の相談、金融商品の相談等、なんかファイナンシャルプランナーの
ようですが、コンサル料を取るわけではありません。
檀家の方々の悩み事の相談にのってあげることを仕事にしようとしてい
るのです。
長年培ってきた顧客対応力や金融の知識を活かした仕事です。
上記の4名の方は、やりたいこと、得意なことを仕事にしようとしてい
ました。
「サラリーマンだったから何もできません!」
ではなくて、
「俺はこれをやりたい!」というものを持つ。
但し、それがビジネスになるのか、考えて考え抜かなければならないと
講師の大江 英樹さんが話しておられたのを筆者も覚えています。
ようするにお金を儲けられるか! ということです。
画像素材:いらすとや お金が全てではありませんが、定年後も多くは
なくてもいいのでお金儲けは必要なのかもしれません
自分で選択する
高齢期での仕事を決める時に大事なことがあります。
それは自分で選択するということです。
ハローワークに行って、
・これだったらできるかも
・こんな仕事しかないので仕方なしに
ではなく、いろいろな要素を考慮して自分でやりたいことを見つける。
ハローワークで見つからなければ他(自分のつくったルート)で探す。
だから高齢期の仕事探しにはとても時間がかかります。
年齢差別の高い壁にもぶち当たります。
年齢制限なしの求人は、介護・福祉・清掃・雑務が中心でサラリーマン
経験者が魅力を感じる仕事はありません。(筆者の経験からですが)
探すのがとても大変なのですが、長い時間をかけてでも自分は何がした
いのかを掴むことが出来ればシメタものです。
そんな仕事探しでとても参考になる話があります。
上記でご案内した大江 英樹さんが自身の講演で地方に行った際の話が
とても印象的で筆者の記憶にハッキリと残っています。
———- (以下、そのお話の内容) ———-
ある地方での講演の後、地元の観光でもある水郷での渡し船に乗った時
のことだったそうです。
乗った船の船頭さんとの会話です。
“今、すれ違った船の船頭さんは、元地元の学校の校長先生だったんで
すよ。”
地方では、校長先生といえば地元の名士です。
教え子が地元の企業や団体、役所で勤務している為、顧問職のオファー
が多くあったようですが、そのオファーを全て断って船頭の道に。
その元校長先生曰く、
「わたしゃ 天下りやのうて、川下りを選んだんじゃ」
1回の川下りに要する時間は約90分。
もちろん手漕ぎで、1日に4.5時間も船を漕ぐそうです。
冷静になって考えてみると、この仕事は凄いです。
お金:働くことによって当然収入があります。
高齢期になると、もうたくさんのお金は必要ないのです。
孤独:毎日普段会わない人との触れ合いがあります。
人と接する仕事なので、人とのつながりを感じながら仕事ができます。
健康:足腰が鍛えられます。とてもいい運動なので健康維持に
効果があります。
船頭という仕事は、名声とは無縁ですが、定年後の3つの不安を全て解
消できる可能性を持っています。
以前の記事でもご紹介した定年後の3つの不安
この校長先生、きっと自分の将来(10年後)を想定して、自分でこの
仕事を選択したのです。
こんな選択ができるということは、真剣に自分の将来を考えた証拠では
ないかと筆者は思うのです。
高齢期の生活はお化け屋敷のようなものですが、予測して、真剣に考え
ればこんな形で道が開けるのかもしれません。
こんなことを書いている筆者もまだ模索中なのですが・・
でも、予測し、考え抜いて、10年後この人生は失敗ではなかったと思
えるようにしたいと思っています。
今回の記事も最期まで読んでくださり、ありがとうございました。