インフレと老後
ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー・原料・物価高が止ま
りません。
インフレ率が高まり、昨日(2022年5月31日)のニュースでは、
EU域内での消費者物価は前年同月比で8.1%増と驚異的な数字になっ
ていました。
日本でも確実に消費者物価は上がり続けています。
EUのように5月の速報値は出ていませんでしたが、4月のデータでは前
年同月比で2.5%増と今まで何をしても上がらなかった物価が嘘のよ
うに上がっていきます。
こんなにモノの値段が上がっていく中で、高齢期を迎えた方々が気を付
けておかなければならないものがあります。
それは老後の資金として持っている退職金です。
以前の記事で、退職金は給与の後払いで老後の資金なのだから無駄遣い
は良くないとお伝えしましたが、銀行の口座に眠らせておくだけではマ
ズイ時代になったのかもしれないのです。
画像素材:Jim Mayes
竹のようにほっておいてもドンドン伸びていけばいいのですが…
お金の価値が変わる
円安で国内の企業が海外から輸入する原料が高くなって困っているとい
う話をよく耳にします。
そうでなくても原料が高騰している中で、円安の影響も受けるダブルパ
ンチの状態になっています。
ようするに為替の変化でお金の価値が変わっているわけです。
ここでよく考えると、円安だけでなくインフレの影響も頭に入れておく
必要があります。
物価が上がるということは、手持ちのお金で買えるモノが少なくなると
いうことなのです。
今迄買えたモノが買えなくなる。
今迄は100円で買えたものが、110円出さないと買えないといった
形で手持ちのお金の価値が下がる可能性があるのです。
退職金を定期預金に入れても、超低金利ですので殆ど利子は付きません。
でも、消費者物価が2.5%上がったということは、今迄退職金200
0万円で買えるモノが2025万円出さないと買えないということにな
ります。
これを裏返すと、2000万円を銀行に眠らせておくと利子も付かない
が、物価が上がった為に25万円損をしたことと同じことになる可能性
があるのです。
画像素材:Jim Mayes とうとう雨の季節 紫陽花はものすごく種類が
あって、花屋さんの中でもでも変わらず価値が高い花です
ちょっと待てよ!
それはおかしいよ
2000万円は2000万円、価値は変わらないよ。
「インフレが終わってまたデフレになったらどうなんだよ」という声を
聞こえて来そうです。
でも、このインフレがどれくらいの高さになって、どれくらい続くのか
ということは頭に入れておく必要があると思います。
年金だけでは老後の生活はできなくなっています。
その年金も先日の記事で申し上げたように目減りしていくことは確実で
す。
だから政府は、いろいろなことをやっています。
例えば、NISA やiDeCo(個人型確定拠出年金)等で税制優遇をするのも
実は年金の目減りに対する対策なのです。
「年金は下がりますよ~」
「だから(投資をして)自分の資産を増やしてくださいね~」
と、国にとってとても都合の良いことをしているわけです。
以前、老後の資金に2000万円必要だという話で盛り上がりましたね。
退職金があるから大丈夫という方もここでよく考えてみて欲しいのです。
年金は目減りしていく。
老後の資金として用意しておいた退職金もインフレの影響で価値が下が
っていく。
となると不安が増幅してしまいます。
なんとかしないと…
一番大事なことは、こんな生活環境の変化をしっかり知っておくことだ
と思います。
知った上で、自分が思う最適な方法・手段を講じる。
無理に老後資金である退職金を投資に回すという危険を冒す必要はあり
ません。
例えば老後の資金の2.5%(物価上昇分)のみ投資に回すとか、いろ
いろな考え方があると思うのです。
画像素材:Jim Mayes 一度頭の中を真っ白にして考えてみては…
生涯GDPという考え方
GDPという言葉をよく聞きますね。
国のGDPは全く伸びていません。
国にもGDPがあるように、個人にもGDPがあると思うのです。
国内総生産は、国民の働き(活動)による稼ぎの総和です。
個人が生涯生み出す価値の総和が、生涯GDPということになります。
一番いいのは、働ける内はいつまでも働いて収入を得ることだと何度も
記事に書いてきました。
60歳を超えて年齢差別の遭いながらもセカンドライフで社会に貢献しな
がら少しでも収入を得る。
そして、先日の記事でも書いたように年金受給を繰り下げて年金受給総
額を増やしていく。
年金受給を繰り下げれば繰り下げる程受給額が増えていきます。
これもある意味収入増といえるので、生涯GDPは増えます。
働いて、年金を繰り下げて自給額を上げる。
ようするにダブル効果で生涯GDPを少しでも上げていくのです。
そこにプラスして今保有しているお金にも働いてもらうのです。
そう、生涯GDPに投資分をプラスしていけばいいのです。
インフレによる物価高がまだまだ続きそうです。
自分の生涯GDPを増やす活動がインフレに対する自衛策となりそうです。
この国もウクライナ情勢を始めとした国際環境に翻弄されています。
残念ながら、これからも翻弄され続けていくことでしょう。
その対応を国に任せきるのはとても危険です。
何らかの自衛策を考える能力も生活力の一つと言えるのかもしれません。
今回の記事も最期まで読んでくださり、感謝申し上げます。