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豊かさを示す新しい指標

2022年11月12日
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今年の日本シリーズは、第7戦までもつれ込む白熱した展開の末に、大
阪を本拠地とするオリックス・バッファローズが見事に優勝しました。

 

序盤の劣勢を跳ね返す4連勝で、地元大阪や関西のファンの皆さんは大
いに盛り上がり、優勝の瞬間は幸福感に浸ったのではないでしょうか。

 

今回の記事は、この「幸福感」「幸福度」について書いてみたいと思い
ます。

 

 

 

大阪のメインストリート「御堂筋」から梅田中心街を望む
今年はこの御堂筋で優勝パレードを見ることができました

 

 

過去の記事の中で、何度か「幸せ」について取り上げてきました。

 

社会の中に格差と貧困が広がっていく中で、今この言葉が真剣に問われ
ているのではないかと感じることが多くなってきました。

 

もう半年以上前になりますが、3月20日は国連が定めた国際幸福デイ
でした。

 

世界では「ハピネスデイ」とか「幸福の日」としても知られているので
すが、日本ではまだ知名度が低いのかもしれません。

 

この日に国連が発表した2021年度の世界幸福度ランキングでは、フ
ィンランドが4年連続で世界一を獲得しているようです。

 

2012年から始められているこの発表は今回で9回目となりましたが、
意外にも新型コロナウイルスのパンデミックによる影響は少なかったこ
とが示されていました。

 

日本は56位と昨年の過去最低を記録した62位から若干良化したもの
の、先進国では最低クラスに沈んでいます。

 

この世界幸福度ランキングは、

 

一人当たりの国内総生産(GDP)

社会的支援(Social Support)

度々記事で取り上げてきた健康寿命(healthy life expectancy)

社会的自由(freedom to make life choices)

寛容さ(Generosity)

汚職の無さ・頻度(Perceptions of corruption)

ディストピア(人生評価/主観満足度)

 

等の数値を分析して積算されたもので、過去3年間の平均値で順位を決
めているようです。

 

世界第3位の「GDP」と世界第2位から1位へと返り咲いた「健康寿命」
があるにも拘わらず、日本の総合評価が低いのはその他の評価が低い為
です。

 

「汚職の無さ」「社会的支援」の評価も低いのですが、特に低評価なの
が「社会的自由」と、「寛容さ(他者への寛大さ)」です。

 

筆者が特に気になっている評価項目は、これも非常に低い評価になって
いる「人生評価/主観満足度」です。

 

主観的幸福度とも受け取れるこの評価項目、低いと鬱や認知症、そして
癌等の多くの疾患を引き起こす要因とも指摘されています。

 

なぜ日本人の主観的幸福度が低いのでしょうか。

 

その理由は以前にも記事で述べたことがありますので、今回の記事では
この幸福度がなかなか議論されない要因について探ってみたいと思いま
す。

 

 

国連の幸福度レポート:左側(青:GDP)から右へ上記の項目順に並ぶ

 

 

GDPが正しいのか?

 

 

今迄国の豊かさを示す数値は「GDP」でした。

 

ニュースを見てもGDPの伸び率(成長率)に関するものが多いのが実態
です。

 

でも、この豊かさを示す数値では、国民の幸福度は表せないようです。

 

GDP世界1位 米国 ⇨ 幸福度世界ランキング19位

GDP世界2位 中国 ⇨ 幸福度世界ランキング84位

GDP世界3位 日本 ⇨ 幸福度世界ランキング56位

 

どうも国民の幸福度とGDPとは、余り相関関係はなさそうなのです。

 

長く経済成長を重要視してきたこの国では、どうやら国民の幸せは疎か
になってきたようです。

 

世界でも、豊かさを示す指標がGDPではおかしいのではないか…という
疑問が湧き上がりつつあります。

 

GDPに代わるもっと最適な指標があるのではないか…と

 

そんな新しい指標にOECDが提言したBLIがあります。

 

BLI:Better Life Index:より良い暮らし指標

 

このBLIは、先進国が守ってきた伝統的なGDP以上に、人々の暮らしを
計測、比較することを可能にするインタラクティブな指標だといえます。

 

BLIでは下記の暮らしの11の分野を取り上げています。

 

どれをとっても幸福を考える上で不可欠なものばかりです。

 

住宅:格差と貧困が要因で住宅環境の質は悪くなる方向性にあります

所得:物価は上がっても賃金は上がってはいません

雇用:65歳迄働ける時代の筈が、増え続ける非正規に早期退職や希望
退職で職を失くす人は増え続けています

社会的つながり:日本人の孤独度は世界一(以前の記事参照

教育:格差は教育にも大きな影を落としています

環境:日本も漸く環境に配慮するようになってきましたが…

市民参画:まだまだ積極的に参画する風土は醸成できていないようです

健康:健康志向は広まりましたが、ストレス障害は増える一方です

主観的幸福:格差と貧困が広がる中で感じろというのも無理があります

安全:無差別殺傷事件等、もうこの国も安全な国ではありません

ワークライフバランス:コロナで改善されたとはいえ、まだまだ…

 

上記の11分野は、OECD加盟37カ国とブラジル、ロシア、南アフリ
カを加えた40カ国の指標を比較できるようになっているのですが、
筆者が上記のとうり補足説明したとおり日本では良い評価は付きそうに
ありません。

 

OECDがGDPに代わる新しい指標を模索しているかは定かではありませ
んが、GDPだけでは(本当の)国の豊かさは表せないという声に押され
た動きのような気もしてきます。

 

 

 

画像素材:PIXTA 健康の定義は病気ではない状態の事ではありません
幸福も同じで、自分自身が幸せだと感じる状態が幸福なのでは…

 

 

 

GDPは、国の豊かさを計る指標として本当に相応しいのでしょうか?

 

実は、GDPは実際の経済成長や社会の幸福度を正確に反映していないと
いう意見は、長く識者の間で議論されてきました。

 

そんな中で、このBLIのような指標が現れたのでしょうか?

 

筆者はBLIの中で、GDPの矛盾点が指摘されているような気がするので
す。

 

GDPの矛盾点は過去にも指摘されてきました。

 

GDPには家事労働や多国籍企業の存在が反映されていないという意見も
その指摘の一つです。

 

ようするにGDPという指標には多くの欠陥が指摘されているということ
なのです。

 

近年最も批判を受けているのは、家事などの無償労働が生産活動として
カウントされていないことに対してです。

 

「GDP(という指標)は女性差別主義だ」と指摘する人までいます。

 

加えて筆者は、高齢化が進む中で家族や親族が受け持つ介護活動も抜け
落ちていると思います。

 

介護保険を使えば、事業者としての生産活動がカウントに入りますが、
家族や親族の生産活動はカウントされてはいません。

 

そして、根本的な矛盾点は、お金による豊かさでは「幸せ」は実現でき
ないということなのです。

 

失われた30年以降、この国ではあまりにも国民の幸せがないがしろに
されてきたようにも感じています。

 

OECDが提唱するBLIが正しいのかどうかはわかりませんが、今一度この
国の国民の幸せを考える意味で、日本独自の「幸せの指標」を考えてみ
るべきではないかと感じました。

 

毎年スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム(ダボス会議)
の年次総会(2018年)でも、「Inclusive Development Index(包括
的発展指標=IDI)」という最新の指標が、GDPに取って代わる国際標
準となり得るのか注目されていました。

 

BLIやIDIのように日本的な指標があってもいいと思うのです。

 

この国では急速に格差と貧困がひろがり、少子高齢化という課題が異常
なスピードで進んでいます。

 

だからこそ、国の目標となるような新しい指標を国として考え、国民の
幸せと国の豊かさをどのように実現して(取り戻して)いくのかを真剣
に考える必要があるのではないでしょうか。

 

その検討の中に、国民を幸せにする為の政策が生まれるのではないでし
ょうか。

 

今回の記事では、マスコミでも氾濫しているGDPよりもっと国民が大事
にすべき指標(目標)があるのではないかということ記事にしてみまし
た。

 

いつも真面目腐った記事にお付き合い頂き、お礼申し上げます。